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  • 感じさせてから、納得させてください

    感じさせてから、納得させてください

    正しいことを、丁寧に説明している。

    根拠も出した。データも見せた。

    なのに、相手の顔が動かない。

    僕は起業して12年、500名を超える経営者の方と向き合ってきました。この原因は、内容ではありません。

    順番が、逆です。


    理屈から入ると、眠くなります

    まず、事実を1つ。

    理屈だけの話は、眠くなります。

    これは、相手の集中力の問題ではありません。

    頭で処理する情報は、感情を動かしません。動かないので、疲れます。疲れると、聞くのをやめます。

    そして、専門性が高い人ほど、この形になります。

    • 制度の説明から入る
    • 仕組みの説明から入る
    • 数字の説明から入る

    全部、正しいんです。ただ、順番が違います。


    逆も、また効きません

    念のため、反対側も書いておきます。

    感情だけでも、売れません。

    • 気持ちの話ばかり
    • 「大丈夫、うまくいきます」だけ
    • 根拠がまったくない

    これは、その場は盛り上がります。

    でも、家に帰って冷めます。そして、申し込みません。

    なぜなら、人は最後に理屈で自分を納得させるからです。

    だから、片方だけでは足りません。


    正しい順番は、これです

    僕がお伝えしている順番は、4つです。

    ① 物語で、感情を動かす② 情景を想像させる③ 理屈で、納得させる④ 人で、選ばれる

    この順番でしか、人は動きません。

    そして、多くの人は③から始めています。


    ① まず、物語です

    最初にやることは、物語です。

    自分の商品にまつわる話でも、お客さんの話でもいい。

    大事なのは、聞いた人の頭に映像が浮かぶことです。

    物語がいいのは、誰でも受け取れるからです。

    たとえば、桃太郎の話は、誰も勉強していないのに知っています。

    物語には、そういう力があります。難しい説明を1つもせずに、相手の中に入っていけます。

    そして、物語がない商品は、ありません。

    なぜその値段なのか。なぜその作り方なのか。誰が使って、どうなったか。

    必ず、あります。


    ② 情景を、想像させます

    物語で感情が動いたら、次に情景を見せます。

    それを手に入れたあと、どうなっているか。

    ここで大事なのは、言い切らないことです。

    「あなたはこうなります」と押しつけるのではなく、想像できる材料を置く。

    そして、相手が勝手に想像します。

    人は、自分で想像したものにしか、本気になりません。

    こちらが結論まで言ってしまうと、相手の想像する余地がなくなります。


    ③ そこで初めて、理屈です

    感情が動いて、情景が浮かんだ。

    ここで初めて、理屈を出します。

    • なぜ、それが起きるのか
    • 実際のデータ
    • 他の人の結果

    同じ情報でも、この位置で出すとまったく違う受け取られ方をします。

    なぜなら、もう欲しくなっているからです。

    欲しくなっている人にとって、理屈は「買っていい理由」になります。

    一方、まだ何も感じていない人にとって、理屈は「判断材料」です。判断されると、たいてい「今はいいです」になります。

    同じ話が、位置によって背中を押したり、止めたりします。


    ④ 最後は、人です

    そして、最終的に何で選ばれるか。

    人です。

    同じ内容を、同じ値段で、2人が出していたら、人は「この人がいい」で選びます。

    これは、感覚です。理屈ではありません。

    そして、この感覚は物語から生まれます。

    物語に共感した人は、その物語を語った人に会いたくなります。

    だから、こうなります。

    売り込まなくても、向こうから来る。

    これが、目指す形です。


    自分の説明を、点検してください

    最後に、明日からできることを書きます。

    いま使っている説明を、書き出してみてください。

    そして、どこから始まっているかを見てください。

    • 制度や仕組みの話から始まっている → ③から始めています
    • 自分の資格や実績から始まっている → ③です
    • お客さんの話から始まっている → ①です

    もし③から始まっていたら、前に1つ足すだけでいい。

    「以前、こういう方がいらっしゃいました」

    この一言から始めるだけで、順番が変わります。

    そして、内容は1つも変えていません。


    物語は、自分のものでなくていいんです

    「自分に語る物語がない」と思われた方へ。

    自分の物語でなくて、構いません。

    いちばん使いやすいのは、お客さんの物語です。

    • 以前、こういう方がいらっしゃいました
    • 最初にお会いしたとき、その方はこう言っていました
    • 半年後、こう言われました

    これで十分です。

    そして、実はこちらのほうが強いです。

    なぜなら、読んでいる人は、その方に自分を重ねられるからです。

    あなたの物語だと、読む人はあなたを見ています。

    でも、お客さんの物語だと、読む人は自分を見ます。

    1つあれば、繰り返し使えます

    もう1つ、実務的な話をします。

    物語は、たくさん要りません。

    よく効くものが1つあれば、それを使い続けられます。

    同じ話を、面談でも、記事でも、登壇でも使う。

    「同じ話ばかりで飽きられないか」と心配される方がいますが、聞く相手はいつも初めてです。

    そして、繰り返すほど話が磨かれます。どこで反応が起きるかが分かってくるので。

    1つを、磨き抜いてください。


    まとめ

    • 理屈だけの話は、眠くなる
    • 感情だけの話は、家に帰ると冷める
    • 順番は、物語 → 情景 → 理屈 → 人
    • 物語は、誰でも受け取れる
    • 物語のない商品はない
    • 情景は言い切らない。相手に想像させる
    • 同じ理屈でも、位置によって効き方が逆になる
    • 説明の前に「以前、こういう方が」を1つ足す

