信じて待つのは、心の筋トレです

結果が、出ない。

発信を続けているのに反応がない。クライアントが思うように動かない。

そして、こう思い始めます。

「これ、意味あるのかな」

僕は起業して12年、500名を超える経営者の方と向き合ってきました。そのうえで、はっきり言えることがあります。

待つのと、諦めるのは、別物です。

外から見ると、どちらも「何もしていない」に見えます。でも、中で起きていることは正反対です。

そして待つほうには、力が要ります。


あの2秒に、耐えられませんでした

僕がこれを痛い形で学んだのは、セールスの場面です。

最後のオファーをします。

「これこれで、いくらです。いかがでしょうか」

そして、相手が考える時間が生まれます。

この時間、実際には2秒くらいです。

もともと欲しいと思っていた人は、すぐ「やります」と言います。でも、そういう人ばかりではありません。10人いたら、半分もいないと思います。

多くの人は、そこで少し止まる。躊躇や、ためらいがある。当たり前です。

そして、その2秒を、僕は重く感じていました。

苦しくなって、言葉を挟んでしまうんです。

「どうですか」

「やってみたいと思いませんか」

「こういうふうになられるんですよ」

……相手が考えている最中に、です。

結果、断られました。

一度ではありません。何度もありました。


何を言っても、相手の心は動かせません

あとで振り返って、はっきり分かりました。

僕が、我慢できなかっただけです。

早く答えが欲しい。「やります」と言ってほしい。その焦りで、相手の思考を邪魔していた。

そして、もっと大事なことに気づきました。

僕が何を言ったところで、その人の心をコントロールすることはできません。

「こう言ったら買ってくれるんじゃないか」

そう考えている時点で、こちらは相手をコントロールしようとしています。

そして、それは伝わります。焦りは必ず伝わる。伝わった瞬間に、相手は引きます。

だから、心構えを変えました。

伝えるべきことは、全部伝えた。あとは、答えを出すのはその人だ。

そこは、僕にはどうにもできない領域です。

同じ2秒でも、こう思えるようになると、まったく違うものになります。

「今、この人は考えているんだな」

それだけです。それだけで、セールスそのものが変わりました。


「顔を出さないとダメですか」と聞かれました

もう1つ、逆の話をします。待ちきって、化けた人の話です。

これから結婚相談所を始めようとしていた女性の方でした。僕より年上の方です。

その方には、はっきりした抵抗がありました。

自分の顔を、外に出したくない。

SNSに顔を出すのが嫌。発信で自分をさらけ出したくない。

そして、こう聞かれました。

「顔を出したりしないと、ダメですか」

僕は、こう答えました。

「出さなくても、大丈夫ですよ。それよりも、自分が出したいっていう気持ちに、これからなると思います」


自信をつけさせようとは、しませんでした

このとき、僕がやらなかったことがあります。

その人に、自信をつけさせようとしませんでした。

「大丈夫ですよ」「あなたならできますよ」と励ましても、たぶん何も変わりません。根っこが別のところにあったからです。

顔を出したくない、発信したくない。この言葉の中身は、こうです。

周りから、どう見られるかを気にしている。

意識が、ずっと外に向いている。だとしたら、意識の向き先を変えないと解決しません。

そこで、3ヶ月かけて、まったく別のことをやりました。

その人自身が、本気で世の中に広げたいと思える商品を、徹底的に作り込む。

一人でも多くの人に使ってほしい。これを使って幸せになってほしい。そう心から思えるサービスを作る。

ひたすら、そこだけをやりました。


卒業間際に、こう言われました

そして、講座の卒業が近づいた頃です。

その方から、突然こう言われました。

「私、写真を出したいので、誰かカメラマンを紹介してください」

僕は、こう返しました。

「別に、無理に出さなくていいんですよ」

すると、こう言われたんです。

「もう、あの時のそういった気持ちではないんです」

何が起きたか、分かりますか。

外に出したくて、仕方なくなっていたんです。

自分が愛せる商品ができた。だから、届けたい。届けるために顔が要るなら、出す。それだけの話になっていました。

無理やり顔を出したところで、商品が売れるわけではありません。順番が逆だったんですよ。

この方がやったのは、周りに反応するのをやめて、自分が何をやるべきかに反応することでした。


卒業の日に、泣かれました

その方は、卒業のときに僕の目の前で泣きました。

「RYOさんに相談できないと思うと、心配で、どうしていいか分からないです」

僕より年上の女性が、です。それだけ不安だったんだと思います。

正直に言うと、僕もそのとき「この人、大丈夫かな」と思いました。

でも、そこから2年後です。

その方、クルーザーを買っていました。

正直に言うと、まじかよ、と思いました。

バシバシ顔を出して、どんどん発信して、お客さんを取って。あの「顔を出したくない」と言っていた人と、同じ人だとは思えませんでした。

心のスイッチが入った瞬間に、行動も、価値観も、全部変わったんだと思います。今まで大事だと思っていたどうでもいいものを捨てて、前に進んでいった。


そのクルーザーに、乗せてもらいました

この話には、続きがあります。

その方から誘っていただいて、僕はそのクルーザーに乗せてもらいました。

東京湾を、水の上から走りました。ご主人も一緒でした。船の上から2人で釣りをして。

そして最後は、ご自宅にお邪魔して、釣ったばかりの魚をさばいてもらって、夕食をご馳走になりました。

卒業の日に、目の前で泣いていた人です。

「相談できないと思うと、心配でどうしていいか分からない」と言っていた人が、数年後、自分の船に僕を乗せて、自分の家で僕にご飯を作ってくれている。

この瞬間が、たぶん僕がこの仕事をしている一番の理由です。

売上が上がったとか、クルーザーを買ったとか、そういう話ではありません。

待った先に、こういう関係が残る。

あのとき2秒待てずに押していたら、あるいは「顔を出さないとダメですよ」と正論を言っていたら、この船には乗っていません。


「待つ」と「諦める」の分かれ目

最後に、一番大事なことを書きます。

待っているつもりが、いつのまにか諦めに変わることがあります。

その分かれ目は、これです。

「こうなる」と信じ続けているかどうか。

諦めた瞬間に、待ったことにはなりません。ただ止まっているだけになります。

そして、信じ続けるのは、気合いではできません。

必要なのは、起きた出来事に、自分で意味をつけられることです。

思うようにいかない日があります。断られる日もある。そのとき「やっぱりダメだ」と意味づけるのか、「今は考える時間なんだな」と意味づけるのか。

良い意味づけを連続させられると、3ヶ月後の状態がまるで違います。

これが、心の筋トレです。筋トレなので、やった分だけ強くなります。

そして順番があります。まず自分を信じて待てるようになる。それができるようになって、はじめて人を信じて待てるようになります。


まとめ

  • 待つのと諦めるのは別物。分かれ目は「信じ続けているか」
  • セールスの2秒に耐えられないと、自分で壊す
  • 何を言っても、相手の心はコントロールできない
  • 伝えることは伝えた。答えを出すのはその人
  • 自信をつけさせようとしない。意識の向き先を変える
  • 自分が愛せるものができると、人は勝手に出したくなる
  • 意味づけの力が、待つ力を作る。これが心の筋トレ
  • 待った先に残るのは、売上ではなく関係

いま結果が出ていないなら、焦って手を出す前に、2秒だけ待ってみてください。

そして、うまくいかないとき「自分の押しが足りないからだ」と思い込みがちですが、たいていの場合、原因はもっと手前にあります。

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