人は、機能ではなく「人」で選びます

実績も出した。資格も取った。ホームページも作り直した。

なのに、選ばれない。

そして「まだ足りないんだ」と思って、また何かを足す。

僕は起業して12年、500名を超える経営者の方と向き合ってきました。この足し算を続けている方に、僕はいつもこう言います。

ナンバーワンを作ろうとしないでください。オンリーワンを創ってください。

一番になる必要はありません。その人でなければならない理由があればいいんです。


誰から買うか、って結構大事じゃないですか

車を思い浮かべてください。

同じ車が、日本全国どこでも同じ値段で売られています。中身はまったく同じ。

それでも、こう思うことがありますよね。

「この営業マンからは、買いたくないな」

逆もあります。「この人からなら買ってもいいかな」。

中身が同じなのに、です。

なぜかというと、車は買って終わりじゃないからです。点検も、故障も、乗り換えも、そのあとずっと付き合っていく。つまり、人を選んでいる。

先生業やコンサルは、もっとそうです。高い金額を払って、そこから何ヶ月も一緒に走る。

そして、こういう傾向があります。

値段が上がれば上がるほど、「誰から買うか」の比重が大きくなります。

安いものなら、機能で選べます。でも高いものは、失敗したくない。だから最後は人を見るんですよ。


スーパーで、いらないものを買ってしまう理由

もっと身近な話をします。

スーパーで、元気なおばあちゃんが試食を配っていることがあります。

「これね、今日いちばん美味しいのよ!」

……買っちゃうんですよね。

別に、要らなかったのに。

あのとき、僕たちは何を見ていたか。商品ではありません。あのおばあちゃんの元気さを見ていた。

つまり、僕たちは日常的に無意識に人で選んでいます。自分では機能で選んでいるつもりでも、実際は違う。

これが分かると、やることが変わります。

商品を磨くのと同じくらい、自分を伝えることに時間を使っていいんだ、と分かるからです。


数字だけでは、心は動きません

ここで、多くの人がつまずくポイントがあります。

実績を数字で出せば、選ばれると思っている。

数字は大事です。信頼の土台になります。でも、数字だけでは足りません。

イチロー選手のことを考えてみてください。

とんでもない数字を残した人です。でも、ファンになった人たちは、数字に共感してファンになったのでしょうか。

違いますよね。

天才と言われながら、実はものすごい努力家だった。毎日同じルーティンを崩さなかった。その過程に、みんな心を動かされている。

数字そのものではなく、その数字を出すまでに何があったか。

そこに、共感が生まれます。

だから僕は、実績を語るときにこう考えます。

この数字の裏側に、共感してもらえるポイントが隠れていないか。

「半年で売上が2倍になりました」だけだと、すごいなで終わります。

「もともとは体験会をやっても誰も申し込まなくて、半年間ずっと悩んでいた先生がいました。そこから……」と始めると、話が変わります。

人の心を動かせるのは、人の心だけなんですよ。


主人公は、あなたではありません

もう1つ、順番の話をします。

自己紹介やプロフィールを作るとき、多くの人が自分を主人公にします。

自分がどう頑張ったか。何を成し遂げたか。

気持ちは分かるんですが、これだと聞き手の入る場所がありません。

主人公は、お客さんです。

スターウォーズでたとえるなら、ルーク・スカイウォーカーがお客さんで、僕たちはヨーダです。

冒険をするのは、お客さんのほう。僕たちは、その人が旅に出るのを助ける側です。

この立ち位置になると、話す内容が変わります。「私はすごい」ではなく、「あなたは、こうなれる」になる。

そして不思議なもので、こちらのほうが結果的に自分が魅力的に見えます。


「あなたに会うと元気になる」と、何百回も言われました

自分の何を伝えればいいのか。ここで止まる人が、本当に多いです。

僕もそうでした。長いこと、自分に何の魅力があるのか分かりませんでした。だから実績を並べることしかできなかった。

でも、あるとき気づいたんです。

会う人、会う人が、同じことを言う。

「あなたに会うと、元気になる」

一度や二度ではありません。何百回も言われました。

そこで、はじめて思ったんです。ああ、自分はそういう存在なのかもしれない、と。

言われなければ、一生気づかなかったと思います。

これが何を意味するかというと、こういうことです。

自分が思っている自分と、他人から見た自分は、違います。

そして選ばれる理由になるのは、たいてい他人から見た自分のほうなんですよ。自分が「これが強みだ」と思っているものは、意外と誰も見ていなかったりする。

だから、自分の魅力が分からないときは、探すのをやめてください。聞いてください。

「私って、どんな人だと思いますか」

近い人ほど、あっさり答えてくれます。そして、たぶん自分では思ってもみなかった答えが返ってきます。

全員を取ろうとすると、味が消えます

最後に、これも覚えておいてください。

全員に好かれようとすると、自分の味が出せません。

誰にも嫌われない話し方をすると、誰の記憶にも残らない話し方になります。

尖った部分は、必ず一部の人に刺さらない。でも、その代わりに刺さる人には深く刺さります。

選ばれるというのは、選ばれないことをセットで受け入れることです。

そこを引き受けた人だけが、「この人じゃないと」と言われるようになります。


まとめ

  • ナンバーワンでなく、オンリーワン。一番になる必要はない
  • 値段が上がるほど、「誰から買うか」の比重が上がる
  • 人は無意識に人で選んでいる。スーパーのおばあちゃんの話
  • 数字だけでは心は動かない。数字の裏側にある過程を語る
  • 主人公はお客さん。自分はヨーダの位置に立つ
  • 全員を取ろうとすると、味が消える

足すものは、実績ではないかもしれません。あなた自身かもしれません。

そして、選ばれないとき「まだ実績が足りないからだ」と思い込みがちですが、たいていの場合、原因はもっと手前にあります。

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