「おまけ」で、意識をずらす

セミナーの空気が、最後に冷える。

いい流れで進んでいた。うなずきも多かった。なのに個別相談を案内した瞬間、みんなの顔がスッと引いていく。

(あ、今やらかした)

そう思ったこと、ありませんか。

僕は起業して12年、500名を超える経営者の方と向き合ってきました。この現象には、はっきりした理由があります。

人は「売られる」と意識した瞬間、心が動かなくなります。

これは相手が冷たいのではありません。脳がそういう作りになっているんです。


意識した瞬間、人は分析を始めます

婚活パーティーの話をさせてください。

婚活パーティーは、目的がはっきりしています。「いい人を見つける」。

すると脳は分析モードに入ります。かっこいいか。収入はありそうか。優しそうか。この人と続くか。頭の中で、ものすごい勢いで採点が始まる。

そして、ここが面白いところなんですが。

分析からは、一目惚れは生まれません。

「すごく分析した結果、一目惚れでした」

……おかしいですよね。そんな一目惚れ、聞いたことがありません。

ところが、セミナーでたまたま隣に座った人には、一目惚れが起こったりする。目的が「学ぶ」なので、分析する前に感情のほうが先に動くからです。

買い物も、まったく同じ構造です。

「売り込まれるぞ」と意識させた瞬間、相手は分析を始めます。分析されたら、もう心では動きません。


だから、案内する場所は1か所しかありません

多くの人が、商品説明のところで個別相談を出します。

これが一番まずいです。

その時間、相手の頭はすでに「売り込みを受ける時間」だと分かっています。警戒しているところに個別相談を差し出したら、「1対1で売られるやつだ」と受け取られます。

せっかく作った空気が、そこで壊れる。

かといって、学びの真っ最中もダメです。話の流れが切れて、集中が途切れるだけになります。

では、どこか。

学びが終わる直前です。

自分ごとに落として、「あ、自分できてないな」と気づいた直後。学びたい気持ちが一番高いところ。ここだけです。

タイミングを1か所に絞ると聞くと窮屈に感じるかもしれませんが、逆です。ここさえ守れば、あとは何をしても崩れません。


「おまけ」の立ち位置に置く

もう1つ大事なのが、出し方です。

人は、おまけが大好きです。

子どものお菓子を思い出してください。おまけのほうがメインになっていること、ありますよね。雑誌の付録もそうです。付録が欲しくて雑誌を買う人は、いくらでもいます。

だから個別相談は、おまけにします。

ただし、ここに落とし穴があります。おまけにするには、メインが必要です。

何もないところに「おまけです」と言っても、それはただの本編になってしまう。おまけとして成立させるには、その前に置く「本体」を用意しないといけません。

僕が使っているメインは、理解度チェックシートです。

こう伝えて配ります。

「今日学んだことは、明後日にはほとんど忘れます。学んだという感覚だけが残る。もったいなくないですか。脳の中にインストールしておきませんか。考えることは、書くことです。」

これは売り込みではありません。学びの一部です。だから、誰も身構えずに受け取ります。


シートの中身が、そのまま資産になります

このシート、実はもう1つ仕事をしてくれます。

僕が入れている項目は4つです。

  1. ここに来る前、どんなことで悩んでいましたか
  2. 今日、得られたことは何ですか
  3. 明日から、どう使いますか
  4. 講師へのメッセージ(+お名前・ご連絡先)

なぜこの順番かというと、この4つを書いてもらうと、そのまま「お客様の声」になるからです。

悩んでいた → 学んだ → こう変わりそう → ありがとうございました。

これ、そのままストーリーですよね。

特に1番が大事です。1番を抜くと、ただの感想文になります。悩みから始まるから、読んだ人が自分を重ねられるんです。

ちなみに、これを「アンケート」と呼んではいけません。アンケートだと思われた瞬間、みんな雑に書きます。ワークとして渡す。それだけで、書かれる中身が変わります。

そして、個別相談の案内は、このシートの裏側に置いておきます。おまけなので、表には出しません。


「一旦、手を止めていただいてよろしいですか」

書き進めて、半分くらいまで来たところで、こう言います。

「すみません、ひとつお伝えするのを忘れていました。一旦、手を止めていただいてよろしいですか」

ここで初めて、裏を見てもらいます。

このとき、面白いことが起きます。丸をつける順番で、今すぐ動く人が見えるんです。

悩みが本当に強い人は、迷わず先に裏に丸をつけます。「いつか独立できたらいいな」くらいの人は、表から順番に書いていく。

つまり、この数分間で誰と話すべきかが分かるんですよ。

書いてもらう時間は5〜6分。空気を見て止めます。興味がない回だと、ペンが早々に止まります。そういう日は、深追いしません。


「解決します」と言ってはいけません

最後に、これだけは間違えないでください。

個別相談の案内で、「お悩みを解決します」と言ってはダメです。

理由は単純で、解決したら、その先を買う理由がなくなるからです。

言うのはこちらです。

「今日聞いて、モヤモヤした。どうしたらいいか分からない。ありませんか。そのモヤモヤを具体的にして、行動につなげたい方は、ぜひ」

解決ではなく、具体化。ここを混ぜないでください。

そして、あえて逆も言います。

「本当に前に進みたくない、という方は、丸をつけないでくださいね」

こう言うと、丸をつける人が増えます。人は、止められると逆に動きたくなるものなんですよね。


最後の一言を、絶対に忘れないでください

これは僕が痛い目を見て覚えたことです。

シートを回収する前に、必ずこう言います。

「丸をつけていただいた方には、この後メールをお送りします。そこで一緒に日程を確認しましょう。必ずメールを確認してくださいね」

昔、これを言っていませんでした。

結果どうなったか。その場のノリで丸をつけた方から、返信が来ない。枠が全然埋まらない。何度もやりました。

「大人なんだから分かるだろう」は通じません。悪気があるわけでもありません。ただ、優先順位がその人の中で下がるだけです。

だから、こちらから伝える。面倒くさがらずに、毎回言う。ここを言うかどうかで、埋まる枠の数が変わります。


まとめ

  • 売られると意識させない。意識した瞬間、脳が分析を始めて動かなくなる
  • 案内は、学びが終わる直前だけ。商品説明の時間に出すと空気が壊れる
  • おまけの立ち位置で出す。そのためにメイン(シート)を用意する
  • シートの4項目が、そのままお客様の声になる。「悩み」から始めるのを忘れない
  • 「解決します」は言わない。言うのは「モヤモヤを具体化する」
  • 回収前に、必ずメールの念押しをする

案内する内容は、今のままでかまいません。出す場所と、出し方を変えるだけです。

そして、うまくいかないとき「自分の商品に魅力がないからだ」と思い込みがちですが、たいていの場合、原因はもっと手前にあります。

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