単位を小さく見せるだけで、値段の印象は変わります

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金額を伝えた瞬間、相手の表情が固くなる。

その経験、ありませんか。

商品には自信がある。中身も詰まっている。でも数字を口にした途端、空気が変わる。

僕は起業して12年、500名を超える経営者の方と向き合ってきました。そのうえで言えることがあります。

多くの人は、値段が高いのではなく、値段の出し方で損をしています。

同じ金額なのに、伝え方だけで印象がまるっきり変わるからです。


「毎月1万500円」と「毎日350円」

生命保険の話をします。

保険の営業マンが金額を伝えるとき、こう言います。

「毎日350円です」

「毎月1万500円です」とは、あまり言いません。

この2つ、同じ金額です。1万500円を30日で割ると350円ですから。

でも、受ける印象はまったく違いますよね。

さらに言うと、その保険が30年続くなら、最終的に払い込む総額は400万円を超えます。

400万円と、毎日350円。

同じものを指しているのに、頭に浮かぶ絵がまるで別物です。

これは、最小単位で提示されると、人は無意識に割安を感じるからです。単位を小さくすればするほど、安く見える。

騙しではありません。事実を、別の角度から見せているだけです。


相手が毎日使っているものに、置き換える

もう一段効くやり方があります。

金額を、相手が実際に使っている支出に置き換えます。

僕が営業をやっていた頃、よく使っていたのがこれでした。

「缶ジュース1本と同じですよ。毎日1本飲むのと、同じです」

これを言うと、相手の顔がふっとゆるむんですよね。

なぜかというと、すでに払っているものだからです。缶ジュースを毎日買っている人は、その支出について「高い」と思ったことがありません。無意識に、当たり前に払っている。

そこに並べた瞬間、こちらの金額も「払える側」に移動します。

ポイントは、相手が実際に使っているもので言うことです。

お酒が好きな人なら、ビール何本分。コーヒーをよく買う人なら、カフェ1杯分。子どもがいる人なら、また別のものになります。

知らないものと比べても、イメージが湧きません。

高級ワイン1本分ですよ、と言われても、ワインを飲まない人にはピンと来ない。むしろ「そんなの買ったことないです」で終わります。

だから、この人は毎日、何にお金を使っているかを先に聞いておく。雑談の中で拾っておくんです。ここが下ごしらえです。


ただし、毎回使うものではありません

ここが大事なところです。

この見せ方は、毎回言うものではありません。

いつも財布のひもがゆるい人ばかりではないですよね。でも同じように、いつも身構えている人ばかりでもない。

すんなり決まりそうな場面で、わざわざ「缶ジュース1本と同じです」と言う必要はありません。

むしろ、安く見せようとしている感じが出て、逆効果になることすらあります。せっかく価値で選ぼうとしていた人を、値段の話に引き戻してしまう。

使うのは、相手がぐらついた瞬間です。

「うーん」と迷いが出た。表情が止まった。目線が下がった。そのとき、別の角度からポンと出す。


引き出しは、複数持っておく

だからこそ、言い方を1つしか持っていないのが一番まずいんです。

迷った相手を目の前にして、切り替えられるものが何もない。同じ説明をもう一度繰り返す。そのまま「じゃあ、また考えます」で終わる。

これが、一番もったいない。

僕は、価格の伝え方を何通りも持っています。

  • 総額を、1日あたりに割る
  • 相手の日常の支出に置き換える
  • このまま何もしなかったら、いくら失うかを見せる
  • 高いものには、それだけの理由があると正面から言う
  • 払い方(分割・時期)を一緒に考える

どれが正解ということはありません。相手と、その日の空気で選ぶだけです。

いつもは水が出る蛇口から、今日はポッキーが出てくる。そういう引き出しをいくつ持っているかで、越えられる場面の数が変わります。


引き出しは、どうやって増やすか

「そんなに引き出しがない」という人へ。

増やし方は1つだけです。申し込んでくれた人に、理由を聞くこと。

僕は必ず聞きます。

「差し支えなければ、なぜ申し込もうと思われたんですか?」

これが、ものすごく効きます。

自分では「あの説明が良かったんだろうな」と思っていたのに、まったく別のことを言われることがあるんですよ。

「話し方が、前に通ってた先生に似てたんです」とか。「日程が近かったから」とか。

正直に言うと、まじかよ、と思ったこともあります。こっちが一番力を入れたところじゃなかった、ということが本当によくある。

でも、それでいいんです。そこが本当の理由だったというだけの話ですから。

これを聞き続けると、引き出しが増えます。人が動く理由のパターンが、だんだん見えてくる。そして、次に迷っている人を目の前にしたとき、出せる手が増えている。

断られた理由より、申し込まれた理由のほうが、はるかに学びが大きいです。


まとめ

  • 総額でそのまま出さない。最小単位に割ると、無意識に割安を感じる
  • 相手が毎日使っているものに置き換える。知らないものと比べても響かない
  • そのために、その人の日常の支出を先に聞いておく
  • 毎回は使わない。すんなり決まる場面で使うと、逆に安っぽくなる
  • 使うのは、相手がぐらついた瞬間
  • 言い方を複数持つ。1つしかないと、迷った相手をそのまま逃す
  • 引き出しは「なぜ申し込んだか」を聞くと増える

値段を変える前に、出し方を変えてみてください。それだけで反応が変わることは、本当によくあります。

そして、決まらないとき「自分の値段設定が悪いからだ」と思い込みがちですが、たいていの場合、原因はもっと手前にあります。

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