    自分の説明がどこから始まっているかを、確かめてみてください。

    そして、伝わらないとき「説明が足りないからだ」と思い込みがちですが、たいていの場合、原因はもっと手前にあります。

    あなたの案件が「どこで止まっているのか」は、無料の診断ツールで60秒でチェックできます。止まっている場所が分かれば、次の一歩も見えてきます。

  • メリットのハシゴを、一段ずつ上げてください

    メリットのハシゴを、一段ずつ上げてください

    いいものだという自信がある。

    だから、全部伝えたい。

    そして、一気に話して断られます。

    僕は起業して12年、500名を超える経営者の方と向き合ってきました。断られる原因は、内容ではありません。

    相手が、まだそこまで上がってきていないだけです。


    人は、段を飛ばして上がれません

    まず、仕組みを説明します。

    相手の頭の中には、段があります。

    ① 自分に関係がある話だ② 自分にも困りごとがあるかもしれない③ それは、放っておくとまずい④ 解決する方法があるらしい⑤ この人に頼むといいかもしれない

    売る側は、いつも⑤に立っています。

    でも、初めて聞く相手は①にいます。

    そこに向かって⑤の話をするから、届きません。

    これは、内容の問題ではなく、位置の問題です。


    メリットには、手前と奥があります

    段を上げるときに、いちばん効くのがこれです。

    メリットを2階建てにしてください。

    ① 本人が分かっているメリット② 本人が気づいていない、奥のメリット

    例を出します。

    使っていない宝石を買い取る商売なら、こうです。

    • ① お金になる(誰でも分かる)
    • ② そのお金で、大切な人と旅行に行ける

    車なら、こうです。

    • ① 燃費がいい
    • ② 維持費が浮くぶん、お金を生む車になる

    ①だけだと、値段の比較になります。

    ②が見えた瞬間、話が変わります。


    奥のほうは、言い切らないでください

    ここが、いちばん大事なところです。

    ②を、こちらから言い切らないでください。

    「この車は、お金を生む車です」

    こう言われると、人は引きます。押されている感じがするからです。

    そうではなく、相手が勝手にそう思うように置きます。

    たとえば、こうです。

    「月々の差額が、だいたい1万円くらいですね」

    これだけ。

    そして、相手が計算します。年間12万。5年で60万。

    「あ、それなら旅行に行けるな」

    自分で気づきました。

    人は、自分で思いついたことにしか、本気になりません。


    痛みがないと、上がりません

    もう1つ、段を上げるのに必要なものがあります。

    痛みです。

    困っていない人は、動きません。当然です。

    そして、世の中の商品の多くは、痛みが見えにくいです。

    そういうときは、本人が気づいていない痛みに、そっと触れます。

    たとえば、こうです。

    「あの指輪、今どこにあるか思い出せますか」

    ……うまいですよね。

    売り込んでいません。責めてもいません。

    でも、聞かれた人は探し始めます。そして、思い出せないことに気づきます。

    気づいた瞬間、それがその人の問題になります。


    強すぎる痛みは、逆効果です

    ただし、ここは加減が要ります。

    痛みを強く突きすぎると、人は逃げます。

    「このままだと、あなたは大変なことになりますよ」

    こう言われて動く人より、耳を塞ぐ人のほうが多いです。

    目安は、「これは何とかしないとな」と思える程度です。

    眠れなくなるほどではなく、少し引っかかるくらい。

    そして、うそはつかないでください。

    作った痛みが本当でないと、後で必ず崩れます。そして、崩れたときに失うのは信用です。

    触れるのは、実際にある痛みだけにしてください。


    想像しやすいものから、話してください

    もう1つ、実務的なコツです。

    段を上げるとき、相手が想像しやすい話から入ってください。

    たとえば、指輪やネックレスは、多くの人が身につけた経験があります。

    だから「あの指輪」と言われた瞬間、具体的な映像が浮かびます。

    一方、経験のないものは浮かびません。浮かばないものについては、痛みも感じられません。

    だから、こう考えてください。

    相手の記憶の中にあるものから、始める。

    そして、そこから自分の商品につなげていく。

    いきなり自分の商品から始めない。これだけで、届き方が変わります。


    「できます」で止めないでください

    最後に、いちばんよくある失敗を書きます。

    紹介文が、こうなっていませんか。

    「〜ができます」

    これは、①で止まっています。

    • 買い取りができます
    • 修理ができます
    • 相談に乗れます

    その結果、何が手に入るのか。

    ここを1行足すだけで、段が1つ上がります。

    そして、その1行があるかないかで、読んだ人が自分の未来を想像できるかどうかが決まります。


    段を上げるのは、一度に1つです

    最後に、実践の順序を書いておきます。

    段を上げようとするとき、一度に2つ上げようとしないでください。

    たとえば、初対面の相手に、痛みも奥のメリットも解決策も、全部その日に伝えようとする。

    これをやると、相手は追いつけません。そして、押されていると感じます。

    だから、こう考えてください。

    今日は、1つ上げるだけでいい。

    初回は「自分に関係がある話だ」と思ってもらえたら成功。それ以上を狙わない。

    そして次に会ったとき、次の段に行く。

    1回の面談で決めようとするから、無理が出ます。

    そして、この考え方には副産物があります。

    焦らなくなります。

    今日決まらなくても、段が1つ上がっていれば前進です。

    そう思えると、押さなくて済みます。そして押さない人のほうが、結果的に決まります。


    まとめ

    • 相手は①にいる。売る側は⑤にいる
    • 断られるのは内容ではなく、位置の問題
    • メリットは2階建て。分かっているものと、奥のもの
    • 奥は言い切らない。相手に気づいてもらう
    • 人は、自分で思いついたことにしか本気にならない
    • 痛みがないと動かない。気づいていない痛みに触れる
    • 強すぎると逃げる。うそはつかない
    • 相手の記憶にあるものから始める
    • 「できます」で止めず、その結果を1行足す

    自分の紹介文の「できます」に、その先を1行足してみてください。

    そして、断られたとき「商品が弱いからだ」と思い込みがちですが、たいていの場合、原因はもっと手前にあります。

    あなたの案件が「どこで止まっているのか」は、無料の診断ツールで60秒でチェックできます。止まっている場所が分かれば、次の一歩も見えてきます。

  • 商品の説明をやめて、変化を語ってください

    商品の説明をやめて、変化を語ってください

    自分のサービスを、丁寧に説明する。

    内容も、手順も、何が含まれるかも、全部伝える。

    なのに、響きません。

    僕は起業して12年、500名を超える経営者の方と向き合ってきました。この原因は、説明の下手さではありません。

    説明していること自体が、原因です。


    ドリルを買う人は、ドリルが欲しいのではありません

    有名な話を1つ紹介します。

    電動ドリルを買う人は、なぜ買うのでしょうか。

    答えは、穴が欲しいからです。

    ドリルが欲しいわけではありません。

    もし他の方法で穴が開くなら、その人はドリルを買いません。

    つまり、ドリルは手段です。

    そして私たちは、自分の商売の話になると、この当たり前を忘れます。

    手段の説明ばかりしてしまいます。


    手段を説明しても、想像できません

    なぜ手段の説明が響かないのか。

    聞いた人が、自分の未来を想像できないからです。

    たとえば、こう言われたとします。

    「全6回、1回90分、教材つき、質問し放題です」

    ……買いたくなりますか。

    なりませんよね。

    なぜなら、これを受けた結果、自分がどうなるかが1つも書かれていないからです。

    人は、変化にお金を払います。内容にではありません。


    「できること」で止めないでください

    よくある形が、これです。

    「〜ができるようになります」

    一見、変化を語っているように見えます。

    でも、まだ足りません。

    「できるようになった結果、何が手に入るのか」が抜けています。

    例で見てみましょう。

    • 弱い:話し方の型が身につきます
    • 少しまし:人前で話せるようになります
    • 強い:会う人ごとに説明を変えなくてよくなり、初対面で相談されるようになります

