嫌なことばかり、覚えている。
10年前に言われた一言を、今でも思い出す。
なのに、褒められたことは思い出せない。
僕は起業して12年、500名を超える経営者の方と向き合ってきました。これは、性格の問題ではありません。
脳が、そういう作りになっているだけです。
試してみてください
簡単な実験があります。
「30歳のころ、嫌だったこと」
……たぶん、すぐ出てきますよね。人によっては、複数出てきます。
では、次です。
「30歳のころ、良かったこと」
……止まりませんか。
同じ年の、同じ人生です。良いことも悪いことも、同じくらいあったはずです。
なのに、出てくる量がまるで違います。
なぜ、悪いことだけが残るのか
理由は、生き延びるためです。
悪い出来事は、体にダメージを伴います。
そしてダメージを受けたことは、二度と繰り返さないように強く刻まれます。
危険な場所、危険な相手、失敗したやり方。これらを覚えておけるから、生き延びられます。
一方、良いことにはダメージがありません。
だから、刻まれません。
つまり、こういうことです。
ネガティブなのは、欠陥ではなく機能です。
自分を責める必要は、まったくありません。
ただし、放っておくと誤解が生まれます
ここからが、本題です。
この機能を放置すると、困ったことが起きます。
思い出せるのが嫌なことばかりなので、自分の人生を「良くなかった」と判断してしまいます。
実際には、良いこともたくさんあったのに。
残っている記録が偏っているから、集計結果も偏ります。
そして、この判断は生き方に影響します。
- 自分には運がない
- 自分は選ばれない
- 何をやってもうまくいかない
証拠が偏っているだけなのに、結論だけが本物になってしまいます。
だから、自分から取りに行きます
対処は、単純です。
良いことを、その場でメモしてください。
- 感謝した瞬間
- 嬉しかった一言
- 自分でもよくやったと思ったこと
その場で、書き留める。
なぜ「その場で」かというと、あとから思い出そうとしても出てこないからです。
刻まれていないので、時間が経つと消えます。
消える前に、外に置いておく。
悪いことを書き留める人はいますが、良いことを書き留める人は、ほとんどいません。
だから、やるだけで差が出ます。
立派なことは、要りません
ここで、多くの人が構えます。
「そんな、書くほどいいことなんてない」
いいえ、あります。
- 挨拶を返してもらった
- 天気が良かった
- 昼ごはんがおいしかった
- 面倒な作業を、後回しにせずやった
これで十分です。
大きな出来事を待っていると、一生書けません。
そして、小さいものを書けるようになると、気づける量が増えます。
書こうとすると、探すようになるからです。
探し始めた瞬間から、見える世界が変わります。
快感になるまで、やってください
もう1つ、続け方の話をします。
良いことも悪いことも、やらないことも、全部ただの習慣です。
そして新しい習慣は、最初は少し無理があります。
だから、気持ちよくなるところまで持っていってください。
書くこと自体が快感になれば、あとは勝手に続きます。
目安は、2週間です。
2週間やって、その先も続けるかどうかを決めればいい。
最初から一生やろうと思わないでください。2週間だけです。
読み返す日を、決めてください
最後に、いちばん効く使い方を書きます。
書いたものは、落ち込んだ日に読んでください。
これが本番です。
落ち込んでいるとき、頭の中は悪い記憶だけになっています。良いことは、1つも出てきません。
そのとき、紙の上には良いことだけが並んでいます。
読むと、こう思えます。
「そういえば、こういうこともあったな」
これが、記憶の書き換えです。
そして、この一冊があるかないかで、落ち込んだときの立ち直りの速さが変わります。
書いているのは今日の自分ですが、助けられるのは未来の自分です。
悪いことを、消そうとしないでください
最後に、注意点を1つ。
良いことをメモする話をすると、こう受け取る方がいます。
「嫌なことは、忘れるようにしよう」
それは、やめてください。
無理です。そして、無理なことをやろうとすると、余計に苦しくなります。
嫌なことは、刻まれています。消えません。
やることは、消すことではなく、足すことです。
天秤の片側に石が乗っているとき、その石を取ろうとするから苦しい。
反対側に、少しずつ積んでいけばいいんです。
そして、片側だけを見ていた状態から、両側が見える状態に戻る。
これが、目指すところです。
明るい人になる必要はありません。
片方だけを数えていた状態を、両方数える状態に戻す。それだけです。
まとめ
- 嫌なことばかり残るのは、脳の機能。欠陥ではない
- 悪いことはダメージを伴うから刻まれる。良いことは刻まれない
- 放っておくと、偏った記録から偏った結論が出る
- 良いことは、その場でメモする。あとからでは出てこない
- 小さいことでいい。書こうとすると、気づける量が増える
- まずは2週間。快感になるまで持っていく
- 落ち込んだ日に読み返す。助かるのは未来の自分
今日、良かったことを1つだけ書き留めてみてください。
そして、うまくいっていないと感じるとき「自分の人生はこんなものだ」と思い込みがちですが、たいていの場合、原因はもっと手前にあります。
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