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  • 会社と、社長と、社員を切り離して考える

    会社と、社長と、社員を切り離して考える

    社員が、指示を出すまで動かない。

    自分から提案してくることも、ほとんどない。

    やる気がないわけではなさそうなのに、なぜか受け身のまま。

    僕は起業して12年、500名を超える経営者の方と向き合ってきました。この状態には、原因があります。

    会社の絵の描き方が、そうさせています。


    「会社の上に、社長と社員がいる状態」

    ある社長さんが、自社の現状をこう書いていました。

    家族経営的なやり方で、私が指示を出すまでは、受け身の状態。会社の上に、社長と社員がいる状態。

    この2行目が、鋭いです。

    会社が下にあって、その上に人が乗っている。

    つまり、会社という器がまずあって、そこに社長と社員という身分が並んでいる状態です。

    そして身分がある以上、上下がつきます。社長が上、社員が下。

    このとき、社員の頭の中はこうなります。

    「上の人が決める。自分は言われたことをやる」

    これは、やる気の問題ではありません。その絵の中では、それが正しい振る舞いなんです。


    掴んだ、一行

    同じ課題の中で、この社長さんは自分で答えにたどり着きました。

    会社という法人格と、社長・社員は切り離す。社長は社長という役割。社員にも役割がある。

    ……これ、僕が教えたことではありません。ご自身で書かれました。

    読んだ瞬間、これは大きいなと思いました。

    なぜなら、上下から役割へ、発想が完全に変わっているからです。


    役割にすると、何が変わるのか

    同じ人、同じ会社、同じ仕事です。

    でも、こう置き換えます。

    会社は、会社という1つの存在。社長は、社長という役割を担う人。社員は、社員という役割を担う人。

    3つが、横に並びます。

    その社長さんは、役割の中身までこう書いていました。

    社員の役割は、売上を上げてくること。社長の役割は、責任を取ること。

    シンプルですが、これで十分です。

    そして大事なのは、どちらが偉いかが、この文の中に無いことです。


    「持ち場」ができると、人は動きます

    役割で語れるようになると、社員の感覚が変わります。

    上下の絵だと、仕事は「やらされるもの」です。上の人から降ってきます。

    役割の絵だと、仕事は「自分の持ち場」になります。

    持ち場は、誰も代わりにやってくれません。だから、自分で考えます。

    やらされと持ち場。この違いは、決定的です。

    しかも、社長にとってもいいことがあります。

    社長は「偉い人」をやらなくて済みます。

    いつも正しくて、いつも決められて、いつも強い。この役を演じるのは疲れます。

    でも役割なら、責任を取るのが仕事です。それだけです。分からないことは「分からない」と言えます。


    温かさは、捨てなくていい

    ここで、心配になる社長さんがいます。

    「役割とか言い出したら、うちの家族みたいな雰囲気が壊れないか」

    壊れません。

    変えるのは、上下だけです。

    その社長さんは、同じ課題の中でこうも書いていました。

    社員一人ひとりの家族を第一に考えて行動する。ただし仕事の時間は、その分集中する。

    家族第一で、もちろんいい。その上で、自分の仕事を全うすることに誇りを持てる文化。

    温かさは、そのまま残っています。

    つまり、温かさと曖昧さは別物なんですよ。

    多くの会社が、この2つを一緒くたにしています。仲がいいから決めない。決めないから曖昧になる。曖昧だから、いざというときにもめる。

    温かいまま、はっきりさせる。これができます。


    「自分の商店だと思ってやってくれ」

    その社長さんが、社員に伝えている言葉があります。

    一人ひとりが、自分の商店をやっているつもりで働いてほしい。

    役割の話を、いちばん短く言うとこうなります。

    自分の店なら、言われる前に掃除します。お客さんの顔も覚えます。売れなければ、なぜ売れないか考えます。

    当たり前ですよね。自分の店だから。

    そして、この意識を根づかせるために、この方は週1回のミーティングを必ずやると決めていました。

    渡すだけでは、届きません。渡して、毎週向き合う。セットです。


    役割にすると、評価がラクになります

    役割で語ることには、思わぬおまけがあります。

    評価が、しやすくなります。

    上下の絵だと、評価はこうなります。

    「あいつは頑張っている」「あいつは頑張っていない」

    人柄の話になってしまうんですよ。だから言いにくいし、言われたほうも傷つきます。

    でも役割の絵だと、こうなります。

    「今月、役割は果たせましたか」

    これなら話せます。人格の話をしていないので。

    そして、できていなかったときも、責める形になりません。役割に足りていなかった、という事実の確認で済みます。

    厳しいことが言えない社長さんほど、この違いは効きます。

    言えないのは、人柄を否定する形になるからです。役割の話にした瞬間、言えるようになります。

    社長の役割も、書いてください

    もう1つ、忘れないでほしいことがあります。

    役割を決めるとき、社員の役割だけを決める社長がいます。

    これだと、結局は上下のままです。上の人が、下の人の役割を決めている形なので。

    だから、自分の役割も同じ紙に書いてください。

    「社長の役割は、責任を取ること」

    これを社員の前で言えるかどうかで、空気がまったく変わります。

    なぜなら、社員はこう受け取るからです。

    「この人は、自分にも役割を課している」

    一方的でないと分かった瞬間、渡された役割は受け取りやすくなります。

    役割は、全員ぶん書く。ここまでやって、初めて横並びになります。


    まとめ

    • 「会社の上に社長と社員がいる」絵が、指示待ちを作る
    • 上下があると、社員は「言われたことをやる」が正解になる
    • 会社・社長・社員を切り離し、横に並べる
    • 社員の役割は売上を上げること、社長の役割は責任を取ること
    • やらされ、が、自分の持ち場に変わる
    • 社長も「偉い人」を演じなくて済む
    • 温かさと曖昧さは別物。温かいまま、はっきりさせる