    最後だけ、聞いた人の日常が変わって見えます。


    メリットには、2つの階層があります

    もう少し踏み込みます。

    人が「欲しい」と思うのは、奥のほうを想像した瞬間です。

    つまり、伝えるべきものは2つあります。

    ① 本人が分かっているメリット② 本人が気づいていない、奥のメリット

    たとえば、宝石を買い取る商売なら、こうです。

    • ① 使っていない宝石が、お金になる
    • ② そのお金で、大切な人と旅行に行ける

    車なら、こうです。

    • ① 燃費がいい
    • ② 維持費が浮くので、実質お金を生む車になる

    そして、ここが大事です。

    ②は、言い切らないでください。

    「これはお金を生む車です」とは言いません。相手が勝手にそう思ってくれるのが理想です。

    人は、自分で思いついたことにしか、本気になりません。


    痛みがない商品は、痛みを作ります

    もう1つ、実務的な話をします。

    困っていない人は、動きません。

    でも、世の中には痛みが分かりにくい商品があります。

    そういうときは、本人が気づいていない痛みに、そっと触れます。

    たとえば、こうです。

    「あの指輪、今どこにあるか思い出せますか」

    ……これ、うまいですよね。

    責めていません。売り込んでもいません。

    でも、聞かれた人は探し始めます。そして、思い出せないことに気づきます。

    気づいた瞬間に、初めてその人の問題になります。


    ただし、強すぎる痛みは逆効果です

    ここは、注意してください。

    痛みを強く突きすぎると、人は逃げます。

    「このままだと、あなたの会社は潰れます」

    こう言われて動く人は、少数です。多くは、怖くて考えるのをやめます。

    目安は、「これは何とかしないと」と思える程度です。

    そして、うそはつかないでください。

    作った痛みが事実でないと、後から必ず崩れます。そして、崩れたときに失うのは信用です。

    触れるのは、本当にある痛みだけにしてください。


    見せる数は、奇数にしてください

    最後に、細かいけれど効くコツを紹介します。

    ポイントを並べるとき、数を奇数にしてください。

    3つ、5つ、7つ。

    理由は、偶数は安心を与え、奇数は好奇心を刺激するからです。

    「4つのポイント」と言われると、きれいに収まった感じがします。そこで気持ちが落ち着いてしまう。

    でも「3つのポイント」だと、少し引っかかります。

    街の広告を見てみてください。驚くほど3と5と7が多いです。

    そして、4つしか出てこなかったときは、無理やり5つ目を作ってください。

    無理して作ったものが、後から効くことがよくあります。


    自分の説明文を、点検してみてください

    ここまで読んだら、一度、自分の紹介文を開いてみてください。

    そして、主語を数えてください。

    主語が「私」や「当社」になっている文が、いくつありますか。

    • 当社は、〜を提供しています
    • 私は、〜の資格を持っています
    • 当社の強みは、〜です

    これが多いほど、説明文になっています。

    直し方は簡単です。

    主語を「あなた」に変えてください。

    • あなたは、〜で悩んでいませんか
    • あなたは、〜が手に入ります
    • あなたの一日が、こう変わります

    内容は同じでも、読んだ人の頭に浮かぶ映像がまったく違います。

    「私」で始まる文は、相手にとって他人の話です。「あなた」で始まる文は、自分の話になります。

    この置き換えだけで、読まれ方が変わります。


    まとめ

    • ドリルを買う人は、穴が欲しいだけ
    • 手段を説明されても、自分の未来を想像できない
    • 「できるようになります」で止めない
    • できた結果、日常がどう変わるかまで書く
    • 分かっているメリットと、奥のメリット。両方を出す
    • 奥は言い切らない。相手に思ってもらう
    • 痛みは、本当にあるものだけ。強すぎると逃げられる
    • 並べる数は、3・5・7にする

    自分の紹介文を開いて、「その結果どうなるか」を1行足してみてください。

    そして、響かないとき「説明が下手だからだ」と思い込みがちですが、たいていの場合、原因はもっと手前にあります。

    あなたの案件が「どこで止まっているのか」は、無料の診断ツールで60秒でチェックできます。止まっている場所が分かれば、次の一歩も見えてきます。

  • 買う直前、人の財布はこう緩みます

    買う直前、人の財布はこう緩みます

    単価を上げたい。

    でも、追加で何かを勧めるのは気が引ける。押し売りだと思われたくない。

    その結果、いつも最低限だけ売って終わる。

    僕は起業して12年、500名を超える経営者の方と向き合ってきました。この遠慮、まじめな人ほど強く持っています。

    でも、1つだけ知っておいてほしいことがあります。

    同じ提案でも、いつ言うかで、受け取られ方がまったく変わります。

    そして一番受け取ってもらえるのは、相手が「買う」と決めた直後です。


    決めた瞬間と、決める前は、別世界です

    車の営業を思い浮かべてください。

    250万円の車を見に来たお客さんに、営業マンがこう言います。

    「こちらのほうが燃費もよくて、乗り心地も違いますよ」

    差額は、20万か30万。

    すると、けっこうな確率で「じゃあ、そっちにします」となります。250万を出すと決めた人にとって、20万は”そのくらいなら”の範囲になるからです。

    そして、買うと決まった直後にこう続きます。

    「ナビ、つけておきますね」

    「マットと保証も、つけておきますね」

    ここで大事なのは、言い方です。

    「つけますか?」ではありません。「つけておきますね」です。

    もう買うと決まっている前提で話す。これが、あの数分間で単価が上がっていく仕組みです。


    なぜ、嫌がられないのか

    不思議に思いませんか。同じことをしているのに、なぜ押し売りにならないのか。

    理由は、相手の頭の状態が違うからです。

    買わないと決めた人に同じことをすると、ものすごく嫌われます。しつこい、と思われる。

    でも買うと決めた直後の人にとっては、こう見えます。

    「この人、一生懸命やってくれているな」

    同じ言葉が、真逆に受け取られる。中身ではなく、タイミングの問題なんですよね。

    だから僕は、決まる前に足さないと決めています。

    「これも付けられます」「こういうオプションもあります」を決断の前に出すと、相手は迷います。迷いは、そのまま先送りになります。

    まず1つ、決めてもらう。足すのは、そのあと。


    「8割の人は、こちらを選んでいます」

    もう1つ、単価に効く伝え方があります。

    前提を、先に置いておくという方法です。

    たとえば、こう言います。

    「これから独立される方の8割は、だいたいこちらのコースを学ばれています」

    これを聞いた相手の頭の中では、何が起きるか。

    そこが基準になります。

    人の脳は、先に示された数字や前提を軸にして考えます。「8割がこっち」と聞いた瞬間、こちらが標準になり、下のコースが「削った版」に見えるようになる。

    僕が主催している講座でも、これは毎回起きます。3つのコースを用意していて、9割の方が一番高いものを選びます。

    理由ははっきりしています。前提を置いているからです。

    「今後の集客で、動画があるかないかで全然違うのは、もうご存じですよね」

    こう言ってから、実際の映像を見せる。そして「動画だけを外注すると制作費が100万を超えます」と伝える。

    すると、こうなります。

    「どうせやるなら、絶対こっちだよね」

    値段の話をしているようで、していないんです。していたのは、判断の基準を渡す話でした。

    ただし、最後は必ずこう言います。

    「必要ないと思われる方は、3つから自由に選んでいただいて結構です」

    委ねる。ここを外すと、押しつけになります。


    買った人に貼る、一枚のラベル

    もう1つだけ、お金のかからない方法を紹介します。

    セミナーのあと、個別相談に申し込んでくれた方に、僕はすぐメールを送ります。

    そのとき、こう書きます。

    「◯◯さんのように、こんなに真剣にメモをとってくださる方って、実はすごく少ないんですよ。その姿勢、僕も今日、学ばせていただきました」

    これだけです。

    すると、返ってくる返事が変わります。

    「行ってよかったです」「個別相談、楽しみにしています」

    人は、貼られたラベルの通りに動きます。「真剣な人」と言われた人は、次の場でも真剣に来てくれる。

    年賀状と同じです。印刷だけのものと、手書きで一言入っているもの。届いたときの気持ち、まったく違いますよね。

    マニュアル通りのお礼メールを送っても、何も起きません。その人にしか当てはまらない一言を、1行入れる。それだけです。


    ただし、これは価値がある場合だけです

    ここまで書いておいて、大事なことを言います。

    足すものに、本当に価値がないとダメです。

    いらないものを「つけておきますね」で売ったら、それはただの押し売りです。そして必ず、後で返ってきます。返品か、悪い評判か、二度と来ないという形で。

    僕が上のコースを勧めるのは、そちらのほうが早く結果が出ると本気で思っているからです。思っていないものは、勧めません。

    タイミングの話は、あくまで良いものを、受け取ってもらいやすい形で渡すための工夫です。悪いものを通すための道具ではありません。

    ここを間違えると、短期的には売れて、長期的に全部失います。


    まとめ

    • 提案するのは、相手が「買う」と決めた直後
    • 「つけますか?」でなく「つけておきますね」
    • 決まる前に足さない。迷いが生まれて、先送りになる
    • 前提を先に置く。「8割の方はこちらです」で基準が動く
    • 最後は必ず委ねる。「自由に選んでください」がないと押しつけになる
    • その人だけに当てはまる一言を、1行入れる。人はラベル通りに動く
    • 足すものに価値がなければ、全部台無しになる

