社長は、毎日いろんな人に会っています。
新しいつながりを作って、次の柱を探している。
会社の未来のために動いています。
でも、社員からはこう見えていることがあります。
「社長、また出かけてる」
僕は起業して12年、500名を超える経営者の方と向き合ってきました。この食い違いは、想像以上に多いです。
書いていないものは、共有されていません。
社長が自分で気づいた、抜け
ある社長さんが、社員の退職のあと、自分の課題をこう書いていました。
私が何をしたいのか、なぜいろいろな方と頻繁に会っているのか。自分の行動について、もっと理解をしてもらう姿勢がなかった。
これ、すごく正直な一行です。
言っていなかったのではありません。理解してもらおうとしていなかった、と書いています。
なぜなら、社長の頭の中では全部つながっているからです。
今日の会食が、半年後の案件になる。その案件が、来年の柱になる。だから会いに行く。
当たり前すぎて、説明が要ると思っていない。
社員には、点しか見えていません
社長には線が見えています。過去から未来まで、一本の線。
でも社員に見えているのは、点だけです。
- 今日、社長は外出した
- 昨日も外出していた
- 数字は上がっていない
- 自分の歩合は遅れている
この4つの点だけを見たら、どう解釈するでしょうか。
線でつなげてしまいます。そして、たいてい悪いほうにつながります。
これは、社員が疑い深いからではありません。情報が足りないと、人は勝手に埋めるからです。
そして埋めるとき、不安なほうを選びます。
「言ってるつもり」が、いちばん危ない
社長さんに聞くと、こう言われます。
「いや、言ってますよ。飲みの席で話したこともあるし」
ここが落とし穴です。
話したことと、共有されていることは違います。
飲みの席の話は、その場で終わります。翌週には残っていません。
そして、残っていないものは、無かったことと同じです。
だから、書く。
書いてあれば、いつでも見返せます。社員が不安になったときに、自分で確認できます。社長がその場にいなくても、機能します。
立派なものは、要りません
「ビジョンを明文化しましょう」と言うと、身構える社長さんがいます。
言葉を練って、額に入れて、壁に貼るような。
そういうものは要りません。
必要なのは、この3つだけです。
① どこに向かっているのか② そのために、今なにをしているのか③ それが、あなたの仕事とどうつながるのか
紙1枚で足ります。きれいな言葉である必要もありません。
大事なのは、③があることです。
①と②だけだと、社員にとっては他人事です。自分の仕事がその線のどこに乗っているかが見えて、初めて自分の話になります。
書くと、社長自身が助かります
もう1つ、あまり言われないことを書きます。
明文化して得をするのは、社員だけではありません。
社長自身が、いちばん助かります。
理由は2つあります。
1つめ。書こうとすると、決まっていない部分が見つかります。
書けない箇所が出てきます。そこが、まだ決めていない場所です。頭の中では線に見えていたのに、実は途切れていた。これが分かるだけでも大きい。
2つめ。説明の回数が減ります。
紙があると、毎回ゼロから話さなくて済みます。新しい人が入ったときも、同じ紙を渡せば済みます。
書くのは1回。使うのは何度でも。
書いたら、声に出して読んでください
紙を作ったあと、多くの社長さんがやらないことがあります。
渡して終わりにします。
これだと、半分しか届きません。
おすすめは、一緒に読むことです。
5分でいいので、社員の前で声に出して読む。そして、こう聞きます。
「これ、読んでどう思いましたか」
ここで出てくる反応が、宝です。
「ここ、よく分かりません」「これ、自分の仕事だと思っていませんでした」
ズレが、その場で見つかります。
紙を渡しただけだと、このズレは半年後まで見つかりません。
しかも、読み合わせをすると、社員のほうも「これは自分に関係がある話だ」と分かります。渡された紙は読まれませんが、一緒に読んだ紙は残ります。
数字も、一緒に見せてください
もう1つ、足してほしいものがあります。
会社の数字です。
方向だけ語って、数字を隠す社長さんが多いです。
でも、方向と数字はセットでないと、実感が湧きません。
「3年後にこうなりたい」と言われても、今どこにいるか分からなければ、遠いのか近いのかも分かりません。
隠す理由は、たいてい2つです。不安にさせたくない。それと、足りていないのを見られたくない。
でも、社員は薄々気づいています。隠されているほうが、不安です。
見せると、こうなります。
「あと1件で届く」
数字が入った瞬間、方向は「自分の話」になります。
まとめ
- 社長には線が見えている。社員には点しか見えていない
- 情報が足りないと、人は勝手に埋める。しかも悪いほうに
- 話したことと、共有されていることは違う
- 残っていないものは、無かったことと同じ
- 必要なのは、どこへ/今なにを/あなたの仕事とどうつながるか、の3つ
- ③がないと、社員にとって他人事のまま
- 書けない箇所が、まだ決めていない場所
紙1枚でいいので、今の会社がどこに向かっているのかを書いてみてください。
そして、社員に伝わらないとき「うちの社員は関心がない」と思い込みがちですが、たいていの場合、原因はもっと手前にあります。
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