    一度、自分の会社の絵を紙に描いてみてください。会社の上に自分が乗っていませんか。

    そして、社員が動かないとき「主体性がないからだ」と思い込みがちですが、たいていの場合、原因はもっと手前にあります。

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  • 朝5時半に起きる社長に、社員がついてくる理由

    朝5時半に起きる社長に、社員がついてくる理由

    社員が動かない。

    会社の空気が、なんとなく重い。

    何を言っても、跳ね返ってこない。

    僕は起業して12年、500名を超える経営者の方と向き合ってきました。こういうとき、社長さんは決まって社員のほうを見ます。

    でも、先に見てほしい場所があります。

    社員は、社長の言葉ではなく、社長の状態を見ています。


    落ち込んでいた1か月

    ある社長さんが、信頼していた社員に辞められました。

    そのあとの1か月を、ご本人がこう振り返っています。

    この1か月は、少し後ろ向きな言動が増えてしまった気がする。

    正直な一行です。

    そして、ここが大事なのですが、この1か月、社員は全部それを見ています。

    社長が何を言ったかではありません。どんな顔で会社に来て、どんな声で話していたか。それを毎日見ています。

    社長が後ろ向きだと、会社全体が後ろ向きになります。これは、気合いや根性の話ではなく、そういうものだと思ってください。


    そこで、この方が選んだこと

    普通なら、社員をどうするかを考えます。人を採る、配置を変える、発破をかける。

    でも、この社長さんが決めたのは、まったく別のことでした。

    必要な会食以外のお酒はやめて、朝5時半に起きてジムに行き、本を読む。

    ……自分のことなんですよ。

    会社のことを1つも決めていません。自分を整えることだけを決めた。

    そして、こう書いていました。

    ジムに行き、本を読み、瞑想をして心を整えてから会社に行くことで、自然と社員もついてくるような環境になってくる。

    整えてから、会社に行く。

    この順番が、すべてです。


    なぜ、社員のほうを先に触ってはいけないのか

    理由は、はっきりしています。

    落ちている状態で人を動かそうとすると、伝わり方が変わるからです。

    同じ「今月は頑張ろう」でも、社長が整っていれば励ましに聞こえます。社長が焦っていれば、圧に聞こえます。

    言葉は同じです。届き方が違うだけです。

    そして、社員は言葉より先に、焦りのほうを受け取ります。

    だから、焦ったまま人を動かそうとすると、たいてい裏目に出ます。

    先に自分。そのあと人。この順番を崩すと、労力のわりに何も変わりません。


    「行動が、感情を変える」

    ここで、もう1つ大事な話をします。

    落ち込んでいるとき、多くの人は気持ちが戻るのを待ちます。

    やる気が出たら動こう。前向きになったら決めよう。

    逆です。

    動いたから、気持ちが変わります。

    朝5時半に起きて、体を動かして、本を読む。この間、悩みは1ミリも解決していません。会社の状況も何も変わっていません。

    でも、見え方が変わります。

    なぜなら、体が整うと、同じ状況が違って見えるからです。これは精神論ではなく、体のほうが先に反応するというだけの話です。

    だから、気持ちが戻ってから動くのではなく、動いて気持ちを戻す。


    お酒を「やめた」のではありません

    もう1つ、この方の決め方がうまいところがあります。

    お酒を全部やめたわけではありません。

    「必要な会食以外は」と、ちゃんと線を引いています。

    これ、地味ですが大事です。

    全部やめると決めると、続きません。そして一度崩れたときに、全部が戻ります。

    そうではなく、残す場所を先に決めておく。仕事で必要な席は残す。それ以外を切る。

    こうすると、破らずに済みます。破らないから、続きます。

    続くルールは、最初から続く形で作られています。


    社員は、変わった社長を見ています

    そして、ここからが本題です。

    社長が整い始めると、何が起きるか。

    社員が、気づきます。

    言わなくても気づきます。朝の顔つきが違う。話すときの余裕が違う。判断が早くなる。

    そして、こう思います。

    「何かあったのかな」

    このとき、初めて言葉が効くようになります。整った社長が話す「今月はこうしよう」は、ちゃんと届きます。

    順番として、こうです。

    自分を整える → 社員が気づく → 言葉が届く → 会社が動く

    多くの社長さんは、いきなり最後の「会社が動く」をやろうとして、うまくいきません。


    社員には、押しつけないでください

    ここで、1つだけ注意点があります。

    自分が整い始めると、うれしくなって、こう言いたくなります。

    「みんなも朝早く起きたほうがいいよ」

    これ、やめてください。

    一気に台無しになります。

    なぜなら、社長にとっては自分で選んだことですが、社員にとっては押しつけられたことになるからです。

    同じ習慣でも、選んだものは続き、押しつけられたものは反発を生みます。

    しかも、伝わり方がこうなります。

    「早起きしていない自分は、ダメだと言われている」

    そんなつもりはなくても、そう届きます。

    だから、黙っていてください。

    黙っていても、必ず気づかれます。

    そして、気づいた人が自分から聞いてきます。「社長、最近なんか変わりましたね」

    そこで初めて話せばいい。聞かれてから話すのは、押しつけになりません。

    何をやるかは、何でもいいんです

    もう1つ。

    朝5時半でなくても構いません。ジムでなくても、本でなくてもいい。

    大事なのは中身ではなく、自分で決めて、続いていることです。

    散歩でもいい。夜に10分だけ日記を書くでもいい。

    「自分で決めたことを、自分で守れている」

    この感覚が戻ると、人は判断ができるようになります。

    逆に、決めたことを守れていない状態が続くと、自分の言葉を自分で信じられなくなります。そういう社長の言葉は、社員にも届きません。

    だから、小さくていい。守れる大きさで決めてください。


    まとめ

    • 社員は、社長の言葉ではなく状態を見ている
    • 落ちている社長の言葉は、励ましではなく圧として届く
    • 先に自分。そのあと人
    • 気持ちが戻ってから動くのではなく、動いて気持ちを戻す
    • 全部やめると続かない。残す場所を先に決める
    • 整える → 気づかれる → 言葉が届く → 会社が動く

    明日の朝、いつもより30分だけ早く起きてみてください。それだけで大丈夫です。

    そして、会社が動かないとき「社員に問題がある」と思い込みがちですが、たいていの場合、原因はもっと手前にあります。

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  • ビジョンを明文化していない会社で、静かに起きていること