    単価を上げるのは、押すことではありません。順番を変えるだけです。

    そして、単価が上がらないとき「自分の商品が安く見えるからだ」と思い込みがちですが、たいていの場合、原因はもっと手前にあります。

    あなたの案件が「どこで止まっているのか」は、無料の診断ツールで60秒でチェックできます。自分の現在地が分かると、次の一歩が見えてきます。

  • セミナーは、3部構成にすると売れます

    セミナーは、3部構成にすると売れます

    セミナーの台本を作るとき、こんなふうになっていませんか。

    伝えたいことを、思いつくまま並べる。

    途中で商品の話も入れる。最後に「よかったらどうぞ」と付け足す。

    話し終えて、なんとなく手応えはある。でも誰も申し込まない。

    僕は起業して12年、500名を超える経営者の方と向き合ってきました。この形の人は、本当に多いです。

    話す中身は悪くありません。順番が混ざっているだけです。

    セミナーは、3つに分けてください。そして絶対に混ぜないでください。


    第1部:ノウハウ。ただし、やり方は教えない

    最初のパートは、価値を教えるところです。

    「こういうことがあると、まずいですよね」

    「ここがポイントなんです」

    こう伝えて、相手に気づいてもらう。

    ここで大事なのが、やり方そのものは教えないということです。

    前に書いたことがありますが、僕はデビュー戦で全部教えてしまって、17人中17人が大満足なのに成約ゼロという結果を出しました。理由は簡単で、全部渡すと「自分でできる」になるからです。

    だから1部でやるのは、「できていない」に気づいてもらうことまで。

    もう1つ、ここで絶対にやってはいけないことがあります。

    1部に商品の話を混ぜないこと。

    混ぜた瞬間、相手は「あ、最初から売り込まれていたのか」と感じます。それまでの話が全部、営業トークに聞こえるようになる。

    分けるだけで、この事故は防げます。


    第2部:商品。ただし、説明はしない

    2つめのパートで、はじめて自分のサービスの話をします。

    ここで多くの人がやるのが、商品説明です。

    こういう内容で、何回あって、こういうサポートが付いていて。

    ……買いませんよね。

    お米の説明をされて、お米を買った経験、ありますか。

    品種がこうで、産地がこうで、粒の大きさがこうで。聞いたところで、買う理由にはなりません。

    2部で伝えるのは、その人がどうなるかです。

    • 自分にもできそうだ、と思ってもらう(難しそうだと思われた時点で終わります)
    • 一人じゃない、と伝える(伴走する人がいる安心感)
    • 説明でなく、物語で伝える

    ここに、実際にいた人の話を入れます。同じところで悩んでいた人が、どう変わったか。人は説明では動きませんが、他人の物語には自分を重ねます。


    第3部:クロージング。3つのなぜで締める

    最後のパートで確かめてもらうのは、3つだけです。

    1. なぜ、これが必要なのか
    2. なぜ、あなたから買うのか
    3. なぜ、今なのか

    1つずつ、少しだけ補足します。

    1つめは、動機です。パソコンって、壊れそうにならないと買い替えませんよね。人は、必要だと感じるまで動きません。だからここを、ストーリーで伝えます。

    2つめは、判断の基準を渡すことです。ここで僕がよく使う言い方があります。

    「うちを、選ばなくてもいいですよ」

    本気で言います。そのうえで、こう続ける。

    「ただ、こういうことをやってくれるところを選んでください」

    ライバルを悪く言う必要はありません。選ぶ基準を渡すと、結果として自分が選ばれます。

    3つめは、今である理由です。ここが一番、抜けます。


    「また今度」と言った人が、1年後に来ました

    3つめの大切さを、僕は痛い形で知りました。

    ある方に「これはやっておいたほうがいいですよ」と伝えたことがあります。

    その方は「ありがとうございます、また今度」と言って帰っていきました。

    1年後、その方が来ました。

    800万円の借金を背負って、です。

    そして、こう言われました。

    「あのとき、早くやればよかった」

    正直に言うと、まじかよ、と思いました。そして同時に、自分を責めました。僕が「今です」と言い切らなかったからだ、と。

    伝えなかったのは、遠慮です。押しつけたくなかった。でもその遠慮の代償を払ったのは、僕じゃなくてその人でした。

    それ以来、僕は死ぬ気で「今である理由」を伝えるようになりました。


    全員に全力を出すと、肝心なところで力が残りません

    もう1つ、構成と同じくらい大事なことがあります。

    誰に、どれだけの力を出すかです。

    昔の僕は、目の前の人全員に300%で接していました。それが誠実さだと思っていたからです。

    でも、師匠にこう言われました。

    「フロントで300%出したら、バックエンドがダウンするぞ」

    意味が分かるまで、少し時間がかかりました。

    無料の場で全部出し切ってしまうと、お金と時間を払ってくれた人に渡すものが残らないんです。

    今は、こう分けています。

    • 無料のセミナー:70%
    • 本気で申し込んでくれた人:300%

    冷たいと思われるかもしれません。でも逆です。一番大事にすべき人を、一番大事にするというだけの話なんですよ。


    まとめ

    • セミナーは3部に分ける。1部と2部を混ぜると、全部が売り込みに聞こえる
    • 1部はノウハウ。ただしやり方は教えない。気づいてもらうところまで
    • 2部は商品。ただし説明はしない。その人がどうなるかを、物語で
    • 3部はクロージング。なぜ必要・なぜあなた・なぜ今
    • 「うちを選ばなくてもいい」と言う。判断基準を渡すと、選ばれる
    • 今である理由を、遠慮せずに伝える
    • 無料の場で全力を出さない。払ってくれた人に300%を残す

