取りたくない客を、先に決めてください

来た人は、断らない。

そう決めている方が、多いと思います。

とくに始めたばかりの頃は、選べる立場ではないと感じますよね。1件でも取りたい。

僕は起業して12年、500名を超える経営者の方と向き合ってきました。そのうえで、はっきり言えることがあります。

がむしゃらに取った客で、うまくいった人を見たことがありません。

一人もいません。


直感は、もう答えを知っています

こういう瞬間、ありませんか。

話していて、「あ、この人とは合わないな」とふっと感じる。

理由はうまく言えない。相手が悪いわけでもない。でも、何かが引っかかる。

そのあと、頭がこう言い出します。

「でも、これだけの金額になるし」

「ここで断ったら、次いつ来るか分からないし」

「話せば分かってくれるかもしれないし」

これ、全部お金の理屈なんですよ。

直感のほうは、最初から答えを出しています。合わない、と。

でも頭が、メリットだけを並べて「取れ」と言ってくる。そして、たいていそっちに従ってしまう。

そして半年後、後悔します。


合わない人を1人入れると、場が変わります

なぜ、そこまで言うのか。

1人で完結しないからです。

僕は塾やコミュニティも運営していますが、そこに1人「持っているものが違う人」が入ると、場の空気そのものが変わります。

その人が悪意を持っているわけではありません。ただ、向いている方向が違う。

すると、周りの人が気を遣い始めます。発言が慎重になる。本音が出なくなる。

一番損をするのは、ちゃんとやろうとしている他の人たちです。

僕がその1人を取ったせいで、9人の場が薄くなる。これは、経営判断として明らかに間違っています。


「お金がない」は、そのままの意味です

もう1つ、線引きが必要なところがあります。

これは書くのに少し勇気が要りますが、大事なので書きます。

お金がない人は、ないんです。

「今は厳しいけど、なんとかします」と言われて、なんとかなった人は、正直ほとんどいません。

そして、ここが大事なところなんですが。

起業する前から、お金がなくて悩んでいる。その状態で始めていること自体に、たぶん無理があります。

そういう方に対して、僕も昔は「どうにかしてあげたい」と思って、必要以上に手を出していました。値段を下げたり、期間を延ばしたり、無料で見てあげたり。

結果どうなったか。

時間だけが消えて、お礼も言われませんでした。

これは相手が悪いのではありません。受け取る準備ができていない人に、渡そうとした僕の判断ミスです。


「助けたい」と「線を引く」は、両立します

ここで誤解してほしくないので、はっきり書きます。

助けたい気持ちで動くこと自体は、正しいです。

損得を横に置いて、目の前の人に与える。これは僕がずっと大事にしていることですし、結果的にそういう人のところに仕事が集まります。

線を引くのは、それとは別の話です。

  • 合わないと直感が言っている相手
  • お金の準備がまったくできていない相手

この2つだけ、線を引く。それ以外は、思いきり与えていい。

線を引くのは冷たさではなく、思考した結果です。

そして、線を引けるようになると不思議なことが起きます。本当に助けたい人に、時間とエネルギーを全部使えるようになるんですよ。


断ったあとに、何が起きるか

線を引くのが怖いのは、断ったら何もかも失う気がするからだと思います。

実際に起きることを書いておきます。

まず、時間が空きます。当たり前ですが、これが大きい。合わない相手にかけていた時間とエネルギーが、まるごと戻ってきます。

そして、その空いた場所に、なぜか別の話が入ってきます。

僕はこれを何度も見ています。合わないお客さんとの契約を終わりにすると決めた翌日に、新しい出会いが来る。タイミングが良すぎて、最初は偶然だと思っていました。

でも、説明はつきます。空いた場所にしか、新しいものは入らないからです。抱えたままでは、物理的に受け取れません。

もう1つ。断れる人は、態度が変わります。

「この人は誰でも受けるわけじゃない」と伝わると、相手の接し方が変わります。値切られにくくなるし、雑に扱われなくなる。

選ばない人は、選ばれません。これは人間関係の全部に言えることだと思います。

取らない客も、書き出してください

実務としてやってほしいのは、これです。

ターゲットを決めるとき、取らない客も書き出す。

  • こういう人は受けない
  • こういう言い方をする人は受けない
  • この条件が揃っていない人は受けない

絞り込みと同じくらい、こちらも大事です。

書き出しておくと、迷ったときにその場の感情で判断しなくて済みます。

「なんとなく気が進まないけど、まあいいか」が一番危ない。先に決めておけば、その瞬間に決めなくていい。

そして、断るときは正直でいいです。

「ご期待に応えられないと思うので、お受けしないほうがいいと思います」

これで嫌われることは、ほとんどありません。むしろ、その正直さで後から紹介が来ることすらあります。


まとめ

  • がむしゃらに取った客で、うまくいった人はいない
  • 直感はもう答えを知っている。頭がお金の理屈で上書きしてくる
  • 合わない人を1人入れると、場全体が薄くなる
  • お金がない人は、ない。必要以上に手を出しても、時間が消えるだけ
  • 「助けたい」と「線を引く」は両立する
  • 取らない客も、先に書き出しておく

全部受けるのをやめると、本当に届けたい人に、全部を渡せるようになります。

そして、疲れているとき「自分の力が足りないからだ」と思い込みがちですが、たいていの場合、原因はもっと手前にあります。

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