    ビジョンを明文化していない会社で、静かに起きていること

    社長は、毎日いろんな人に会っています。

    新しいつながりを作って、次の柱を探している。

    会社の未来のために動いています。

    でも、社員からはこう見えていることがあります。

    「社長、また出かけてる」

    僕は起業して12年、500名を超える経営者の方と向き合ってきました。この食い違いは、想像以上に多いです。

    書いていないものは、共有されていません。


    社長が自分で気づいた、抜け

    ある社長さんが、社員の退職のあと、自分の課題をこう書いていました。

    私が何をしたいのか、なぜいろいろな方と頻繁に会っているのか。自分の行動について、もっと理解をしてもらう姿勢がなかった。

    これ、すごく正直な一行です。

    言っていなかったのではありません。理解してもらおうとしていなかった、と書いています。

    なぜなら、社長の頭の中では全部つながっているからです。

    今日の会食が、半年後の案件になる。その案件が、来年の柱になる。だから会いに行く。

    当たり前すぎて、説明が要ると思っていない。


    社員には、点しか見えていません

    社長には線が見えています。過去から未来まで、一本の線。

    でも社員に見えているのは、点だけです。

    • 今日、社長は外出した
    • 昨日も外出していた
    • 数字は上がっていない
    • 自分の歩合は遅れている

    この4つの点だけを見たら、どう解釈するでしょうか。

    線でつなげてしまいます。そして、たいてい悪いほうにつながります。

    これは、社員が疑い深いからではありません。情報が足りないと、人は勝手に埋めるからです。

    そして埋めるとき、不安なほうを選びます。


    「言ってるつもり」が、いちばん危ない

    社長さんに聞くと、こう言われます。

    「いや、言ってますよ。飲みの席で話したこともあるし」

    ここが落とし穴です。

    話したことと、共有されていることは違います。

    飲みの席の話は、その場で終わります。翌週には残っていません。

    そして、残っていないものは、無かったことと同じです。

    だから、書く。

    書いてあれば、いつでも見返せます。社員が不安になったときに、自分で確認できます。社長がその場にいなくても、機能します。


    立派なものは、要りません

    「ビジョンを明文化しましょう」と言うと、身構える社長さんがいます。

    言葉を練って、額に入れて、壁に貼るような。

    そういうものは要りません。

    必要なのは、この3つだけです。

    ① どこに向かっているのか② そのために、今なにをしているのか③ それが、あなたの仕事とどうつながるのか

    紙1枚で足ります。きれいな言葉である必要もありません。

    大事なのは、③があることです。

    ①と②だけだと、社員にとっては他人事です。自分の仕事がその線のどこに乗っているかが見えて、初めて自分の話になります。


    書くと、社長自身が助かります

    もう1つ、あまり言われないことを書きます。

    明文化して得をするのは、社員だけではありません。

    社長自身が、いちばん助かります。

    理由は2つあります。

    1つめ。書こうとすると、決まっていない部分が見つかります。

    書けない箇所が出てきます。そこが、まだ決めていない場所です。頭の中では線に見えていたのに、実は途切れていた。これが分かるだけでも大きい。

    2つめ。説明の回数が減ります。

    紙があると、毎回ゼロから話さなくて済みます。新しい人が入ったときも、同じ紙を渡せば済みます。

    書くのは1回。使うのは何度でも。


    書いたら、声に出して読んでください

    紙を作ったあと、多くの社長さんがやらないことがあります。

    渡して終わりにします。

    これだと、半分しか届きません。

    おすすめは、一緒に読むことです。

    5分でいいので、社員の前で声に出して読む。そして、こう聞きます。

    「これ、読んでどう思いましたか」

    ここで出てくる反応が、宝です。

    「ここ、よく分かりません」「これ、自分の仕事だと思っていませんでした」

    ズレが、その場で見つかります。

    紙を渡しただけだと、このズレは半年後まで見つかりません。

    しかも、読み合わせをすると、社員のほうも「これは自分に関係がある話だ」と分かります。渡された紙は読まれませんが、一緒に読んだ紙は残ります。

    数字も、一緒に見せてください

    もう1つ、足してほしいものがあります。

    会社の数字です。

    方向だけ語って、数字を隠す社長さんが多いです。

    でも、方向と数字はセットでないと、実感が湧きません。

    「3年後にこうなりたい」と言われても、今どこにいるか分からなければ、遠いのか近いのかも分かりません。

    隠す理由は、たいてい2つです。不安にさせたくない。それと、足りていないのを見られたくない。

    でも、社員は薄々気づいています。隠されているほうが、不安です。

    見せると、こうなります。

    「あと1件で届く」

    数字が入った瞬間、方向は「自分の話」になります。


    まとめ

    • 社長には線が見えている。社員には点しか見えていない
    • 情報が足りないと、人は勝手に埋める。しかも悪いほうに
    • 話したことと、共有されていることは違う
    • 残っていないものは、無かったことと同じ
    • 必要なのは、どこへ/今なにを/あなたの仕事とどうつながるか、の3つ
    • ③がないと、社員にとって他人事のまま
    • 書けない箇所が、まだ決めていない場所

    紙1枚でいいので、今の会社がどこに向かっているのかを書いてみてください。

    そして、社員に伝わらないとき「うちの社員は関心がない」と思い込みがちですが、たいていの場合、原因はもっと手前にあります。

    あなたの案件が「どこで止まっているのか」は、無料の診断ツールで60秒でチェックできます。止まっている場所が分かれば、次の一歩も見えてきます。

  • 「何とかなる」という楽観が、一番高くついた

    「何とかなる」という楽観が、一番高くついた

    苦しい時期でも、なぜか「何とかなる」と思える。

    実際、これまで何とかなってきた。

    だから、今回も何とかなると思っていた。

    僕は起業して12年、500名を超える経営者の方と向き合ってきました。この感覚、経営者にはとても多いです。

    そして、これは間違いなく強みです。

    ただ、1つだけ気をつけてほしいことがあります。

    「何とかなる」が、決めないことの言い訳になっていないか。


    自分で書き出した「弱み」

    ある社長さんが、信頼していた社員の退職を経験しました。

    そのあと、自分の強みと弱みを、自分で書き出しています。

    強み

    • 会社の売上が悪くても、責任転嫁しない
    • 常に笑顔
    • 反響がなくても契約が取れる

    弱み

    • 会社の状況についての説明不足
    • 話す回数が足りていなかった
    • やる気を上げる声かけが足りなかった
    • 人を雇うことについての知識不足
    • 何とかなるという、楽観視が過ぎた

    ……最後の一行が、鋭いです。

    自分の性格の良い面を、ちゃんと代償ごと見ています。


    前を向ける力の、裏側

    「何とかなる」と思える人は、動けます。

    不安で固まる人が多い中で、これは相当な武器です。

    でも、この力には裏側があります。

    「今、決めなくても大丈夫」に変換されやすいんです。

    たとえば、こう。

    • 契約書は、そのうち作ればいい
    • 歩合の計算方法は、聞かれたら説明すればいい
    • 評価の基準は、いま決めなくても回っている

    全部、正しいんですよ。今日は。

    そして、たいていの日は何も起きません。だから、この判断は毎日「正解」になります。

    でも、何も起きなかった日が続くこと自体が、危険の蓄積です。

    決めていない項目は減らず、会社の規模だけが大きくなっていきます。


    高くつくのは、いつも同じタイミング

    では、いつ代償が来るか。

    辞めるときです。

    入るときは、みんな善意です。だから曖昧でも回ります。

    でも辞めるとき、初めて確認が入ります。歩合はどうなるのか。有給はどうなるのか。引き継ぎはどこまでか。

    そこで、決めていなかったことが全部いっぺんに表に出ます。

    しかも、相手はもう心が離れている状態で確認してきます。

    これが、いちばん高くつく形です。

    「何とかなる」で先送りしたものは、いちばん体力が落ちているときに、まとめて請求されます。


    楽観をやめる必要はありません

    ここが、大事なところです。

    僕は、その社長さんにこうお伝えしました。

    弱みをなくす必要はありません。強みはそのまま、弱みは仕組みで補ってください。

    「何とかなる」をやめて、心配性になろうとする社長がいます。

    やめたほうがいいです。強みまで一緒に消えます。

    前を向ける力は、社員が見ています。社長が暗いと、会社全体が暗くなります。売上が落ちても人のせいにしないという資質は、本当に得難いものです。

    だから、性格は変えない。

    代わりに、1つだけ足す。

    確認と、書き出しです。


    具体的には、こうします

    やることは、単純です。

    「何とかなる」と思った瞬間に、それを紙に書く。

    たとえば、こうです。

    • 「契約書、そのうちでいいか」と思った → 紙に書いて、期限を入れる
    • 「歩合の説明、聞かれたら話せばいいか」と思った → 紙に書いて、次の面談で話すと決める