    順番を分けるだけです。話す中身は、今のままでかまいません。

    そして、申し込まれないとき「自分の話がつまらないからだ」と思い込みがちですが、たいていの場合、原因はもっと手前にあります。

    あなたの案件が「どこで止まっているのか」は、無料の診断ツールで60秒でチェックできます。自分の現在地が分かると、次の一歩が見えてきます。

  • 単位を小さく見せるだけで、値段の印象は変わります

    単位を小さく見せるだけで、値段の印象は変わります

    金額を伝えた瞬間、相手の表情が固くなる。

    その経験、ありませんか。

    商品には自信がある。中身も詰まっている。でも数字を口にした途端、空気が変わる。

    僕は起業して12年、500名を超える経営者の方と向き合ってきました。そのうえで言えることがあります。

    多くの人は、値段が高いのではなく、値段の出し方で損をしています。

    同じ金額なのに、伝え方だけで印象がまるっきり変わるからです。


    「毎月1万500円」と「毎日350円」

    生命保険の話をします。

    保険の営業マンが金額を伝えるとき、こう言います。

    「毎日350円です」

    「毎月1万500円です」とは、あまり言いません。

    この2つ、同じ金額です。1万500円を30日で割ると350円ですから。

    でも、受ける印象はまったく違いますよね。

    さらに言うと、その保険が30年続くなら、最終的に払い込む総額は400万円を超えます。

    400万円と、毎日350円。

    同じものを指しているのに、頭に浮かぶ絵がまるで別物です。

    これは、最小単位で提示されると、人は無意識に割安を感じるからです。単位を小さくすればするほど、安く見える。

    騙しではありません。事実を、別の角度から見せているだけです。


    相手が毎日使っているものに、置き換える

    もう一段効くやり方があります。

    金額を、相手が実際に使っている支出に置き換えます。

    僕が営業をやっていた頃、よく使っていたのがこれでした。

    「缶ジュース1本と同じですよ。毎日1本飲むのと、同じです」

    これを言うと、相手の顔がふっとゆるむんですよね。

    なぜかというと、すでに払っているものだからです。缶ジュースを毎日買っている人は、その支出について「高い」と思ったことがありません。無意識に、当たり前に払っている。

    そこに並べた瞬間、こちらの金額も「払える側」に移動します。

    ポイントは、相手が実際に使っているもので言うことです。

    お酒が好きな人なら、ビール何本分。コーヒーをよく買う人なら、カフェ1杯分。子どもがいる人なら、また別のものになります。

    知らないものと比べても、イメージが湧きません。

    高級ワイン1本分ですよ、と言われても、ワインを飲まない人にはピンと来ない。むしろ「そんなの買ったことないです」で終わります。

    だから、この人は毎日、何にお金を使っているかを先に聞いておく。雑談の中で拾っておくんです。ここが下ごしらえです。


    ただし、毎回使うものではありません

    ここが大事なところです。

    この見せ方は、毎回言うものではありません。

    いつも財布のひもがゆるい人ばかりではないですよね。でも同じように、いつも身構えている人ばかりでもない。

    すんなり決まりそうな場面で、わざわざ「缶ジュース1本と同じです」と言う必要はありません。

    むしろ、安く見せようとしている感じが出て、逆効果になることすらあります。せっかく価値で選ぼうとしていた人を、値段の話に引き戻してしまう。

    使うのは、相手がぐらついた瞬間です。

    「うーん」と迷いが出た。表情が止まった。目線が下がった。そのとき、別の角度からポンと出す。


    引き出しは、複数持っておく

    だからこそ、言い方を1つしか持っていないのが一番まずいんです。

    迷った相手を目の前にして、切り替えられるものが何もない。同じ説明をもう一度繰り返す。そのまま「じゃあ、また考えます」で終わる。

    これが、一番もったいない。

    僕は、価格の伝え方を何通りも持っています。

    • 総額を、1日あたりに割る
    • 相手の日常の支出に置き換える
    • このまま何もしなかったら、いくら失うかを見せる
    • 高いものには、それだけの理由があると正面から言う
    • 払い方(分割・時期)を一緒に考える

    どれが正解ということはありません。相手と、その日の空気で選ぶだけです。

    いつもは水が出る蛇口から、今日はポッキーが出てくる。そういう引き出しをいくつ持っているかで、越えられる場面の数が変わります。


    引き出しは、どうやって増やすか

    「そんなに引き出しがない」という人へ。

    増やし方は1つだけです。申し込んでくれた人に、理由を聞くこと。

    僕は必ず聞きます。

    「差し支えなければ、なぜ申し込もうと思われたんですか?」

    これが、ものすごく効きます。

    自分では「あの説明が良かったんだろうな」と思っていたのに、まったく別のことを言われることがあるんですよ。

    「話し方が、前に通ってた先生に似てたんです」とか。「日程が近かったから」とか。

    正直に言うと、まじかよ、と思ったこともあります。こっちが一番力を入れたところじゃなかった、ということが本当によくある。

    でも、それでいいんです。そこが本当の理由だったというだけの話ですから。

    これを聞き続けると、引き出しが増えます。人が動く理由のパターンが、だんだん見えてくる。そして、次に迷っている人を目の前にしたとき、出せる手が増えている。

    断られた理由より、申し込まれた理由のほうが、はるかに学びが大きいです。


    まとめ

    • 総額でそのまま出さない。最小単位に割ると、無意識に割安を感じる
    • 相手が毎日使っているものに置き換える。知らないものと比べても響かない
    • そのために、その人の日常の支出を先に聞いておく
    • 毎回は使わない。すんなり決まる場面で使うと、逆に安っぽくなる
    • 使うのは、相手がぐらついた瞬間
    • 言い方を複数持つ。1つしかないと、迷った相手をそのまま逃す
    • 引き出しは「なぜ申し込んだか」を聞くと増える

    値段を変える前に、出し方を変えてみてください。それだけで反応が変わることは、本当によくあります。

    そして、決まらないとき「自分の値段設定が悪いからだ」と思い込みがちですが、たいていの場合、原因はもっと手前にあります。

    あなたの案件が「どこで止まっているのか」は、無料の診断ツールで60秒でチェックできます。自分の現在地が分かると、次の一歩が見えてきます。

  • 相手の不安は、聞かれる前に潰しておく

    相手の不安は、聞かれる前に潰しておく

    商談の最後に出てくる言葉、だいたい決まっていませんか。

    「ちょっと時間が取れなくて」

    「今、予算が厳しくて」

    「一度、持ち帰って検討します」

    そのたびに、その場で必死に答える。うまく返せたときもあるし、返せずに終わることもある。

    僕は起業して12年、500名を超える経営者の方と向き合ってきました。そのうえで言えることがあります。

    質問されてから答えているうちは、まだ後手です。

    断られる理由は、そんなにたくさんありません。だいたい3つ前後です。

    だったら、言われる前に潰しておけばいい。


    まず、断られる理由を全部書き出す

    やることは単純です。

    紙を1枚出して、「この人が断るとしたら、どんな理由か」を全部書き出します。

    • 時間が取れない
    • お金がない
    • 自分にできるか不安
    • 家族に相談しないと決められない
    • 効果が本当に出るのか分からない
    • 前に似たものを買って失敗した

