売上目標を立てる。全員に伝える。
でも、社員の顔が重い。動きも変わらない。
そして月末が近づくと、みんな下を向く。
僕は起業して12年、500名を超える経営者の方と向き合ってきました。この状況には、はっきりした原因があります。
追わせている数字が、本人にコントロールできないものだからです。
売上は、自分では決められません
考えてみてください。
売上は、お客さんが決めるものです。
どれだけ頑張っても、相手が「今回は見送ります」と言えば、その月の数字は動きません。
つまり社員にとって、売上目標は「自分ではどうにもならないものを、追わされている」状態です。
これが続くと、どうなるか。
無力感が出ます。
やってもやらなくても、数字は運次第に見える。だったら頑張っても意味がない。そう感じ始めます。
そして怖いのが、これは怠けているのではないということです。構造が、そう感じさせているんです。
追わせる場所を、変えました
ある会社の社長さんが、これを切り替えました。
やったことは、シンプルです。
売上ノルマではなく、アポイントのノルマにする。
具体的には、こう決めました。
一人あたり、週に2件のアポイントを取る。
それだけです。売上の話は、目標からいったん外しました。
数字は、ちゃんと計算されています
ここが大事なところです。これは気休めではありません。
その社長さんは、きっちり逆算していました。
- 一人が週に2件 → 月に8件
- 社員3人なので、月に24件
- そのうち、どんなに悪くても10件に1件は契約になる
- つまり、月に2件の契約
- 2件で、売上は300万〜400万
最低限の売上目標は、これで達成できる。
そこに紹介のお客さんが加われば、上振れする。
つまり、アポの数さえ追っていれば、売上は勝手についてくるという設計です。
社員は売上を追っていません。でも、結果として売上が積み上がる形になっている。
プレッシャーが、まるで違います
同じ数字を目指しているのに、感じ方がまったく変わります。
「今月400万円」と言われると、重いんですよ。どこから手をつけていいか分からない。
でも「週に2件アポを取る」なら、今日やることが分かります。
しかも、2件です。1日ではありません。1週間で2件。
社長さんもこう書いていました。
売上のノルマではなく、アポイントのノルマなので、それほどのプレッシャーがかからない。
数字の目標も、そこまで重くない。
そして、ここが効いています。プレッシャーが軽いほうが、動く量は増えるんです。
重いノルマは、人を止めます。動く前に考え込ませてしまうので。
既存のお客さんに、会いに行く
もう1つ、この社長さんが決めていたことがあります。
アポイントは、新規だけではない。
新規ばかり追うのは、しんどいです。断られ続けるので、心が削れる。
だから、こう決めました。
買ってくれた人にアポを取って、会いに行く。
- 困りごとはないか
- 紹介してくれそうな人はいないか
- 新しい生活はどうか
これも、立派な週2件のうちの1件です。
そして、この方が言っていたことが本質です。
購入してくれた方に定期的に会うと、紹介が増える。そして、新しい生活を見て喜んでもらえているのを実感できる。有意義な仕事をしていると気づける。
これ、売上のためだけの話ではないんですよ。
社員が、自分の仕事の意味を思い出す場になっています。
新規開拓だけを続けていると、断られた回数しか記憶に残りません。でも既存のお客さんに会いに行くと、喜んでいる顔が見られる。
これがあるかないかで、続けられるかどうかが変わります。
数字は、共有してください
もう1つ、やってほしいことがあります。
なぜ「週2件」なのかを、社員に説明する。
ここを省く社長が、とても多いです。「週2件やってくれ」とだけ伝える。
すると、どうなるか。
ただのノルマになります。押しつけられた数字は、こなす対象にしかなりません。
でも、さっきの計算をそのまま見せたらどうでしょうか。
「一人が週2件で、3人だと月24件。10件に1件は決まるから、月に2件。1件が150万〜200万だから、これで会社の最低ラインは超える」
自分の2件が、どこにつながっているかが見えます。
そして、こう思えたら強いです。
「自分の2件がないと、会社の数字が埋まらない」
これは、プレッシャーとは違います。役割が見えている状態です。
人は、意味の分からない数字は追いません。でも、自分の1件が全体のどこに刺さっているかが見えると、勝手に追い始めます。
数字を隠す社長がいますが、僕はもったいないと思っています。見せたほうが、動きます。
月曜に、1対1で話す
そして、この仕組みを回すために、もう1つ置いていました。
毎週月曜日に、一人ひとりとミーティングをする。
そこで見るのは、詰めることではありません。
- 今週、どうアプローチしたのか
- どんな方法を試したのか
- 週末のアポに向けて、どう動くか
やり方をレクチャーしたり、「どうすればいいと思う?」と考えさせたり。
数字を追わせる仕組みを置いたら、その数字を作る方法を一緒に育てる。この2つはセットです。
置きっぱなしにすると、ただの新しいノルマになります。
まとめ
- 売上は、本人がコントロールできない。だから追わせると無力感が出る
- 追わせる場所を、行動に変える。週に2件のアポイント
- 逆算しておく。週2×月8×3人=24件、1/10成約で月2件、売上300〜400万
- 同じ数字でも、プレッシャーがまるで違う
- 軽いほうが、動く量は増える
- アポは新規だけでなく、既存のお客さんにも
- 喜んでいる顔を見ることが、続ける力になる
- 仕組みを置いたら、やり方を一緒に育てる
いま社員に追わせている数字は、本人が自分で動かせるものでしょうか。
そして、動かないとき「うちの社員はやる気がないからだ」と思い込みがちですが、たいていの場合、原因はもっと手前にあります。
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