    これだけです。

    楽観のままでいい。ただし、記録に残す。

    なぜこれが効くかというと、楽観的な人は忘れるからです。悩まないので、頭に残りません。

    つまり、問題は判断ではなく、記憶なんですよ。

    だから、外に置いておく。紙が心配性を担当してくれるので、本人は前を向いたままでいられます。


    もう1つの、高くつき方

    代償の出方は、辞めるときだけではありません。

    もう1つ、静かに効いてくるものがあります。

    判断が、遅れます。

    「何とかなる」と思っていると、問題が問題に見えません。

    数字が少し落ちている。でも、まぁ何とかなる。人の様子が少しおかしい。でも、まぁ何とかなる。

    そして、実際にたいてい何とかなります。

    ところが、本当に手を打つべき1回が来たときも、同じ顔で通過してしまいます。

    これが怖い。

    判断の精度が悪いのではありません。全部同じ扱いになることが問題なんです。

    だから、線を引いておいてください。

    「ここを下回ったら、必ず動く」

    数字でも、状態でもいい。1つでいいので、決めておく。

    楽観のままでも、線があれば止まれます。

    悲観になろうとしないでください

    念のため、もう一度書きます。

    この話をすると、まじめな社長さんほど、こう考えます。

    「もっと危機感を持たないといけない」

    やめてください。

    危機感を持った経営者が強いわけではありません。危機感を持つと、目先しか見えなくなります。

    長く続いている会社の社長さんは、だいたい明るいです。楽観的です。

    なぜなら、続けるには、明るさが要るからです。暗い状態で10年は続きません。

    必要なのは、危機感ではなく記録です。

    明るいまま、書いておく。それだけで、楽観は強みのままでいられます。


    まとめ

    • 「何とかなる」は強み。前を向けるから動ける
    • ただし「今決めなくていい」に変換されやすい
    • 決めていない項目は、辞めるときに全部まとめて出てくる
    • いちばん体力が落ちているときに、請求が来る
    • 性格を変えると、強みまで消える
    • 強みはそのまま、弱みは仕組みで補う
    • 「そのうちでいいか」と思った瞬間に、紙に書いて期限を入れる

    今日「まぁ何とかなるか」と思ったことを、1つだけ紙に書いてみてください。

    そして、問題が起きたとき「自分の見通しが甘かった」と責めがちですが、たいていの場合、原因はもっと手前にあります。

    あなたの案件が「どこで止まっているのか」は、無料の診断ツールで60秒でチェックできます。止まっている場所が分かれば、次の一歩も見えてきます。

  • 「こうしたらいいな」を「こうする」に変えた日

    「こうしたらいいな」を「こうする」に変えた日

    やりたいことは、見えている。

    方向も間違っていない気がする。

    でも、いつまでも始まらない。

    僕は起業して12年、500名を超える経営者の方と向き合ってきました。この状態には、はっきりした正体があります。

    決めていないだけです。


    ある社長が書いた、一行

    課題に取り組んでいた社長さんが、最後にこう書いてきました。

    こうしたらいいなではなく、こうする!!

    たった一行です。

    でも、僕はこの一行を読んだとき、この方は変わったなと思いました。

    なぜか。

    願望は伝わらないけれど、決定は伝わるからです。


    「こうしたらいいな」は、独り言です

    考えてみてください。

    社長が「もっと現場を見に行ったほうがいいと思うんだよね」と言う。

    社員はどう受け取るか。

    「そうですね」で終わります。

    これは、社員が悪いのではありません。その文には、行動の指示が入っていないからです。感想を言われたので、感想を返した。それだけです。

    一方、「今月から、現場は週に3件見に行きます」だとどうか。

    やることが決まりました。

    同じ内容です。変わったのは、語尾だけ。


    社長は、無意識に語尾をぼかします

    しかもこれ、意識してやっているわけではありません。

    言い切るのが怖いから、そうなります。

    言い切ると、責任が発生します。もし違っていたらどうしよう。社員に反発されたらどうしよう。やらせておいて、自分が忙しくて見られなかったらどうしよう。

    だから、無意識に逃げ道を作ります。

    「〜したほうがいいと思う」「できれば〜してほしい」「余裕があったら〜」

    全部、逃げ道です。

    そして、逃げ道のある指示は、必ず逃げられます。


    願望のままだと、誰も悪くなくなります

    ここが、いちばん怖いところです。

    「こうしたらいいな」で終わっていると、やらなくても誰も悪くありません。

    社長は言った。社員は聞いた。でも決まっていないので、やらなくても違反にならない。

    そして半年後、社長がこう言います。

    「なんで、やってないの」

    社員は、内心こう思います。

    「やれって言われてない」

    ……どちらも、嘘をついていません。

    決まっていなかっただけです。

    こうして、社長は「うちの社員は動かない」と思い、社員は「うちの社長は気分屋だ」と思う。両方が損をします。


    決めるときの、たった1つのコツ

    では、どうやって決めるか。

    コツは1つです。

    小さくすること。

    いきなり大きなことを決めようとするから、決められません。

    「営業体制を改革する」は決められない。でも「週に3件、現場を見る」なら決められます。

    その社長さんも、僕からお願いしたのは1つだけでした。

    ルールを1つだけ、紙に書いて社員に伝える。

    何でもいい。「物件は週に最低3件見る」でもいい。

    そして、決めて、伝えて、振り返る。この一周を一度だけ回してみてください、とお伝えしました。

    一周回すと、景色が変わります。

    なぜなら、決めたことが実際に動いたという体験が残るからです。それがあると、2つめを決めるのが急にラクになります。


    完璧に決めなくて、いいんです

    もう1つだけ。

    決められない社長さんは、正しい決定をしようとしています。

    でも、経営に正解はありません。やってみないと分かりません。

    だから、こう考えてください。

    決定は、修正できます。

    来月「やっぱり週3件は多かった」と分かったら、2件に直せばいい。それは失敗ではなく、動いたから得られた情報です。

    決めていない状態からは、情報すら出てきません。

    決めるのが怖いのは、変えられないと思っているからです。変えていいと分かれば、決めるのは一気に軽くなります。


    決めたら、見える場所に置いてください

    決めたあとに、もう1つだけやることがあります。

    紙にして、置く。

    口で言っただけだと、こうなります。

    社長は「言った」と思っている。社員は「聞いた気がする」くらいで覚えている。

    そして1か月後、誰も何も覚えていません。

    だから、決めたことは1行でいいので書いて、いつでも見える場所に置いてください。

    貼り紙でも、共有のメモでも構いません。

    なぜこれが要るかというと、決定は、思っている以上に早く薄れるからです。

    書いてあれば、社長が忘れても残ります。社員が忘れても残ります。

    紙は、記憶を担当してくれます。

    社員は、決めてくれる人を求めています

    最後に、いちばん誤解されていることを書きます。

    決めるのをためらう社長さんは、こう思っています。

    「決めつけたら、窮屈に感じるんじゃないか」

    逆です。

    決まっていないほうが、社員は苦しいです。

    なぜなら、決まっていない状態というのは、毎回自分で判断して、外れたら怒られるかもしれない状態だからです。

    基準がないと、安心して働けません。

    決めるというのは、縛ることではありません。

    「ここまでやれば大丈夫」という線を渡すことです。

    線があると、人はその中で自由に動けます。線がないほうが、実は動けないんです。


    まとめ

    • 願望は伝わらない。決定だけが伝わる
    • 「こうしたらいいな」は独り言。行動の指示が入っていない
    • 語尾をぼかすのは、言い切るのが怖いから
    • 決めていないと、やらなくても誰も悪くならない
    • 決めるコツは、小さくすること
    • 決めて、伝えて、振り返る。この一周を回す
    • 決定は修正できる。だから怖くない

