目標を、大きく立てた。
「年間100人サポートする」
「月にこれだけの売上を作る」
決めた瞬間は、やる気に満ちています。
でも数日たつと、その数字を見るたびに固まるようになる。今日、何をすればいいのか分からない。
僕は起業して12年、500名を超える経営者の方と向き合ってきました。この状態の方に、いつも同じことを伝えています。
1000人を考えるから、一歩が出ないんです。まず、たった一人から。
実績が、何もありませんでした
僕がこれを体で覚えた日の話をします。
独立する前、僕は2年間、副業をしていました。会社には内緒で、マインドマップを教える講師の仕事です。
僕を育ててくれた先生がいて、その方の会社で土日だけ登壇させてもらっていました。応援してくれていたんです。
ただ、当時の僕には講師としての実績が、何もありませんでした。
そこで先生から、こう言われました。
「実績を、どんどん作りなさい」
そして紹介してもらったのが、栃木県の保育園の研究会でした。保育士の先生たちに、マインドマップを教えてくる。
会場に入ったら、60人いました。
目の前は60人。でも、一人に向けて話しました
さて、何を話すか。
準備しながら、僕はずっと考えていました。
そのとき、頭に浮かんだのは自分の娘のことでした。
当時、僕は離婚していました。娘はまだ小さくて、毎週会いに行っていました。
会うたびに、娘がまっすぐ成長しているのが分かる。
そこで、ふと思ったんです。
この成長は、僕一人が作ったものじゃない。
僕が知らないところで、保育園のどこかの先生が、一生懸命やってくれている。会ったこともない誰かが、娘を毎日見てくれている。
その人に、感謝を伝えよう。
そう思って、この仕事を引き受けました。
目の前にいるのは60人です。でも、僕が伝えようと思っていた相手は、その中にはいない一人でした。
娘を見てくれている、会ったこともない先生。その人に向けて、4時間の講義をしました。
最後に、手紙を読みました
不思議なことに、ものすごく盛り上がりました。
自分でも驚くくらいでした。
そして最後に、僕は1つだけ用意していたものを出しました。
いつも頑張ってくれている先生たちへの、感謝の手紙です。
それを読みました。
そうしたら。
60人の先生が、全員、号泣しました。
会場中が、です。
なぜ、あんなに泣いたのか
あとで考えて、分かったことがあります。
世の中には、先生に文句を言う人がたくさんいます。保育の現場に対して、厳しい声はいくらでもある。
でも、感謝している親も、同じくらいたくさんいる。
そのことが、あの人たちには届いていなかったんです。
4時間、一緒に過ごしてみて、先生たちの不満やストレスも、よく分かりました。楽な仕事ではまったくない。
でも、それ以上に分かったことがあります。
この人たちは、本当に子どもを愛している。
その愛があるからこそ、続けられている仕事なんだと、あの日はっきり実感しました。
僕にとって、目の前の60人は、直接の関係がある人ではありません。娘を見てくれている先生でもない。
でも、日本のどこかで子どもを支えてくれている人たちなんです。
その人たちに感謝を伝えたい、という気持ちだけで、あの4時間はできていました。
100人を取ろうとすると、一人も来ません
ここから、僕がずっと使っている考え方が生まれました。
一人にやったつもりが、100人になる。
これは本当にそうなんです。あの日、僕は一人に向けて話したのに、60人が動きました。
そして、逆も本当です。
100人を取ろうと思ったら、一人も来ません。
なぜかというと、こういう順番になっているからです。
一人の心を動かせない人は、10人の心も動かせない。
10人が動かなければ、100人も動かない。
一人が動けば、10人が動く。10人が動けば、100人が動く。
順番は、絶対に飛ばせません。
だから、最初にやることは1つです。
目の前の一人を、本気でサポートする。
そこに誠心誠意、真心を込めて、愛を込めて伝える。それしかありません。
お金のためだけだと、たぶん届きません
もう1つ、あの日に気づいたことがあります。
お金のために一生懸命やる。それも、もちろん大事です。仕事ですから。
でも、あの4時間を作っていたのは、それではありませんでした。
自分の知らないところで、誰かを助けてくれている人がいる。
その人を励ますことで、めぐりめぐって、みんなが良くなっていく。
この感覚があると、話す言葉が変わります。テクニックではなく、たぶん温度が変わるんだと思います。
そして受け取る側は、そこを敏感に感じ取ります。
まとめ
- 数が大きいと、人は動けなくなる
- まず、たった一人から
- 目の前に何人いても、メッセージは一人に向けて出す
- 一人にやったつもりが、100人になる
- 100人を取ろうとすると、一人も来ない
- 順番は飛ばせない。一人→10人→100人
- お金のためだけだと、温度が乗らない
いま目標が大きすぎて止まっているなら、こう考えてみてください。
その一人は、誰ですか。
顔が浮かんだなら、今日やることは決まっています。
そして、動けないとき「自分の目標設定が甘いからだ」と思い込みがちですが、たいていの場合、原因はもっと手前にあります。
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