「こうしたらいいな」を「こうする」に変えた日

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やりたいことは、見えている。

方向も間違っていない気がする。

でも、いつまでも始まらない。

僕は起業して12年、500名を超える経営者の方と向き合ってきました。この状態には、はっきりした正体があります。

決めていないだけです。


ある社長が書いた、一行

課題に取り組んでいた社長さんが、最後にこう書いてきました。

こうしたらいいなではなく、こうする!!

たった一行です。

でも、僕はこの一行を読んだとき、この方は変わったなと思いました。

なぜか。

願望は伝わらないけれど、決定は伝わるからです。


「こうしたらいいな」は、独り言です

考えてみてください。

社長が「もっと現場を見に行ったほうがいいと思うんだよね」と言う。

社員はどう受け取るか。

「そうですね」で終わります。

これは、社員が悪いのではありません。その文には、行動の指示が入っていないからです。感想を言われたので、感想を返した。それだけです。

一方、「今月から、現場は週に3件見に行きます」だとどうか。

やることが決まりました。

同じ内容です。変わったのは、語尾だけ。


社長は、無意識に語尾をぼかします

しかもこれ、意識してやっているわけではありません。

言い切るのが怖いから、そうなります。

言い切ると、責任が発生します。もし違っていたらどうしよう。社員に反発されたらどうしよう。やらせておいて、自分が忙しくて見られなかったらどうしよう。

だから、無意識に逃げ道を作ります。

「〜したほうがいいと思う」「できれば〜してほしい」「余裕があったら〜」

全部、逃げ道です。

そして、逃げ道のある指示は、必ず逃げられます。


願望のままだと、誰も悪くなくなります

ここが、いちばん怖いところです。

「こうしたらいいな」で終わっていると、やらなくても誰も悪くありません。

社長は言った。社員は聞いた。でも決まっていないので、やらなくても違反にならない。

そして半年後、社長がこう言います。

「なんで、やってないの」

社員は、内心こう思います。

「やれって言われてない」

……どちらも、嘘をついていません。

決まっていなかっただけです。

こうして、社長は「うちの社員は動かない」と思い、社員は「うちの社長は気分屋だ」と思う。両方が損をします。


決めるときの、たった1つのコツ

では、どうやって決めるか。

コツは1つです。

小さくすること。

いきなり大きなことを決めようとするから、決められません。

「営業体制を改革する」は決められない。でも「週に3件、現場を見る」なら決められます。

その社長さんも、僕からお願いしたのは1つだけでした。

ルールを1つだけ、紙に書いて社員に伝える。

何でもいい。「物件は週に最低3件見る」でもいい。

そして、決めて、伝えて、振り返る。この一周を一度だけ回してみてください、とお伝えしました。

一周回すと、景色が変わります。

なぜなら、決めたことが実際に動いたという体験が残るからです。それがあると、2つめを決めるのが急にラクになります。


完璧に決めなくて、いいんです

もう1つだけ。

決められない社長さんは、正しい決定をしようとしています。

でも、経営に正解はありません。やってみないと分かりません。

だから、こう考えてください。

決定は、修正できます。

来月「やっぱり週3件は多かった」と分かったら、2件に直せばいい。それは失敗ではなく、動いたから得られた情報です。

決めていない状態からは、情報すら出てきません。

決めるのが怖いのは、変えられないと思っているからです。変えていいと分かれば、決めるのは一気に軽くなります。


決めたら、見える場所に置いてください

決めたあとに、もう1つだけやることがあります。

紙にして、置く。

口で言っただけだと、こうなります。

社長は「言った」と思っている。社員は「聞いた気がする」くらいで覚えている。

そして1か月後、誰も何も覚えていません。

だから、決めたことは1行でいいので書いて、いつでも見える場所に置いてください。

貼り紙でも、共有のメモでも構いません。

なぜこれが要るかというと、決定は、思っている以上に早く薄れるからです。

書いてあれば、社長が忘れても残ります。社員が忘れても残ります。

紙は、記憶を担当してくれます。

社員は、決めてくれる人を求めています

最後に、いちばん誤解されていることを書きます。

決めるのをためらう社長さんは、こう思っています。

「決めつけたら、窮屈に感じるんじゃないか」

逆です。

決まっていないほうが、社員は苦しいです。

なぜなら、決まっていない状態というのは、毎回自分で判断して、外れたら怒られるかもしれない状態だからです。

基準がないと、安心して働けません。

決めるというのは、縛ることではありません。

「ここまでやれば大丈夫」という線を渡すことです。

線があると、人はその中で自由に動けます。線がないほうが、実は動けないんです。


まとめ

  • 願望は伝わらない。決定だけが伝わる
  • 「こうしたらいいな」は独り言。行動の指示が入っていない
  • 語尾をぼかすのは、言い切るのが怖いから
  • 決めていないと、やらなくても誰も悪くならない
  • 決めるコツは、小さくすること
  • 決めて、伝えて、振り返る。この一周を回す
  • 決定は修正できる。だから怖くない

いま頭の中にある「こうしたらいいな」を1つ選んで、語尾だけ「こうする」に変えてみてください。

そして、会社が動かないとき「自分に決断力がないからだ」と思い込みがちですが、たいていの場合、原因はもっと手前にあります。

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