    いま頭の中にある「こうしたらいいな」を1つ選んで、語尾だけ「こうする」に変えてみてください。

    そして、会社が動かないとき「自分に決断力がないからだ」と思い込みがちですが、たいていの場合、原因はもっと手前にあります。

    あなたの案件が「どこで止まっているのか」は、無料の診断ツールで60秒でチェックできます。止まっている場所が分かれば、次の一歩も見えてきます。

  • 優しいだけの社長が、一番失うもの

    優しいだけの社長が、一番失うもの

    社員に、厳しいことが言えない。

    言おうと思って、口を開いて、結局「まぁ、いいか」で終わる。

    そして、同じことが繰り返される。

    僕は起業して12年、500名を超える経営者の方と向き合ってきました。この悩みを持つ社長さんは、全員いい人です。

    だから、こうお伝えしています。

    優しさを捨てる必要はありません。足りないのは、厳しさではなく「決めること」です。


    「支えるだけ」と「導く」は、違います

    ある社長さんが、自分の状態をこう書いていました。

    「支えるだけ」ではなく「導く存在」になる

    この一行、すごくいいんですよ。

    支えるというのは、相手の今を守ることです。

    導くというのは、相手の未来をつくることです。

    どちらも愛ですが、向いている先が違います。

    そして、支えるだけを何年も続けると、相手の今は守れても、未来は止まります。


    「なぁなぁだった」

    同じ社長さんが、こうも書いていました。

    これまでは、結構な部分でなぁなぁな関係でした。私自身もしっかりとした明確で分かりやすい指示をしてこなかったし、検証、振り返りをしてこなかった。

    この、自分を責めずに正直に振り返れる姿勢。ここに、この方の強さが出ています。

    ちなみに、この会社で何が起きていたか。

    営業の会社なのに、社員がずっと会社の中にいる。外に出ない。現場も見に行かない。

    でも、社長は何も言っていませんでした。

    「言わなくても分かるだろう」と思っていたわけではありません。言いにくかったんです。

    その結果、社員のほうは「これが普通なんだ」と思い込んでいました。

    誰も悪くない。でも、伝えていないことは、伝わっていません。


    厳しさとは、責めることではありません

    ここで、多くの社長さんが誤解します。

    厳しくする=怒る、詰める、圧をかける。

    違います。

    厳しさとは、「ここまでやろう」と一緒に基準を決めることです。

    「今月から、現場は週に最低3件見に行こう」

    これ、怒っていません。声も荒げていません。

    でも、基準がはっきりしています。

    そして、基準があると、できたかできなかったかが分かります。分かるから、振り返れる。振り返れるから、伸びます。

    優しい人でも、これはできます。むしろ、優しい人がやったほうが効きます。


    優しいだけの社長が、失うもの

    では、決めないままだと何を失うか。

    3つあります。

    1つめは、社員の成長です。基準がないので、どこを目指せばいいか分かりません。

    2つめは、社長自身の時間です。育たないので、いつまでも社長が現場に出ます。

    そして、3つめが一番大きい。

    社員からの信頼です。

    意外に思われるかもしれません。優しくしているのに、信頼を失う。

    でも、考えてみてください。何も言われない状態が続くと、社員はこう思います。

    「この人は、自分に興味がないのかもしれない」

    言われないことは、優しさではなく関心のなさとして届くことがあります。


    「優しいけれど、道しるべになる社長」

    最後に、その社長さんが自分で言葉にした、目指す姿を紹介します。

    優しいけれども、しっかりと道しるべになってくれる社長。何か困ったことがあっても相談のしやすい環境を提供できる社長。否定しない、常にポジティブ、一緒にずっと働きたいと思える社長。

    優しさと厳しさを、対立ではなく両立として描けています。

    ここが大事です。

    厳しくするために優しさを捨てる社長がいますが、それは別人になっているだけです。誰もついてきません。

    優しさは、そのまま持っていていい。そこに「決めて、伝えて、見届ける」を足すだけです。


    厳しく言えない人が、使える言い方

    とはいえ、「今日から基準を伝えよう」と思っても、口が動かない人がいます。

    分かります。僕もそうでした。

    そういうときは、主語を変えてみてください。

    言いにくいのは、たいてい主語が相手だからです。

    「あなたは、現場を見に行っていないよね」

    これは、言いにくい。責めている形になっているので。

    主語を自分にすると、こうなります。

    「僕は、みんなに現場をもっと見てほしいと思っています」

    内容は同じです。でも、責めていません。自分の願いを言っているだけなので、言いやすい。

    そして、聞くほうも身構えません。

    ここから基準につなげます。

    「なので、週に3件と決めます」

    願い、そして決定。この2文だけです。

    言いにくさの正体は、たいてい言い方の型を持っていないことです。型があれば、優しい人でも言えます。

    順番を、間違えないでください

    もう1つ、大事なコツがあります。

    先に承認、あとで基準。

    いきなり基準の話から入ると、否定として届きます。

    だから、必ずこの順にしてください。

    「いつも助かっています。ありがとうございます」「その上で、1つ決めたいことがあります」

    前半がないと、後半が刺さります。前半があると、後半が届きます。

    ちなみに、この前半はお世辞ではいけません。本当に思っていることを言ってください。

    優しい社長さんなら、本当に思っていることが必ずあるはずです。それを、口に出していないだけです。


    まとめ

    • 支えるのは今を守ること。導くのは未来をつくること
    • 言いにくいことを後回しにするのが、優しい社長の癖
    • 厳しさ=責めることではなく、一緒に基準を決めること
    • 失うのは、社員の成長・社長の時間・そして信頼
    • 何も言われない状態は、関心のなさとして届く
    • 優しさは捨てない。「決めて、伝えて、見届ける」を足す

