勇気を出すな、ルールを作れ

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やらなきゃいけないのは、分かっている。

明日こそやろう、と毎晩思う。

そして、翌日もやらない。

僕は起業して12年、500名を超える経営者の方と向き合ってきました。ここで気合いを入れ直しても、まず続きません。

必要なのは勇気ではなく、迷えない仕組みです。


動けた人が、実際に作っていたもの

ある方が、初めて街で見知らぬ人に声をかける実践に挑みました。

もともと、こういうことがまったくできない方です。

その方が作ったルールが、これです。

  • 現場に着いてから30分以内に、声をかける
  • まずは1〜2名に絞る
  • 最初の一言を、あらかじめ決めておく
  • 聞くことを、事前にリストにしておく
  • 一組かけられたら、ルールを見直す

……気合いという言葉が、1つも出てきません。

全部、迷う余地を消す工夫です。


勇気は、その場で調達できません

なぜルールなのか。

理由は、はっきりしています。

勇気は、必要なときに手元にないからです。

家で「よし、明日やるぞ」と思ったときの気持ちは、本物です。

でも、現場に立った瞬間の気持ちは、まったく別物です。その場の気持ちは、その場で決まります。

だから、家で仕込んだ勇気は、現場では使えません。

一方、ルールは持ち運べます。

紙に書いてあれば、その場の気持ちに関係なく残っています。

気持ちは変わる。ルールは変わらない。だからルールで動きます。


迷う隙間に、迷いが入ります

もう1つ、大事なことがあります。

考える時間があると、そこに不安が入ってきます。

たとえば、最初の一言を決めていないとどうなるか。

現場で考えます。「なんて言おう」「この言い方だと変かな」

この数秒で、体が止まります。

でも、最初の一言が決まっていれば、考えません。口が勝手に動きます。

これは、才能の話ではありません。準備の話です。

その方は、こう書いていました。

最初のセリフは毎回同じにする。声をかけるときのセリフを考えないようにする。

考えないようにする。この言い方が、正確です。


ルールは、自分を守るためのものです

ここで、誤解されやすい点を書いておきます。

ルールというと、自分を縛るもののように聞こえます。

逆です。

ルールは、自分を守るためにあります。

ルールがないと、毎回ゼロから判断することになります。

やるかやらないか。今日か明日か。この人か次の人か。

判断は、疲れます。そして疲れると、いちばんラクな選択肢が選ばれます。つまり、やらない。

ルールがあると、この判断が消えます。

決めるのは1回。あとは実行するだけ。

疲れないから、続きます。


数字で決めるほど、効きます

そして、ルールは数字が入っているほど効きます。

  • 「早めに声をかける」→ 効きません
  • 「30分以内に声をかける」→ 効きます
  • 「たまにやる」→ 効きません
  • 「月に2回、先にカレンダーに入れる」→ 効きます

理由は、数字が入っていないと守れたかどうかが分からないからです。

分からないと、振り返れません。振り返れないと、直せません。

その方も、アクションの計画に数字を入れていました。

月2回は日程を確保して取り組む。

やる気は続きませんが、予定は続きます。

カレンダーに入っていれば、その日の自分は「やるか迷う」のではなく、やるだけです。


ルールは、直す前提で作ってください

最後にもう1つ。

この方のルールで、僕がいちばんいいと思ったのは最後の項目です。

一組声をかけられたら、ルールを見直し。

最初から、直す前提で作っています。

ここができる人は、強いです。

多くの人は、ルールを守れなかったときに自分を責めます。そして、やめます。

でも本当は、守れなかったルールは大きすぎただけです。

守れなかったら、責めるのではなく小さくする。

「30分以内」が無理なら「1時間以内」でいい。「月2回」が無理なら「月1回」でいい。

続いているルールが、正しいルールです。

理想的なルールを守れずにやめるより、ゆるいルールを1年続けたほうが、はるかに遠くまで行けます。


ルールは、紙に書いてください

最後に、ひとつだけ足します。

ルールは、頭の中に置かないでください。

必ず、紙かメモに書いてください。

理由は2つあります。

1つめ。頭の中のルールは、その場で書き換えられるからです。

「30分以内」と頭で決めていても、現場で「今日は人が少ないから、45分でいいか」と自分で交渉が始まります。そして、その交渉には必ず負けます。

紙に書いてあると、この交渉が起きにくくなります。外にあるものは、書き換えづらいからです。

2つめ。振り返りができます。

紙があると、あとから「守れた/守れなかった」が残ります。

残ると、直せます。

その方も、会話ができたら記録を取ると決めていました。

これは地味ですが、効きます。試したことは、記録がないとただの記憶になって消えます。

記録があるから、自分だけのやり方が育っていきます。


まとめ

  • 勇気は、必要なときに手元にない
  • その場の気持ちは、その場で決まる。だからルールで動く
  • 考える隙間に、不安が入る
  • 最初の一言を決めておくと、口が勝手に動く
  • ルールは縛りではなく、判断を消して自分を守るもの
  • 数字を入れる。守れたか分かる形にする
  • 守れなかったら、責めずに小さくする

明日やることを1つ選んで、時間と回数を決めてみてください。

そして、動けないとき「自分に勇気がない」と思い込みがちですが、たいていの場合、原因はもっと手前にあります。

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