商談の最後に出てくる言葉、だいたい決まっていませんか。
「ちょっと時間が取れなくて」
「今、予算が厳しくて」
「一度、持ち帰って検討します」
そのたびに、その場で必死に答える。うまく返せたときもあるし、返せずに終わることもある。
僕は起業して12年、500名を超える経営者の方と向き合ってきました。そのうえで言えることがあります。
質問されてから答えているうちは、まだ後手です。
断られる理由は、そんなにたくさんありません。だいたい3つ前後です。
だったら、言われる前に潰しておけばいい。
まず、断られる理由を全部書き出す
やることは単純です。
紙を1枚出して、「この人が断るとしたら、どんな理由か」を全部書き出します。
- 時間が取れない
- お金がない
- 自分にできるか不安
- 家族に相談しないと決められない
- 効果が本当に出るのか分からない
- 前に似たものを買って失敗した
たいてい、こんなところに落ち着きます。そして、あなたの商品なら何が出やすいかは、これまでの経験でもう分かっているはずです。
ここで大事なのは、思い出せるものを全部出し切ることです。3つで止めない。10個書き出して、その中でよく出る3つを選ぶ。この順番でやると、精度が上がります。
書き出したら、次はこれを前半のうちに、こちらから話しておく。
「よく、時間が取れるか不安ですと言われるんですが」と自分から出す。相手が言う前に、です。
先に出すと、なぜ効くのか
理由は2つあります。
1つめは、言い訳として使えなくなるから。
人は、断るときに一番言いやすい言葉を選びます。それをこちらが先に触れて、答えまで出してしまうと、その札が使えなくなる。
2つめは、こっちのほうが大きいんですが、信頼が生まれるからです。
自分から不安に触れる人は、隠していないように見えます。「この人は、都合の悪いことも先に言うんだな」と思われる。
逆に、いいところしか言わない人は、必ずどこかで警戒されます。完璧すぎる話は、疑われるんですよね。
だから、先回りは防御ではありません。信頼を作りにいく攻めの手です。ここを勘違いすると、言い訳がましい説明になってしまうので注意してください。
責めずに、ストーリーで伝える
先回りするときに、一番やってはいけないことがあります。
相手を直接責めることです。
「このまま何もしないと、来年も同じですよ」
正しいことを言っているつもりでも、これは刺さりません。刺さるどころか、防御されます。人は、痛いところを他人に指摘されると心を閉じるからです。
だから、他人の話として伝えます。
「以前、こういう方がいらっしゃいました。ずっと迷っていて、1年後に相談に来られたんですが、そのときこう言われたんです。あのとき始めていればよかった、と」
同じ内容です。でも、こちらは自分ごととして受け取ってもらえます。
責めるのではなく、想像してもらう。この違いは大きいです。
相手が本当に迷っているのは、たいてい2つ
書き出した理由をよく見ていくと、突き詰めると2つに集約されます。
お金と、時間です。
そしてこの2つは、実は「断る理由」ではなく、「決められない理由」であることが多い。本当は欲しいけれど、踏み切れない。その状態です。
だから、こう聞きます。
「お金のことをいったん横に置いたら、やってみたいという気持ちはありますか?」
ここで「やりたい」と返ってくるなら、あとは払い方の話です。断られたのではありません。方法を一緒に探す場面に変わっただけです。
女性の方だと、ここに「家族に相談しないと」が入ってくることも多いです。これも先に想定して、答えを用意しておく。準備しておけば、その場で慌てません。
慌てないというのは、それ自体が説得力になります。
「なぜ今なのか」を、こちらから作る
そして、断られる一番の理由があります。
今じゃなくてもいい、と思われていることです。
これは相手が悪いのではなく、こちらが作れていないだけです。
僕は講座を始める3〜4日前に、必ず個別相談の枠を入れています。前日に入れたこともあります。
なぜそんなに直近にするのか。以前、こんなことがありました。
整骨院を4店舗やっている社長さんに、日程を見せたときのことです。
「直近すぎませんか。この後はないんですか」
そう言われました。普通なら「では来月の枠を」と言いたくなる場面です。でも僕はこう答えました。
「今は、受けていないんです」
引き止めもしませんでした。
翌日、申し込みが来ました。
痛みが強い人は、「今でしょ」で動きます。逆に、いつでもいいと思われた瞬間、その話は永遠に先送りされる。
そして、これは冷たくしているのではありません。その人が本当に困っているなら、早いほうがいいに決まっているからです。次があると伝えることのほうが、実はその人のためになっていないんですよ。
まとめ
- 断られる理由は3つ前後しかない。まず10個書き出して、よく出る3つを選ぶ
- 言われる前に、こちらから出す。札が使えなくなるし、信頼が生まれる
- 完璧すぎる話は疑われる。不安に自分から触れる人が信用される
- 責めずに、他人のストーリーで想像してもらう
- お金と時間は、断る理由ではなく決められない理由。確かめる一言を持つ
- 「なぜ今なのか」を、こちらが作る。いつでもいい話は永遠に動かない
その場で必死に答えるのをやめて、答えを先に置いておく。それだけで、商談の終わり方が変わります。
そして、断られたとき「自分の返し方が下手だからだ」と思い込みがちですが、たいていの場合、原因はもっと手前にあります。
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