    明日、基準を1つだけ決めて、伝えてみてください。何でも構いません。

    そして、社員が動かないとき「厳しく言えない自分が悪い」と責めがちですが、たいていの場合、原因はもっと手前にあります。

    あなたの案件が「どこで止まっているのか」は、無料の診断ツールで60秒でチェックできます。止まっている場所が分かれば、次の一歩も見えてきます。

  • 言われる前に潰しておくべき、5つの曖昧さ

    言われる前に潰しておくべき、5つの曖昧さ

    立ち上げから一緒にやってきた社員が、辞めると言ってきた。

    まったく予想していなかった。

    僕は起業して12年、500名を超える経営者の方と向き合ってきました。この話を聞くと、必ず同じことをお伝えします。

    辞めた原因は、その人の気持ちではありません。決めていなかったことです。


    「うちは信頼関係でやってるから」

    小さい会社ほど、こう言います。

    そして、それは嘘ではありません。実際、仲は良い。飲みにも行く。相談もされる。

    でも、信頼関係と、決め事は別のものです。

    信頼があるから決めなくていい、ではありません。決めていないから、信頼が削れていくんです。

    ある社長さんが、社員の退職のあとにご自身で洗い出した項目があります。

    これが、驚くほど教科書的でした。5つです。


    ① 雇用の契約が、書面になっていない

    「うちは家族みたいなものだから」と、口約束で始めている会社があります。

    これが、いちばん危ない。

    もめるのは、辞めるときだからです。

    入るときは全員が善意です。だから何も決めなくても回る。でも辞めるとき、双方の記憶が食い違います。

    そして、書いていないほうが必ず損をします。


    ② 評価の基準が、決まっていない

    「頑張ってるから、そのうち上げてあげよう」

    これ、社長の頭の中にしかありません。

    社員から見ると、上がるかどうかが社長の気分次第に見えます。

    そして、この状態が続くと、こう思われます。

    「この会社にいても、先が読めない」

    人は、給料の額そのものより、上がる道筋が見えないことで辞めます。


    ③ 歩合の扱いが、あいまい

    歩合を出している会社は、ここが特に危ないです。

    いくらの案件で、いつ、いくら入るのか。取り消しになったらどうなるのか。

    この計算を、社員が自分でできますか。

    できないなら、あいまいです。


    ④ 働き方の指針が、ない

    在宅勤務を認めている会社で、よく起きます。

    何時から何時まで動くのか。何を報告するのか。会社に来るのは週に何回か。

    自由にしていいよ、は指針ではありません。

    決まっていないと、社員は「これでいいのか」と不安なまま働きます。そして社長は「サボっていないか」と不安なまま見ています。

    どちらも消耗しています。


    ⑤ お金の入りと出のタイミングが、不安定

    これが、5つの中でいちばん効きます。

    その社長さんは、退職した社員の立場に立って、こう書き出していました。

    「社長は飲みに行ったりゴルフに行ったりしているのに、私への歩合が遅れるというのはどういうこと?」

    ……痛いですよね。

    でも、この言葉を自分で書き出せたことが、この方のすごさです。

    人は、自分に都合の悪い相手の本音からは、つい目をそらします。

    そして、これは金額の問題ではありません。説明がなかったことの問題です。

    遅れるなら遅れると先に言う。理由も言う。それだけで、人は待ってくれます。

    黙って遅れるのが、いちばん信頼を削ります。


    悪い社長だから、起きるのではありません

    念のため書いておきます。

    この社長さん、人としてはとてもいい方です。

    売上が落ちても人のせいにしない。いつも笑顔。社員思い。

    それでも、起きました。

    なぜなら、優しさは決め事の代わりにならないからです。

    むしろ、優しい社長ほど「言いにくいこと」を後回しにします。契約の話、評価の話、お金の話。全部、言いにくいことです。

    だから曖昧なまま置かれる。そして、いちばん信頼していた人が離れていきます。


    明文化は、社長を守るためではありません

    もう1つ、伝えておきたいことがあります。

    契約書や規則の話をすると、こう受け取る社長さんがいます。

    「自分が訴えられないようにするため」

    違います。逆です。

    決め事は、社員のためにあります。

    想像してみてください。あなたが社員だとして、評価の基準も、歩合の計算も、休みの取り方も、何ひとつ紙になっていない会社にいるとします。

    毎日、社長の顔色を読むことになります。

    今日は機嫌がいいから聞けそうだ。今は忙しそうだからやめておこう。

    この読み合いに、どれだけの気力が使われているか。

    決め事があると、この作業が消えます。紙を見ればいいので、社長に確認しなくていい。

    顔色を読まなくていい会社は、それだけで働きやすいんです。

    そして、社長も助かります。同じ質問を何度も受けなくて済みますから。

    「人が増えてから」では、遅いです

    もう1つよく聞くのが、これです。

    「うちはまだ3人だから、そこまで要らない」

    気持ちは分かります。でも、順番が逆です。

    3人のうちに作っておくから、10人になっても回ります。

    10人になってから作ろうとすると、すでに人それぞれの慣習ができあがっています。それを後から揃えるのは、ゼロから作るより何倍も大変です。

    しかも、後から作ったルールは「誰かのせい」に見えます。

    「あの人が問題を起こしたから、こうなった」

    こうなると、決め事そのものが嫌われます。

    誰も何も起こしていない今のうちに作る。これがいちばん摩擦がありません。


    まとめ

    • 辞める原因は気持ちではなく、決めていなかったこと
    • ① 雇用の契約を、書面にする
    • ② 評価の基準を、決めて見せる
    • ③ 歩合を、社員が自分で計算できる形にする
    • ④ 働き方の指針を、決めて渡す
    • ⑤ お金の入りと出は、先に説明する
    • 優しい社長ほど、言いにくいことを後回しにする

    5つ全部やろうとすると、動けません。まず1つ、紙に一行書くところからで大丈夫です。

    そして、人が離れていくとき「相手の問題だ」と思い込みがちですが、たいていの場合、原因はもっと手前にあります。

    あなたの案件が「どこで止まっているのか」は、無料の診断ツールで60秒でチェックできます。止まっている場所が分かれば、次の一歩も見えてきます。

  • 売上ノルマをやめて、アポノルマにしました

    売上ノルマをやめて、アポノルマにしました

    売上目標を立てる。全員に伝える。

    でも、社員の顔が重い。動きも変わらない。

    そして月末が近づくと、みんな下を向く。

    僕は起業して12年、500名を超える経営者の方と向き合ってきました。この状況には、はっきりした原因があります。

    追わせている数字が、本人にコントロールできないものだからです。


    売上は、自分では決められません

    考えてみてください。

    売上は、お客さんが決めるものです。

    どれだけ頑張っても、相手が「今回は見送ります」と言えば、その月の数字は動きません。

    つまり社員にとって、売上目標は「自分ではどうにもならないものを、追わされている」状態です。

    これが続くと、どうなるか。

    無力感が出ます。

    やってもやらなくても、数字は運次第に見える。だったら頑張っても意味がない。そう感じ始めます。

    そして怖いのが、これは怠けているのではないということです。構造が、そう感じさせているんです。


    追わせる場所を、変えました

    ある会社の社長さんが、これを切り替えました。

    やったことは、シンプルです。

    売上ノルマではなく、アポイントのノルマにする。

    具体的には、こう決めました。

    一人あたり、週に2件のアポイントを取る。

    それだけです。売上の話は、目標からいったん外しました。


    数字は、ちゃんと計算されています

    ここが大事なところです。これは気休めではありません。

    その社長さんは、きっちり逆算していました。

    • 一人が週に2件 → 月に8件
    • 社員3人なので、月に24件
    • そのうち、どんなに悪くても10件に1件は契約になる
    • つまり、月に2件の契約
    • 2件で、売上は300万〜400万