    たいてい、こんなところに落ち着きます。そして、あなたの商品なら何が出やすいかは、これまでの経験でもう分かっているはずです。

    ここで大事なのは、思い出せるものを全部出し切ることです。3つで止めない。10個書き出して、その中でよく出る3つを選ぶ。この順番でやると、精度が上がります。

    書き出したら、次はこれを前半のうちに、こちらから話しておく。

    「よく、時間が取れるか不安ですと言われるんですが」と自分から出す。相手が言う前に、です。


    先に出すと、なぜ効くのか

    理由は2つあります。

    1つめは、言い訳として使えなくなるから。

    人は、断るときに一番言いやすい言葉を選びます。それをこちらが先に触れて、答えまで出してしまうと、その札が使えなくなる。

    2つめは、こっちのほうが大きいんですが、信頼が生まれるからです。

    自分から不安に触れる人は、隠していないように見えます。「この人は、都合の悪いことも先に言うんだな」と思われる。

    逆に、いいところしか言わない人は、必ずどこかで警戒されます。完璧すぎる話は、疑われるんですよね。

    だから、先回りは防御ではありません。信頼を作りにいく攻めの手です。ここを勘違いすると、言い訳がましい説明になってしまうので注意してください。


    責めずに、ストーリーで伝える

    先回りするときに、一番やってはいけないことがあります。

    相手を直接責めることです。

    「このまま何もしないと、来年も同じですよ」

    正しいことを言っているつもりでも、これは刺さりません。刺さるどころか、防御されます。人は、痛いところを他人に指摘されると心を閉じるからです。

    だから、他人の話として伝えます。

    「以前、こういう方がいらっしゃいました。ずっと迷っていて、1年後に相談に来られたんですが、そのときこう言われたんです。あのとき始めていればよかった、と」

    同じ内容です。でも、こちらは自分ごととして受け取ってもらえます。

    責めるのではなく、想像してもらう。この違いは大きいです。


    相手が本当に迷っているのは、たいてい2つ

    書き出した理由をよく見ていくと、突き詰めると2つに集約されます。

    お金と、時間です。

    そしてこの2つは、実は「断る理由」ではなく、「決められない理由」であることが多い。本当は欲しいけれど、踏み切れない。その状態です。

    だから、こう聞きます。

    「お金のことをいったん横に置いたら、やってみたいという気持ちはありますか?」

    ここで「やりたい」と返ってくるなら、あとは払い方の話です。断られたのではありません。方法を一緒に探す場面に変わっただけです。

    女性の方だと、ここに「家族に相談しないと」が入ってくることも多いです。これも先に想定して、答えを用意しておく。準備しておけば、その場で慌てません。

    慌てないというのは、それ自体が説得力になります。


    「なぜ今なのか」を、こちらから作る

    そして、断られる一番の理由があります。

    今じゃなくてもいい、と思われていることです。

    これは相手が悪いのではなく、こちらが作れていないだけです。

    僕は講座を始める3〜4日前に、必ず個別相談の枠を入れています。前日に入れたこともあります。

    なぜそんなに直近にするのか。以前、こんなことがありました。

    整骨院を4店舗やっている社長さんに、日程を見せたときのことです。

    「直近すぎませんか。この後はないんですか」

    そう言われました。普通なら「では来月の枠を」と言いたくなる場面です。でも僕はこう答えました。

    「今は、受けていないんです」

    引き止めもしませんでした。

    翌日、申し込みが来ました。

    痛みが強い人は、「今でしょ」で動きます。逆に、いつでもいいと思われた瞬間、その話は永遠に先送りされる。

    そして、これは冷たくしているのではありません。その人が本当に困っているなら、早いほうがいいに決まっているからです。次があると伝えることのほうが、実はその人のためになっていないんですよ。


    まとめ

    • 断られる理由は3つ前後しかない。まず10個書き出して、よく出る3つを選ぶ
    • 言われる前に、こちらから出す。札が使えなくなるし、信頼が生まれる
    • 完璧すぎる話は疑われる。不安に自分から触れる人が信用される
    • 責めずに、他人のストーリーで想像してもらう
    • お金と時間は、断る理由ではなく決められない理由。確かめる一言を持つ
    • 「なぜ今なのか」を、こちらが作る。いつでもいい話は永遠に動かない

    その場で必死に答えるのをやめて、答えを先に置いておく。それだけで、商談の終わり方が変わります。

    そして、断られたとき「自分の返し方が下手だからだ」と思い込みがちですが、たいていの場合、原因はもっと手前にあります。

    あなたの案件が「どこで止まっているのか」は、無料の診断ツールで60秒でチェックできます。自分の現在地が分かると、次の一歩が見えてきます。

  • 「高いですね」と言われたときの正解

    「高いですね」と言われたときの正解

    商談の終盤。金額を伝えた瞬間の、あの空気。

    「……ちょっと高いですね」

    心臓がひやっとしますよね。

    そして、つい言ってしまう。

    「あ、では少しお勉強させていただきます」

    僕は起業して12年、500名を超える経営者の方と向き合ってきました。そのうえで、はっきり言えることがあります。

    値下げした瞬間、その商談はほぼ終わります。

    しかも厄介なのが、下げても買われないということです。


    下げると、なぜ買われなくなるのか

    考えてみてください。

    さっきまで30万円だったものが、その場で25万円になった。相手の頭に何が浮かぶか。

    「じゃあ、あの30万って何だったんだろう」

    これです。

    価格は、その商品の価値をあらわす数字です。それを自分から下げるということは、「さっき言っていた価値は、本当ではありませんでした」と自分で認めたのと同じことになる。

    だから、値引きは値引きとして受け取られません。信用の値引きとして受け取られます。

    さらに厄介なことが2つあります。

    1つは、一度下げた人は「もっと下がるかも」と思うこと。交渉が終わるのではなく、始まるんですよね。

    もう1つは、すでに定価で買ってくれた人への裏切りになること。「あの人は安く買えたらしい」が伝わった瞬間、いちばん大事にすべきお客さんを失います。

    その場の1件のために、後ろにあるもの全部を差し出している。値下げというのは、そういう取引です。


    「高い」は、たいてい値段の話ではありません

    では、どうするか。

    まず知っておいてほしいのは、「高い」という言葉の中身は、1つではないということです。

    大きく2つに分かれます。

    1つは、払えない。本当にお金がない。もう1つは、払う価値が見えていない。お金はあるが、その金額に見合うか判断できていない。

    この2つはまったく別物なのに、口から出てくる言葉は同じ「高いですね」なんです。

    そしてもう1つ。そもそも「高い」は、断り文句として一番言いやすい言葉でもあります。

    「あなたを信用していません」とは言えない。「私にできる気がしません」とも言いにくい。でも「高いですね」なら、角が立たずに言える。

    つまり、その言葉をそのまま受け取って値段をいじるのは、たいていの場合、見当違いの場所を直しているということなんです。


    下げる前に、必ず聞く一言

    だから僕は、値段の話に入る前に、必ずこれを聞きます。

    「お金のことをいったん横に置いたら、やってみたいという気持ちはありますか?」

    この一言で、さっきの2つが分かれます。

    「やりたいです」と返ってきたら、値段は問題じゃありません。そこから先は、払い方の話です。分割にする方法もあるし、これから作る売上のイメージを一緒に描いてもいい。

    このとき、相手の頭の中にあるのは、たいていお金そのものではありません。「投資して、自分にできるだろうか」という不安です。

    だから僕は、こう伝えます。

    「個別相談もありますし、徹底的に僕を使ってください。伴走しますから」

    金額の話をしているようで、実は不安の話をしている。ここを外すと、いくら値段を下げても決まりません。

    一方、「うーん」と濁されたら、そこは価値が伝わっていない場所です。値段を下げても、何も解決しません。もう一度、その人にとって何が変わるのかを話す場面です。


    「高いから買う」人は、必ずいます

    もう1つ、頭に入れておいてほしいことがあります。

    高いから買う人が、一定の割合で必ずいます。

    「高い=ちゃんとしたもの」という判断軸を持っている人たちです。この人たちにとっては、安さはむしろ不安材料になります。

    安いほうが親切だと思って値段を抑えている人ほど、この層を丸ごと取りこぼしています。

    「こんな高い金額、誰も買わないですよ」と言う人がいますが、そう思っているのは売り手だけなんですよね。

    お客さんからすれば、選択肢があるだけです。

    買うか買わないかを決めるのは相手です。こちらが先回りして「この人には無理だろう」と決めてしまうのは、実はけっこう失礼なことでもあります。


    ただし、値段だけ上げるのはダメです

    誤解してほしくないので、はっきり書いておきます。

    上げるなら、価値を必ず乗せてください。

    時間を長くする。特典を付ける。その人だけの特別な体験を入れる。何かを足したうえで、価格を上げる。

    値段だけ上げるのは、ただの値上げです。それは相手にも分かります。

    順番は、価値が先。値段は後です。

    そして、この順番を守っている人は、値下げを迫られること自体が減っていきます。価値がはっきり見えているものに対して、人はあまり値切らないからです。

    値切られるということは、価値の輪郭がぼやけているという合図でもあるんですよ。


    まとめ

    • 値下げすると、信用が下がる。「さっきの値段は何だったのか」と思われる
    • 一度下げると、交渉が始まる。そして既存のお客さんへの裏切りにもなる
    • 「高い」は、一番言いやすい断り文句。そのまま受け取らない
    • 確かめる一言を持つ。「お金を横に置いたら、やりたい気持ちはありますか」
    • 相手の本当の不安は「自分にできるか」。伴走を約束する
    • 高いから買う人は必ずいる。安くして、その層を取りこぼさない
    • 上げるなら、価値を先に乗せる

