やると決めた。準備もした。現場にも来た。
でも、声をかけられない。
そのまま時間だけが過ぎていく。
僕は起業して12年、500名を超える経営者の方と向き合ってきました。この状態を「勇気がない」で片づけると、永久に直りません。
止めているのは、勇気ではありません。
自分で、正体に名前をつけた人
ある方が、初めて街で見知らぬ人に声をかける実践をしました。
結果、最初の一人にたどり着くまでに3日かかっています。
そのあと、ご自身でこう書いていました。
最初の一人へ声をかけるまでに、非常に時間がかかった。一番の原因は「遠慮」なのかなと感じています。
遠慮。
この名前をつけられたことが、すごいんですよ。
多くの人は、ここを「自分は弱い」で終わらせます。
頭の中で、何が起きていたか
具体的に、この方の頭の中はこうでした。
- 楽しそうに話しているから、邪魔をしちゃうかな
- 音楽を聴いているから、話しかけられたくないのかな
- 急いでいるかもしれない
そして、こう書いています。
私自身が相手の状況をあれこれ想像してしまい、今、声をかけて大丈夫か?と葛藤していることが多かった。
……これ、弱さでしょうか。
違います。
相手の気持ちに立てる人にしか、できないことです。
相手のことをまったく考えない人は、こんなことで悩みません。悩むのは、優しいからです。
ただし、優しさが裏目に出ています
ここからが本題です。
この状態、何が起きているかというと、相手の答えを、自分が先に出しています。
「たぶん迷惑だろう」
これは、相手が言ったことではありません。自分が想像しただけです。
そして、その想像を根拠に、声をかけない。
つまり、こうです。
喜んでくれたかもしれない人にも、出会えなくなっている。
優しさのつもりが、相手から選ぶ機会を奪っているんですよ。
「いいえ」は、相手に決めてもらう
だから、僕はこうお伝えしています。
相手の「いいえ」は、相手に決めてもらってください。
声をかけるというのは、押し売りではありません。
相手に、選ぶ機会を渡すことです。
要らなければ、断られます。それでいい。断るのは相手の権利です。
でも、声をかけなければ、選ぶ機会そのものが発生しません。
自分が先回りして「たぶん要らないだろう」と決めるほうが、実は失礼だったりします。
相手を、判断できる大人として扱っていないことになるので。
探し続けると、永久に見つかりません
もう1つ、この方が書いていた重要な観察があります。
声をかけられずに時間だけが経過すると、「もっと話しかけやすい人」を探し続けてしまい、結果、声をかけられない。
これ、身に覚えのある方が多いはずです。
見送るたびに、次の人へのハードルが上がります。
なぜなら、見送った理由を正当化する必要が出てくるからです。
「さっきの人は急いでいた」「今の人は連れがいた」
こうして条件がどんどん厳しくなり、完璧な相手を探す作業に変わります。
そして、完璧な相手は現れません。
探しているのではなく、逃げているんです。しかも本人は、真剣に探しているつもりでいます。
対処は、気合いではありません
では、どうするか。
その方が出した答えが、うまいです。
時間を決めました。
現場に着いてから30分以内に、最初の一人に声をかける。
これだけです。
なぜ効くかというと、探す時間に上限をつけているからです。
上限があると、選べません。選べないと、迷えません。迷えないと、動けます。
根性ではなく、設計で解いています。
そして、この30分ルールにはもう1つ効果があります。
1人目を早く済ませると、その日の残りが全部ラクになります。
いちばん重いのは1人目です。2人目からは、驚くほど軽い。だから、重い作業を先に終わらせる形にしている。
3日かかった、その事実を大事にしてください
最後に。
この方は、最初の一人まで3日かかりました。
でも、3日で越えました。
そして越えたあとは、自分から動けるようになっています。
ここで伝えたいのは、時間がかかったこと自体は問題ではないということです。
問題なのは、3日目に「やっぱり自分には無理だ」と結論を出してやめてしまうこと。
苦しかった期間は、向いていない証拠ではありません。
ただ、初めてだっただけです。
断られたときのことを、先に決めておく
もう1つ、事前にやっておくと効くことがあります。
断られたときにどうするか、先に決めておいてください。
たとえば、こうです。
「いいえと言われたら、お時間ありがとうございましたと言って離れる」
たったこれだけです。
でも、これを決めておくと、声をかけるハードルが下がります。
なぜかというと、動けない原因の一部は、断られたあとの数秒が想像できないことだからです。
断られたら、気まずくなる。何を言えばいいか分からない。その場に立ち尽くすかもしれない。
この「分からなさ」が、怖さの中身です。
だから、先に決めておく。決まっていれば、断られても手順どおり動くだけになります。
そして実際にやってみると分かりますが、断られたあとは、驚くほど何も起きません。
相手はすぐ歩き出しますし、周りの人は誰も見ていません。
怖かったのは、想像のほうだったと分かります。
まとめ
- 動けない原因は、勇気ではなく「遠慮」であることが多い
- 遠慮は、相手の気持ちに立てる人にしか出てこない
- ただし、相手の答えを自分が先に出してしまっている
- 声をかけるのは、相手に選ぶ機会を渡すこと
- 見送るほど、次のハードルが上がる
- 探しているのではなく、逃げている
- 時間で上限をつけると、迷えなくなって動ける
次に現場に出るとき、「着いて30分以内に一人目」とだけ決めてみてください。
そして、動けないとき「自分は勇気がない」と責めがちですが、たいていの場合、原因はもっと手前にあります。
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