    最低限の売上目標は、これで達成できる。

    そこに紹介のお客さんが加われば、上振れする。

    つまり、アポの数さえ追っていれば、売上は勝手についてくるという設計です。

    社員は売上を追っていません。でも、結果として売上が積み上がる形になっている。


    プレッシャーが、まるで違います

    同じ数字を目指しているのに、感じ方がまったく変わります。

    「今月400万円」と言われると、重いんですよ。どこから手をつけていいか分からない。

    でも「週に2件アポを取る」なら、今日やることが分かります。

    しかも、2件です。1日ではありません。1週間で2件。

    社長さんもこう書いていました。

    売上のノルマではなく、アポイントのノルマなので、それほどのプレッシャーがかからない。

    数字の目標も、そこまで重くない。

    そして、ここが効いています。プレッシャーが軽いほうが、動く量は増えるんです。

    重いノルマは、人を止めます。動く前に考え込ませてしまうので。


    既存のお客さんに、会いに行く

    もう1つ、この社長さんが決めていたことがあります。

    アポイントは、新規だけではない。

    新規ばかり追うのは、しんどいです。断られ続けるので、心が削れる。

    だから、こう決めました。

    買ってくれた人にアポを取って、会いに行く。

    • 困りごとはないか
    • 紹介してくれそうな人はいないか
    • 新しい生活はどうか

    これも、立派な週2件のうちの1件です。

    そして、この方が言っていたことが本質です。

    購入してくれた方に定期的に会うと、紹介が増える。そして、新しい生活を見て喜んでもらえているのを実感できる。有意義な仕事をしていると気づける。

    これ、売上のためだけの話ではないんですよ。

    社員が、自分の仕事の意味を思い出す場になっています。

    新規開拓だけを続けていると、断られた回数しか記憶に残りません。でも既存のお客さんに会いに行くと、喜んでいる顔が見られる。

    これがあるかないかで、続けられるかどうかが変わります。


    数字は、共有してください

    もう1つ、やってほしいことがあります。

    なぜ「週2件」なのかを、社員に説明する。

    ここを省く社長が、とても多いです。「週2件やってくれ」とだけ伝える。

    すると、どうなるか。

    ただのノルマになります。押しつけられた数字は、こなす対象にしかなりません。

    でも、さっきの計算をそのまま見せたらどうでしょうか。

    「一人が週2件で、3人だと月24件。10件に1件は決まるから、月に2件。1件が150万〜200万だから、これで会社の最低ラインは超える」

    自分の2件が、どこにつながっているかが見えます。

    そして、こう思えたら強いです。

    「自分の2件がないと、会社の数字が埋まらない」

    これは、プレッシャーとは違います。役割が見えている状態です。

    人は、意味の分からない数字は追いません。でも、自分の1件が全体のどこに刺さっているかが見えると、勝手に追い始めます。

    数字を隠す社長がいますが、僕はもったいないと思っています。見せたほうが、動きます。

    月曜に、1対1で話す

    そして、この仕組みを回すために、もう1つ置いていました。

    毎週月曜日に、一人ひとりとミーティングをする。

    そこで見るのは、詰めることではありません。

    • 今週、どうアプローチしたのか
    • どんな方法を試したのか
    • 週末のアポに向けて、どう動くか

    やり方をレクチャーしたり、「どうすればいいと思う?」と考えさせたり。

    数字を追わせる仕組みを置いたら、その数字を作る方法を一緒に育てる。この2つはセットです。

    置きっぱなしにすると、ただの新しいノルマになります。


    まとめ

    • 売上は、本人がコントロールできない。だから追わせると無力感が出る
    • 追わせる場所を、行動に変える。週に2件のアポイント
    • 逆算しておく。週2×月8×3人=24件、1/10成約で月2件、売上300〜400万
    • 同じ数字でも、プレッシャーがまるで違う
    • 軽いほうが、動く量は増える
    • アポは新規だけでなく、既存のお客さんにも
    • 喜んでいる顔を見ることが、続ける力になる
    • 仕組みを置いたら、やり方を一緒に育てる

    いま社員に追わせている数字は、本人が自分で動かせるものでしょうか。

    そして、動かないとき「うちの社員はやる気がないからだ」と思い込みがちですが、たいていの場合、原因はもっと手前にあります。

    あなたの案件が「どこで止まっているのか」は、無料の診断ツールで60秒でチェックできます。止まっている場所が分かれば、次の一歩も見えてきます。

  • 「どうすればいいですか」と聞く部下を変える、1つのルール

    「どうすればいいですか」と聞く部下を変える、1つのルール

    部下が相談に来ます。

    そして、こう言います。

    「これ、どうすればいいですか」

    ……1日に何回、この言葉を聞いていますか。

    僕は起業して12年、500名を超える経営者の方と向き合ってきました。この状態の会社には、共通した1つの穴があります。

    相談のときのルールが、決まっていません。


    「自分の考えがなかった」

    ある社長さんが、自社の状態をこう書いていました。

    「どうすれば良いですか、など、自分の考えがなかった」

    短い一文ですが、状況が全部入っています。

    相談は来る。でも、手ぶらで来る。

    そして社長が答えを出す。部下はそれを持って帰る。うまくいく。

    一見、何も問題がないように見えます。仕事は前に進んでいますから。

    でも、この形を続けていると、決まった数だけ社長の仕事が増えていきます。そして部下の判断力は、1ミリも増えません。


    ルールは、たった1行です

    その社長さんが決めたルールは、これでした。

    相談をする前に、自分で考えた案を出す。または、やってみてから相談する。

    これだけです。

    「相談するな」ではありません。相談していい。ただし、手ぶらでは来ない。

    この1行を置くだけで、何が変わるか。

    部下が、相談する前に必ず一度考えます。

    考えて、案を作って、それを持ってくる。この過程が、そのまま訓練になります。

    しかも面白いことに、考えている途中で解決してしまうことがかなりあります。人に説明できる形にまとめる過程で、自分で答えが見えるからです。

    相談件数そのものが、勝手に減ります。


    案が間違っていても、いいんです

    ここで大事なことがあります。

    持ってきた案が、間違っていても構いません。

    むしろ、間違っているほうがいい。

    なぜなら、そこから会話が始まるからです。

    「なるほど、そう考えたんですね。なぜそう思いました?」

    「もし、そうしなかった場合はどうなりますか」

    こういうやり取りができます。手ぶらで来られたら、この会話は成立しません。答えを渡して終わりです。

    そして、こういうやり取りを重ねた部下は、次からその問いを自分の中で先にやるようになります。

    社長の頭の使い方が、そのまま移っていくんですよ。


    最初に、必ず承認してください

    ただし、1つだけ守ってほしいことがあります。

    案を持ってきたら、まず「考えてきたこと自体」を認めてください。

    ここが分かれ道です。

    せっかく考えて持ってきたのに、いきなり「いや、それは違う」と言われたら、どうなるか。

    次から、また手ぶらで来ます。

    考えても否定されるなら、考えないほうが早いからです。合理的な判断です。

    だから、まず一言。

    「お、考えてきたんですね」

    それから中身の話に入る。この順番だけで、続くかどうかが決まります。

    自律的に動く組織になるか、また指示待ちに戻るか。分かれ目は、たいていここです。


    週に1回、必ず向き合う

    もう1つ、その社長さんが決めたことがあります。

    毎週1回以上、一人ひとりとミーティングをする。

    ルールを置いただけでは、定着しません。

    「案を持ってこい」と言われても、最初はうまく作れない。何をどこまで考えればいいのかも分からない。

    だから、練習の場を用意しておくんです。

    そこで、案の作り方そのものを一緒にやる。どう考えたか、他にどんな選択肢があったか、なぜそれを選んだか。

    判断の仕方を教えているわけです。答えではなく。


    「やってみてから相談する」も、アリです

    さっきのルールには、もう1つ選択肢が入っていました。

    「または、やってみてから相談する」

    ここ、見落とされやすいのですが、実はかなり大事です。

    案を考えるのが苦手な人がいます。特に、経験が浅い人。頭の中だけで正解を作れと言われても、材料がないので作れません。

    そういう人には、先にやらせたほうが早いです。

    やってみれば、必ず何かが起きます。うまくいくか、うまくいかないか。どちらでも構いません。材料が手に入ります。

    そして持ってくる。「こうやってみたら、こうなりました」

    これなら、誰でもできます。そして、この報告は案よりも価値があります。実際に起きたことなので。

    だから、ルールは2択にしておいてください。

    • 考えてから相談する
    • やってみてから相談する

    どちらでもいい。手ぶらでなければいい。

    この幅があると、部下のタイプを問わず回ります。

    社長の仕事は、答えることではありません

    最後に、いちばん大事なことを書きます。

    社長が答えを出し続けている限り、その会社の判断力は、社長一人ぶんのままです。

    10人いても、判断できるのは1人。だから10人ぶんの相談が、1人に集まる。当然、詰まります。

    でも、部下が自分で案を作れるようになれば、判断力が人数ぶんに増えます。

    そのために社長がやることは、答えを出すことではありません。

    問いを返すことです。

    「あなたはどう思いますか」

    この一言を返せるかどうか。それだけで、数年後の会社がまったく違うものになります。


    まとめ

    • 「どうすればいいですか」は、ルールが無いから起きる
    • ルールは1行。相談の前に、自分の案を出す。またはやってみてから相談する
    • 考える過程で、勝手に解決することも多い
    • 案が間違っていてもいい。そこから会話が始まる
    • まず「考えてきたこと」を承認する。否定から入ると、次から手ぶらに戻る
    • 週1回、判断の仕方を一緒に練習する
    • 社長の仕事は、答えることではなく、問いを返すこと