    「高いですね」は、断りの言葉ではありません。まだ伝わっていない場所を教えてくれた合図です。

    そして、断られたとき「自分の値段が高すぎるからだ」と思い込みがちですが、たいていの場合、原因はもっと手前にあります。

    あなたの案件が「どこで止まっているのか」は、無料の診断ツールで60秒でチェックできます。自分の現在地が分かると、次の一歩が見えてきます。

  • 松竹梅の真ん中が選ばれる、本当の理由

    松竹梅の真ん中が選ばれる、本当の理由

    料金を決めるとき、こんなふうに悩んでいませんか。

    「いくらにしよう」

    「高すぎたら引かれるかな」

    「安いほうが親切かな」

    その悩み、実は値段そのものより、並べ方の問題であることがほとんどです。

    僕は起業して12年、500名を超える経営者の方と向き合ってきました。値付けは、いつの時代も一番多い相談のひとつです。

    価格は、3つ並べてください。そして一番売りたいものを、真ん中に置いてください。

    これだけで、選ばれるものが変わります。


    2つしか出さないと、必ず安いほうに流れます

    まず、なぜ2つではダメなのか。

    2つ並べると、人はどうするか。比べます。

    高いほう、安いほう。この2つしかない世界で比べると、判断の軸は「どっちが得か」しかありません。そして得を取ると、たいてい安いほうが選ばれる。

    これは相手がケチだからではありません。比べる材料が2つしかないからです。

    スーパーのチラシを思い浮かべてください。3枚並べて、どこで買うのが一番いいかを無意識に見比べている。人は、そうやって「一番買いやすい場所」を探す生き物なんです。

    つまり、比べること自体は止められません。だったら、比べ方をこちらで設計してしまえばいい。


    人気は、いつも真ん中に置かれている

    レストランを思い出してください。

    コースが3つ並んでいる。一番下はハンバーグとサラダ。真ん中はそれにコーヒーが付く。一番上はミニパスタとデザートまで付く。

    さて、どれを選ぶ人が一番多いでしょうか。

    圧倒的に、真ん中です。そして一番安いものを選ぶ人は、ほとんどいません。

    理由は単純です。僕たちは「人気」「おすすめ」は真ん中に置かれるという経験を、人生の中で何百回も積んできました。だから真ん中を見ると、無意識に「これが標準なんだな」と思う。

    さらに言うと、一番安いものを選ぶのには、ちょっとした抵抗があります。「ケチだと思われないかな」という感覚です。一番高いものにも、別の抵抗がある。

    真ん中は、その両方から逃げられる場所なんですよね。だから選ばれる。

    つまり、真ん中に置いたものが、その場の基準になります。

    だったら、一番売りたいものを真ん中に置く。これが答えです。


    差は、2割以上つけてください

    3つ並べるときに、もう1つ大事なルールがあります。

    価格の差を、2割以上つける。

    差が小さすぎると、人は高い安いを感じません。10万円と11万円が並んでいても、ほぼ同じものに見える。せっかく3つ作っても、選ぶ基準が生まれないんです。

    2割以上ずらして、はじめて「こっちは上のやつだな」「こっちは入口だな」と伝わります。

    3つの間隔が近すぎるメニュー表は、意外と多いです。値段を書き出したら、一度この目で見直してみてください。


    一番高いものを、外さないでください

    ここが、多くの人がつまずくところです。

    「こんな高い金額、誰も買わないですよ」

    そう言って、一番上を消してしまう。

    でも、はっきり言います。

    そう思っているのは、売り手のあなただけです。

    「高い=良いもの」と考える人は、必ず一定の割合でいます。その人たちは、選択肢さえあれば迷わず一番上を選びます。

    あなたが勝手に外してしまったせいで、その人は買えなくなっているだけなんです。

    僕が実際に見てきたのは、こういう形です。10万円のセミナーの一番上のコースに、「講師と30分、一緒に相談できる」「終わったら講師と一緒に食事に行ける」を付ける。

    これが、埋まるんですよ。

    高い版が売れるかどうかは、値段ではなくそこに何が乗っているかで決まります。時間、特典、その人だけの体験。この3つのどれかを乗せると、一番上は動きます。


    その場で、単価は勝手に上がっていく

    もう1つ、置いておくだけで効く理由があります。

    セミナーや体験会のように、その場で申し込みが決まる場を思い出してください。

    誰か一人が「一番上でお願いします」と言った瞬間、どうなるか。

    周りが、引っ張られます。

    ランチの注文と同じです。誰かが「じゃあ僕はAランチ」と言うと、「あ、私も」となる。人は、その場にいる人の選択に驚くほど影響されます。

    だから一番高いものは、買われなくても仕事をしています。真ん中を選びやすくする基準として働き、その場の空気の上限を上げてくれる。

    外した瞬間に、この2つを両方とも捨てることになります。


    一番安いものを買った人も、まだ終わりではありません

    最後に、意外と知られていない使い方を。

    3つのうち一番安いものを選んだ人がいたとします。

    多くの人は、そこで終わりにします。でも本当は、そこからもう一手あります。

    個別相談などで話を聞いていくと、その人の悩みがはっきり見えてくる。そのとき、上のコースのほうが明らかに合っている、という場面が出てきます。

    そこで、こう伝えます。

    「今なら、変えることもできますよ」

    これだけです。押しません。ただ、選べることを伝えるだけ。

    選択肢を最初に出していなければ、この会話は永遠に生まれません。3つ用意しておくというのは、あとから伝えるための下ごしらえでもあるんです。

    ただし1つだけ条件があります。値段だけ上げてはいけません。上げるなら、それ以上の価値を必ず乗せる。そこがないと、ただの高い商品になります。


    まとめ

    • 価格は3つ並べる。2つだと必ず安いほうに流れる
    • 一番売りたいものを真ん中に置く。人は真ん中を基準だと思う
    • 差は2割以上つける。近すぎると高い安いを感じない
    • 一番高いものを外さない。買う人は必ずいるし、買われなくても基準として働く
    • 高い版には、時間・特典・特別な体験のどれかを乗せる
    • 一番安いのを買った人にも、「今なら変えられます」がある
    • 値段だけ上げない。価値を乗せてはじめて成立する

