キャッチコピーは、遠回りせず最終メリットを言ってください

キャッチコピーを、いくつも書いてみた。

でも、どれもなんだかピンとこない。無難で、きれいで、印象に残らない。

そして最後に、こういう形に落ち着きます。

「話しやすい、相談しやすい税理士です」

「クライアント様に安心をご提供します」

「御社に最適な仕組みづくりを」

僕は起業して12年、500名を超える経営者の方と向き合ってきました。この形になってしまう理由は、はっきりしています。

手段を語っているからです。

そして、人は手段に興味がありません。


「安心」って、何ですか

さっきの例を、一つずつ見てみます。

「話しやすい、相談しやすい税理士です」

……当たり前ですよね。話しにくい税理士を探している人はいません。しかも、想像ができない。

「安心をご提供します」

安心って、何ですか。

人によって定義が違いますよね。ある人にとっては「税務調査が来ないこと」で、ある人にとっては「夜中でも連絡がつくこと」かもしれない。

定義が人それぞれの言葉は、誰の頭にも絵が浮かびません。

「御社に最適な仕組みを」

最適かどうかを知っているのは、誰ですか。

言っている本人にしか分かりませんよね。

これらは、悪い言葉ではありません。ただ、抽象的すぎて何も見えないだけです。


プリウスは、なぜ売れたか

では、どう書くか。

最終メリットまで、こちらが見せてあげるんです。

ハイブリッド車を例にします。

  • 手段:ハイブリッドです
  • 直接メリット:燃費がいいです
  • 最終メリット:ガソリン代が月3万円から1万5千円になります。浮いた1万5千円で、年に一度旅行に行けます

どこまで書くか、です。

多くの人は「燃費がいい」で止めます。もう十分伝えたつもりになっている。

でも、読んでいる人はそこから先まで考えてくれません。そこまで頭が回らないんです。忙しいですから。

だから、こちらが最後まで連れていく。

「浮いたお金で旅行に行ける」まで書かれてはじめて、その人の頭に絵が浮かびます。


歯が痛くないと、歯医者には行きません

もう1つ、大事な要素があります。

痛みです。

人は、困っていないものを買いません。

歯が痛くならないと、歯医者には行かない。予防が大事だと、頭では全員知っています。それでも行かない。人ってそういうものです。

だから、キャッチコピーには痛みを入れます。

「今、こういうことで困っていませんか」

ここで痛みに触れて、その直後に最終メリットを見せる。この順番だと、行きたくなるんですよ。

ちなみに、痛みに触れたら必ず「簡単そう」もセットにしてください。

痛みだけ突かれると、人は逃げます。「たしかに困っている。でも大変そうだ」で止まる。

痛み → 最終メリット → 簡単そう。この3つが揃うと、動きます。


誰も言っていない場所を、探す

具体的にうまくいっている例を挙げます。

「女性の使い勝手に特化。夫婦円満の家づくり、3つの秘訣」

これは建築士の方です。

建築の世界は、男性が多い。だからみんな、性能や工法の話をします。

でも実際、その家を毎日掃除して、毎日使うのは誰か。

多くの場合、奥様です。

そこに気づいて、まるごとそちらに寄せた。誰もやっていなかったから、刺さりました。

もう1つ。

「インド進出を考えている企業へ。進出専門の弁護士が法的リスクを整理します」

インドは、州によって法律が違います。そこに特化した。

範囲を狭くしているのに、選ばれる。というより、狭くしたから選ばれています。

「全部できます」と言う人は、比べられます。「これだけです」と言う人は、比べられません。


「下町生まれ」と言うようにしています

小さい話ですが、僕が意識してやっていることを1つ。

自己紹介で出身地を言うとき、僕はこう言います。

「東京の下町、町屋の生まれで、埼玉育ちです」

「東京生まれ埼玉育ちです」でも、情報としては同じです。

でも、「下町」と入れると、必ず聞かれます。

「え、下町ってどこですか?」

そこから会話が始まります。「僕も近いですよ」「うちの祖母がそのあたりで」と、共通点が出てくることもある。

何度も、これが起きました。

正直に言うと、最初は狙っていませんでした。何回も同じことが起きて、あとから「ああ、この一語が効いているのか」と気づいたんです。

基本情報にすら、こういう仕掛けは作れます。プロフィールの中に、聞きたくなる場所を1つ残しておく。それだけで、その後の会話がまったく変わります。


形も決めておきます

最後に、実務的なところを。

  • 文字数:メイン25〜30字、サブ25〜35字。合わせて50〜60字くらい
  • メインとサブは、文章としてつなげない。メインで一度切る。サブでもう一度切る
  • 数字を入れる(削減率、満足度98%、たった180日)
  • 数字は奇数。「3つの条件」「5つの鉄則」。偶数は安心を与えて、好奇心が動きません
  • 「たった」をつける。180日より「たった180日」のほうが短く感じます

理屈っぽく聞こえますが、根っこは1つだけです。

人は理屈でものを買いません。感情が先に動いて、あとから理屈が追いかけてきます。

キャッチコピーは、本でいうと表紙です。正しさは、中身に書けばいい。表紙の役割は、手に取ってもらうことだけです。


まとめ

  • 手段を語らない。人が知りたいのは、自分がどうなるか
  • 最終メリットまで、こちらが連れていく。「燃費がいい」で止めない
  • 痛み → 最終メリット → 簡単そう。この順番で動く
  • 誰も言っていない場所を探す。狭くしたほうが選ばれる
  • プロフィールに、聞きたくなる場所を1つ残す
  • メイン25〜30字。数字は奇数。「たった」をつける
  • 表紙の役割は、手に取ってもらうことだけ

きれいな言葉を探すのをやめて、その人がどうなるかだけ書いてみてください。

そして、言葉が決まらないとき「自分にコピーのセンスがないからだ」と思い込みがちですが、たいていの場合、原因はもっと手前にあります。

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