順調だったはずなのに、急に売上が落ちた。
紹介が、ぱたっと止まった。
理由が分からない。何も変えていないのに。
僕は起業して12年、500名を超える経営者の方と向き合ってきました。この状態で来られる方には、ほぼ例外なく共通していることがあります。
そして、それはうまくいっている最中には、絶対に気づけません。
最初のお客さんのことは、忘れないはずです
まず、起業したばかりの頃を思い出してください。
お客さんは、なかなか取れません。実績も少ない。単価だって低い。
それでも勉強して、やってみて、失敗して、また勉強して。そうやって少しずつ獲得していきますよね。
一番最初に取れたお客さんのことは、たぶん忘れていないと思います。
そして、こういう社長さんが本当に多い。
最初のお客さんに、すごく安い金額で、割に合わないくらい一生懸命やってあげた。
僕もその一人です。
一番最初の講座は、3ヶ月で、一人5万円でした。
今は、100万円という単価まで上げられるようになりました。その先の200万、300万を目指してもいます。
でも、いきなり100万だったわけではありません。5万円から、コツコツ積み上げてきただけです。
人は、苦しかった時期を忘れます
そこから、少しずつ変わっていきます。
お客さんが取れるようになる。成果が上がってくる。お金も増えてくる。
そして、会う人のレベルが変わります。
すごい人たちに会えるようになる。ランチの場所が変わる。夜の会食も変わる。着るものも変わってくる。
そのうち、それが当たり前になります。
ここで誤解しないでほしいのですが、これ自体は悪いことではありません。
自分のステージが上がって、それが標準になる。まったく問題ないです。むしろ、そうなるべきです。
問題は、別のところにあります。
当たり前になったときに、一緒に忘れてしまうものがある。
- 取れていることが、当たり前
- お金が入ってくることが、当たり前
- お客さんがいることが、当たり前
この状態がしばらく続くと、ほとんどの人が、あるものを忘れます。
感謝です。
「早く売上が上がる方法を教えてください」
売上が落ちて相談に来られる方は、こう言います。
「とにかく、早く売上を上げたいんです」
「すぐ効く方法を教えてください」
気持ちは、痛いほど分かります。目の前の数字が怖いんですから。
でも、その方の意識を見ていると、目の前の売上にしか向いていません。
これまで自分が何をしてもらってきたかには、まったく向いていない。
そして僕の経験上、その状態が長く続いた人ほど、売上が突然消えたり、紹介がぱたっと止まったりします。
だから僕は、こう返します。
「まあまあ、焦らないでください。仮に今、あなたにすぐ売上が上がる方法をお伝えしても、たぶん上がりません」
すると、必ずこう返ってきます。
「なんでですか」
「あの時の自分、あなたの中にいますか」
そこから、こういう会話になります。
「あなたが今、与えられているものを、全部当たり前だと思っているからです。思い返してみてください。起業した頃、いきなり今の状態でしたか」
「いや、違いますね」
「最初のお客さん、覚えていますか」
「覚えてますよ」
「どういう方だったんですか」
そこから、話が止まらなくなります。
何年も前の話なのに、昨日サポートしたことのように話し始めるんです。あの人はこういう人で、こんなことで悩んでいて、それで……と。
僕はそれを聞きながら、こう聞きます。
「そのとき受け取った代金って、今と同じ金額ですか」
「いや、全然安いですよ。一番最初なんて、5千円でやったんですよね」
「5千円。安いな、と思ったんですか」
「いや……うれしかったですね。」
「そうだったんですね。じゃあ、うれしいだけで、そこに情熱はなかったんですか」
「いや、情熱しかなかったですよ。自分がどうなるか分からないし、とにかく一生懸命やろうって思いました」
そして、僕はこう聞きます。
「じゃあ、今を振り返ってみてください。あの時の自分は、今のあなたの中に、いますか」
この瞬間に、号泣する社長がいます
たまに、ここで泣き出す方がいます。
大の大人が、経営者が、目の前で号泣する。
何が起きているかというと、気づいてしまったんです。
「ああ、当たり前になっていたって、こういうことか」
そして、多くの方がその直後にこう言います。
「社員には、当たり前になるなと言ってきたんです。感謝を忘れるなと言ってきたんです。」
「自分が、できていませんでした。」
こういう社長さんに、僕は本当にたくさん会ってきました。
言っていることが間違っていたわけではありません。むしろ正しいことを言っていた。だからこそ、気づいた瞬間が痛いんです。
そこからは、速いです
でも、ここからが本題です。
気づいた方に、僕はこう伝えます。
当たり前ではなく、与えられているんだと。そこからもう一度、スタートしませんか。ただし、あの頃のあなたとは違います。
5千円で必死にやっていた頃とは、持っているものがまったく違います。経験も、実力も、人脈もある。
その上に、感謝の気持ちをもう一度乗せる。
これをやった方は、だいたい3ヶ月で、売上がガラガラっと上がります。
新しいノウハウを入れたわけではありません。広告を出したわけでもない。戻しただけです。
当たり前なんて、何ひとつありません
最後に、僕がずっと思っていることを書きます。
当たり前なんて、何もないんですよ。
全部、与えられています。
考えてみてください。お客さんがいなかったら、そもそも与えられません。
お客さんがいてくれるから、「ありがとう」と言ってもらえる。
そして、お客さんがいるから、自分の中にも「ありがとう」という気持ちが湧いてくる。
誰もいないところで、ありがとうは生まれません。
仕事は、一人では完成しないんです。
提供する人がいて、それを喜んでくれる人がいる。だから循環が回る。
片方だけでは、何も起きません。
まとめ
- 最初のお客さんに、割に合わない金額で必死にやった。多くの社長がそう
- ステージが上がって当たり前になること自体は、悪くない
- 問題は、一緒に感謝を忘れること
- 感謝が抜けている期間が長いほど、売上が突然消える
- すぐ効く方法を教えても、その状態では効かない
- 「最初のお客さん、覚えていますか」から始める
- 戻すだけでいい。あの頃とは持っているものが違うから、3ヶ月で変わる
- 当たり前は何もない。仕事は一人では完成しない
いま何かがうまくいっていないなら、ノウハウを探す前に、一度だけ心の中を整理してみてください。
どこかで、当たり前になっていませんか。
そして、落ちているとき「打ち手が足りないからだ」と思い込みがちですが、たいていの場合、原因はもっと手前にあります。
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