    値段に迷ったら、金額を悩む前に、まず並べ方を見直してみてください。

    そして、選ばれないとき「自分の商品に価値がないからだ」と思い込みがちですが、たいていの場合、原因はもっと手前にあります。

    あなたの案件が「どこで止まっているのか」は、無料の診断ツールで60秒でチェックできます。自分の現在地が分かると、次の一歩が見えてきます。

  • 個別相談で「考えます」と言われ続ける人がやっていること

    個別相談で「考えます」と言われ続ける人がやっていること

    セミナーには来てくれた。個別相談にも申し込んでくれた。

    話も、めちゃくちゃ盛り上がった。

    なのに最後、「ちょっと考えます」。

    そして、連絡は来ない。

    これ、しんどいですよね。入口までは全部うまくいっているのに、最後の一歩だけが越えられない。しかも相手の反応が悪かったわけじゃないから、どこを直せばいいのかも分からない。

    僕は起業して12年、500名を超える経営者の方と向き合ってきました。そのうえで、はっきり言えることがあります。

    「考えます」で終わるのは、提案の中身が悪いからではありません。

    原因は、そのもっと前。60分の使い方です。


    そもそも、個別相談はダラダラやったら終わりです

    まず大前提を1つだけ。

    個別相談は、60分で決めるものです。

    「今日は顔合わせだから」「まずは仲良くなってから」。優しい人ほど、こう考えます。僕も、ずっとそうでした。

    そして帰り道で、毎回思うんです。

    (今日、何しに行ったんだろう)

    でも、相手は忙しいんです。次に会える保証はどこにもない。今日の60分が最初で最後だと思って設計する。ここが全部の土台になります。

    そのうえで、決まらない人がやっていることを4つ挙げます。


    やっていること①:聞いているだけになっている

    一番多いのがこれです。

    相手がベラベラ話す。こちらは「うんうん」とうなずく。60分があっという間に過ぎて、「今日は話せてスッキリしました!」と満足して帰っていく。

    ……で、終わり。

    厳しいことを言いますが、聞いているだけでは、受注になりません。

    そしてもう1つ。相手がベラベラ話しているということは、こちらが質問をしていないということです。

    質問がないから、相手は自分の好きなところを好きなだけ話す。話は広がるけど、深くはならない。だから「で、結局どうすればいいんだろう」のまま帰ることになります。

    聞き上手は美徳です。でも個別相談では、こちらが質問で導く。ここを引き受けないと、相手は迷子のままです。


    やっていること②:いきなり「お悩みは何ですか」から入っている

    これも、めちゃくちゃ惜しいパターンです。

    席についてすぐ「今日はどんなことでお悩みですか?」。一見、正しそうに見えます。

    でも、相手からするとちょっと唐突なんですよね。心の準備ができていないところに、いきなり一番深いところを聞かれる。だから当たり障りのない答えしか出てきません。

    ここで挟むべき言葉が1つあります。

    「今日は、お悩みを具体的にしていく時間にしたいと思うんですが、よろしいですか?」

    たったこれだけです。

    相手が「はい」と言った瞬間、この60分の使い方に合意が取れます。あとは気持ちよく話してもらえる。

    そして、ここが大事なんですが、これは同時にこちらが場をコントロールしているということでもあります。相手を縛るためじゃない。相手を迷子にさせないためです。


    やっていること③:相手の言葉を、自分の言葉に置き換えて返している

    これは、気づいていない人が本当に多いです。

    相手が「売上が低迷していて」と言ったとします。それに対して、

    「なるほど、売上が下がっているんですね」

    ……はい、アウトです。

    え、同じ意味じゃないの?と思いますよね。違うんです。

    「低迷」と「下がっている」は、その人の中では別の言葉なんです。

    相手が選んだ言葉には、その人の感覚が乗っています。それを自分の解釈で言い換えて返すと、「いや、そうじゃないんだけどな」という違和感が残る。

    そして怖いのが、この違和感は、口には出ません。顔に出ます。

    だから、返すときは同じ言葉で返す。

    「売上が、低迷しているんですね」

    これだけで、「この人はちゃんと聞いてくれている」が伝わります。逆にここを外すと、どれだけいい提案をしても最後まで距離が縮まりません。


    やっていること④:悩みだけ聞いて、未来を聞いていない

    そしてこれが、最大の原因かもしれません。

    多くの人が、悩みを掘って掘って掘りまくって、「なるほど、大変ですね」で終わります。

    でも、考えてみてください。

    悩みの話をしている間、相手はずっと苦しいんです。

    苦しい話を60分されて、最後に「で、どうしますか?」と言われる。そりゃ「考えます」になりますよね。

    ここで必要なのが、未来の話です。

    「これが全部解決できたとして、3年後、どうなっていたら幸せですか?」

    このとき、コツが1つあります。「理想でいいので、いくらでもOKです」と先に言ってあげる。そうしないと、人はすぐ現実的に考えようとしてブレーキを踏みます。

    僕がこれをやると、面白いことが起きます。

    「いや、未来とか特にないんですよね」と言っていた人が、質問していくとバンバン出てくるんです。カフェをやりたい、両親を呼びたい、家族で旅行に行きたい、アメリカのルート66を走りたい。

    そして本人が一番びっくりする。「自分、こんなこと思ってたんだ」って。

    このとき、顔つきが変わります。悩みを話しているときと、未来を話しているとき。同じ人とは思えないくらい変わる。

    そこでこう聞きます。

    「どっちが、気持ちいいですか?」

    答えは決まってますよね。


    「やめましょう」と言えるかどうか

    最後に、実話を1つ。

    全部説明して、未来も見えて、それでも「うーん、どうしよう」と迷い続ける人がいます。

    昔の僕は、ここで頑張って説得しようとしていました。もう一押し、もう一押しって。

    ……で、だいたい嫌われます。

    相手の顔が、スッと引いていくんですよ。(あ、今やらかした)って、こっちにも分かるんです。

    今は、こう言います。声のトーンを、一気に落として。

    「やめましょう。きっと、うまくいかないです。」

    「ここで決断できないと、この先いろんな壁を越えられません。時間もお金も、もったいないですから」

    本気で引きます。演技じゃありません。

    すると、どうなるか。だいたい「ちょっと待ってください」と言われます。

    これはテクニックの話じゃないんです。迷い続ける人を無理に連れていっても、その人は結果を出せない。だったら、お互いのために引いたほうがいい。本気でそう思っているから、伝わるんだと思います。

    逆に、こんなこともありました。「貯金の最後のお金なんです」と言われたとき。

    僕は「いいですよ。このお金が増えることを想像して、一緒に頑張りましょう」と答えました。

    その方、3ヶ月後に600万円を作りました。

    正直に言うと、まじかよ、と思いました。

    頑張ったのはその人です。僕は「いける、いける」と横で言い続けただけ。でも、その一言があるかないかで、人は変わります。


    まとめ

    個別相談で「考えます」と言われ続けているなら、直すのは提案の中身ではありません。

    • 聞くだけをやめる。こちらが質問で導く
    • 最初に「よろしいですか?」で合意を取る。それだけで60分の質が変わる
    • 相手の言葉を、そのまま返す。言い換えた瞬間に違和感が残る
    • 悩みで終わらせない。未来を聞くと、顔つきが変わる
    • 迷い続ける人には、引く勇気を持つ

    どれも、難しいことは何もやっていません。順番を変えるだけです。

    そして、うまくいかないときほど「自分のトークが下手だから」と思い込みがちですが、たいていの場合、原因はもっと手前にあります。

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