    明日の相談から、「あなたはどう思いますか」を1回だけ言ってみてください。

    そして、部下が動かないとき「うちの社員は主体性がないからだ」と思い込みがちですが、たいていの場合、原因はもっと手前にあります。

    あなたの案件が「どこで止まっているのか」は、無料の診断ツールで60秒でチェックできます。止まっている場所が分かれば、次の一歩も見えてきます。

  • 面倒を見る優しさが、部下の成長を奪っています

    面倒を見る優しさが、部下の成長を奪っています

    部下が、なかなか育たない。

    任せたいけれど、任せると心配で、結局自分が出ていく。

    そして、いつまでも自分がいないと回らない。

    僕は起業して12年、500名を超える経営者の方と向き合ってきました。この状態の社長さんは、例外なく面倒見がいい人です。

    そして、そこに原因があります。

    面倒を見ることが、そのまま成長の機会を奪っています。


    ある社長が、自分で気づきました

    相談に来られた、社員数名の会社の社長さんの話です。

    その方は、部下の商談にほぼ毎回、同行していました。

    理由は、まっとうです。自分が一緒に行けば、うまくいくから。そして、その場で教えられるから。

    ところが、ある日ご自身でこう書いてこられました。

    「同行することによって、成長する機会を奪ってしまっている可能性もある」

    これ、僕が指摘したことではありません。ご本人が、自分で気づいたんです。

    そして、この一文を書ける社長は、実はそう多くありません。


    なぜ、同行すると育たないのか

    理由は単純です。

    社長がいると、部下は考えなくなるからです。

    これは、やる気の問題ではありません。当たり前の反応です。

    隣に答えを持っている人がいるなら、自分で考えるのは非効率ですよね。分からなくなったら振り返ればいい。判断が要る場面では、目で合図すればいい。

    その場は、確実にうまくいきます。

    でも、そこで部下が使ったのは「考える力」ではなく「頼る力」です。

    そして、この状態が何年も続くと、どうなるか。

    5年目の部下が、1年目と同じ判断力のままになります。

    社長は「まだ任せられない」と言います。でも、任せなかったから育っていないんですよ。順番が逆になっているんです。


    「あえて、やらない」

    その社長さんが決めたことは、シンプルでした。

    今までサポートしてきた部分を、あえてやらない。自分で考えさせる。どうしたほうがいいかを考えさせたうえで、ミーティングを重ねる。

    「あえてやらない」。これがすべてです。

    見放すのとは違います。手を出さずに、見ているんです。

    そして、後ろにミーティングを置いている。ここが大事です。放り出すのではなく、振り返りの場を用意したうえで、先に手を離す。

    順番が、こうなっています。

    やらせる → 失敗する → 一緒に振り返る → また やらせる

    多くの社長は、この最初の「やらせる」を飛ばして、いきなり教えます。だから何も残りません。


    手を出したくなる瞬間が、必ず来ます

    ただ、これは口で言うほど簡単ではありません。

    やらせてみると、下手なんです。

    自分がやれば5分で終わることに1時間かかる。言い方も甘い。詰めも甘い。見ていてイライラする。

    そして、こう思います。

    「貸してみろ」

    ここで手を出したら、全部が終わります。その瞬間、部下は「やっぱり自分では無理だ」と学習します。

    だから僕は、その社長さんにこう聞きました。

    「手を出したくなる瞬間が、必ず来ます。そのとき、自分にどんな言葉をかけてあげれば、ぐっとこらえられそうですか」

    これは、社長本人の課題なんですよ。部下の課題ではなく。

    任せられないのは、部下の実力の問題ではありません。社長が我慢できるかどうかの問題です。


    社長が現場にいると、社長の仕事ができません

    もう1つ、忘れてはいけないことがあります。

    その社長さんは、こうも書いていました。

    同行を続けていると、新しい事業を立ち上げる時間が取れない。

    そして、売上も停滞する。

    つまり、面倒を見ることのコストは、部下の成長だけではないんです。

    社長にしかできない仕事が、丸ごと止まっています。

    新しい柱を作る。人を採る。方向を決める。外とつながる。これは部下にはできません。社長の仕事です。

    その時間を、部下でもできる仕事に使っている。

    優しさのつもりが、二重に損をしているわけです。


    教えるより、失敗させたほうが安い

    もう1つ、社長が抱えがちな誤解があります。

    「失敗させたら、損をする」

    たしかに、目先ではそうです。取れたはずの契約が取れない。お客さんに迷惑がかかるかもしれない。

    でも、金額で考えてみてください。

    1件の失注と、5年間伸びない人材。どちらが高くつくでしょうか。

    しかも、失敗は取り返せます。社長がフォローに入ればいい。頭を下げに行けばいい。それは社長にしかできない仕事で、しかも一度で済みます。

    一方、育たなかった5年は取り返せません。

    だから僕は、こうお伝えしています。

    失敗させるコストは、育成の費用だと思ってください。

    研修に何十万も出す会社はたくさんあります。でも、目の前の1件を失敗させるほうが、はるかに濃い研修になります。

    そして、そこで痛い思いをした人は、二度と同じ失敗をしません。教わっただけの人は、何度でもやります。

    「自分の商店だと思ってやってくれ」

    最後に、その社長さんが言っていた言葉を紹介します。

    社員一人ひとりに、自分の商店をやっているつもりで働いてほしい。

    これは、突き放しているのではありません。

    「あなたの判断で決めていい」と渡しているんです。

    そして、その意識をつけるために、週1回のミーティングを必ずやると決めていました。

    任せる。でも、放置はしない。週に1回、必ず向き合う。

    このバランスが取れたとき、人は伸び始めます。


    まとめ

    • 面倒を見ることが、成長の機会を奪っている
    • 社長がいると、部下は考えない。やる気ではなく、当たり前の反応
    • 「あえてやらない」。見放すのではなく、手を出さずに見る
    • やらせる → 失敗する → 一緒に振り返るの順番
    • 手を出したくなる瞬間は必ず来る。そこは社長本人の課題
    • 社長が現場にいる間、社長の仕事は止まっている
    • 任せるが、放置はしない。週1回、必ず向き合う

    明日、1つだけでいいので、手を出すのをやめてみてください。

    そして、育たないとき「うちの社員のレベルが低いからだ」と思い込みがちですが、たいていの場合、原因はもっと手前にあります。

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