ブランディングの前に、ポジショニングが要ります

ロゴを作り直した。

ホームページも整えた。名刺も、写真も、色味も揃えた。

でも、問い合わせは増えない。

僕は起業して12年、500名を超える経営者の方と向き合ってきました。この順番でつまずいている方は、本当に多いです。

ブランディングは、ポジションを取ったあとに、時間をかけて立ち上がるものです。

先にやることではありません。


NIKEは、最初はNIKEではありませんでした

分かりやすい例があるので、それで話します。

NIKEという会社は、最初「ブルーリボンスポーツ」という名前でした。

やっていたことは、日本のオニツカタイガーというメーカーの靴を、アメリカに輸入して売ること。創業したのは、当時24歳の若者です。

そして、ここからが本題です。

この会社、10年赤字でした。

NIKEに改名したのは1980年。それまでずっと、地味に一点だけをやり続けていたんです。

その一点とは、ランニングシューズです。

当時、アディダスもプーマも、あらゆる競技の靴を作っていました。サッカー、バスケ、テニス、陸上。全部です。

そんな中で、この会社はランニングだけにこだわった。

これがポジショニングです。


お金がないから、そうしたんです

もう1つ、この話で好きなところがあります。

彼らには、広告費がありませんでした。

だからどうしたか。

これから有名になりそうな選手を探して、靴を履いてもらった。

すでに有名な選手には手が届かない。だから、まだ売れていない選手に賭けた。

「ジャストドゥーイット」という言葉が浸透したのは、そのずっと後です。莫大な広告費で、繰り返し繰り返し流した結果として、あの言葉はブランドになりました。

つまり、順番はこうです。

一点に絞る → 続ける → 結果が出る → お金ができる → ブランドが立つ

ロゴが先ではありません。10年です。


ポジションは、頭の中では作れません

では、自分のポジションはどう決めるのか。

ここが一番大事なところです。

リサーチでしか作れません。

机に向かって「私の強みは何だろう」と考えても、出てきません。出てきたとしても、それはたいてい自分がそう思いたいことです。

やることは、こうです。

  1. 競合を、表にして並べる
  2. 項目ごとに、強い・普通・弱いを ○△× でつける
  3. 全員が × のところを探す

そこが、あなたのポジションです。

全員が×になっている場所には、たいてい理由があります。手間がかかるか、誰も気づいていないか。

手間がかかるなら、そこを引き受ける人が1人しかいないということです。誰も気づいていないなら、一番乗りです。

どちらにしても、そこに立った瞬間、比べられなくなります。


×の場所は、怖いところにあります

ここで、正直な話をしておきます。

全員が×をつけている場所を見つけたとき、たいていこう思います。

「みんながやらないのには、理由があるんじゃないか」

その通りです。理由はあります。

だいたいは面倒くさいからです。時間がかかる。手間がかかる。効率が悪い。

だから大きい会社ほど、そこをやりません。数をこなせないものは、事業として合わないからです。

でも、個人や小さい会社は違います。数をこなす必要がない。目の前の何人かが埋まれば成立します。

つまり、大きいところが「割に合わない」と切った場所こそ、こちらの居場所なんですよ。

NIKEも同じでした。当時、ランニングだけをやるのは効率が悪かった。だから他社はやらなかった。やらなかったから、空いていた。

見つけた×が怖く感じたら、それはたぶん正解の側です。

みんなが使う言葉は、誰にも響きません

リサーチのとき、もう1つ見てほしいものがあります。

競合が、どんな言葉を使っているか。

そして、その言葉は使わない。

「寄り添う」「トータルサポート」「お客様第一」。全員が使っている言葉は、誰の耳にも止まりません。

代わりに使うのは、お客さんが実際に使っている言葉です。

相手が「集客」と言うなら「集客」と書く。相手が「お客さんが来ない」と言うなら、そう書く。

こちらの業界用語を使った瞬間に、相手は遠ざかります。知らない言葉が出てきたとき、人は「自分向けじゃないな」と判断するからです。


お金をかける前に、300文字でいい

最後に、実務的な話をします。

「まずはホームページを作らないと」と言う方に、僕は必ずこう言います。

その前に、300文字でいいので書いてみてください。

  • 誰に
  • 何を
  • どうやって

これが決まっていない状態で制作会社に行くと、どうなるか。

きれいだけど、何も言っていないサイトができます。

そして、お金と時間だけが減る。ホームページも映像も、中身を決めてから作れば効きますが、決める前に作っても機能しません。

順番はこうです。

リサーチ → 自分の強みを見つける → 300文字にする → 人に話す → 反応を見る → それからWeb

話して反応が返ってくるようになったら、その言葉をそのままWebに載せればいい。すでに検証済みの言葉なので、今度はちゃんと効きます。


まとめ

  • ブランディングは、ポジションを取ったあとに立ち上がる
  • NIKEは10年赤字。ランニング一点に絞り続けた結果
  • ポジションは頭の中では作れない。リサーチでしか作れない
  • 競合を表にして、全員が×のところを探す
  • みんなが使う言葉は使わない。お客さんの言葉を使う
  • お金をかける前に、300文字で書いて、人に話す

見た目を整えるのは、あとでいくらでもできます。立ち位置だけは、先に決めてください。

そして、うまくいかないとき「見せ方がまだ弱いからだ」と思い込みがちですが、たいていの場合、原因はもっと手前にあります。

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