言い訳は、3つの材料で作られています

やる気が、出ない日がある。

やることは分かっている。やらなきゃいけないのも分かっている。

なのに、体が動かない。

そして夜になって、こう思う。

「今日の自分は、ダメだったな」

僕は起業して12年、500名を超える経営者の方と向き合ってきました。この夜を過ごしている人は、本当に多いです。

そして、こう伝えています。

責めるのを、やめませんか。代わりに、言い訳を作りましょう。


人間は、一本調子ではありません

まず、大前提から。

毎日同じ調子でいられる人は、いません。

上がる日があって、下がる日がある。それが普通です。機械じゃないんですから。

ところが、経営者や個人でやっている人ほど、ここを許しません。

理由は分かります。誰も管理してくれないからです。会社員なら上司や締め切りが動かしてくれますが、一人でやっていると、動く理由を全部自分で作らないといけない。

だから「気合いが足りない」「甘えだ」と、自分を叩く方向に行きます。

でも、これは効きません。

責めると、さらに下がります。下がるとまた責める。この輪から抜けられなくなる。


モチベーションを上げようとしなくていい

こういう話をすると、必ずこう言われます。

「言い訳したら、そこで終わりじゃないですか」

分かります。モチベーションの高い人ほど、「言い訳をするな」と言います。そして、それも正しいんです。上がっているときは。

でも、下がっているときに正論をぶつけても、動きません。

必要なのは、上げることではなく、これ以上下げないことです。

そのために一番簡単なのが、言い訳を1つ持っておくことなんですよ。


ただし、条件が3つあります

何でもいいわけではありません。3つ守ってください。

1. 人を傷つけない

「あの人が悪い」「頼まれた仕事のせいだ」

これはダメです。人のせいにした言い訳は、結果的に自分も一緒に傷つけます。

誰かを責める言葉を出すと、その空気は自分の中に残ります。そして気分がもっと下がる。

2. 自分も傷つけない

「どうせ自分はこういう人間だから」

「昔からそうだった」

これもダメです。一番よくある形で、一番よくない形です。

言い訳のつもりが、自分に対する評価になってしまっています。これを繰り返すと、本当にそういう人になります。

3. 次も使えるものにする

意外に大事なのが、これです。

その場限りの言い訳だと、次に落ちたときにまたゼロから探すことになります。探しているうちに、また責める方向へ行く。

覚えやすくて、いつでも取り出せるものにしておいてください。


僕の言い訳は「天気」です

具体例がないと分かりにくいので、自分のものを出します。

僕の言い訳は、これです。

「今日は、天気が悪いから」

……それだけです。

でも、条件は全部クリアしています。

  • 天気は傷つきません
  • 自分も傷つきません
  • 次も使えます(天気は毎日ありますから)

そして、これを口に出すと、本当に気が楽になるんですよ。

不思議なもので、「今日は天気が悪いからだな」と言った瞬間、責める材料が消えます。消えると、少しだけ動けるようになる。

明日は晴れるかもしれないし、晴れなくてもまた同じことを言えばいい。

言い訳は、自分で自分をフォローするための道具です。逃げるための道具ではありません。ここが分かると、罪悪感なく使えるようになります。


「言い訳をしない人」ほど、危ないです

念のため、逆側の話もしておきます。

言い訳を一切しない人がいます。どんな日でも自分を律して、決めたことをやり切る。立派です。

ただ、こういう方ほど急に折れます。

理由は簡単で、逃げ道を一つも作っていないからです。

ずっと張りつめた糸は、いつか切れます。しかも切れるときは、少しずつではなく一気にいきます。長く走ってきた人ほど、その落ち方が深い。

「まあ、今日はいいか」と言える日を持っている人のほうが、結果的に長く続きます。

これは緩めろという話ではありません。緩める場所を、自分で決めておくという話です。

決めておかないと、緩むときに罪悪感がセットで来ます。罪悪感つきの休みは、休みになりません。

溜め込むのが、一番よくないです

もう1つだけ。

こういう気分になったとき、一人で抱えないでください。

一人でやっていると、しんどいことを話す相手がいなくなります。従業員に弱音は吐けない。家族には心配をかけたくない。同業には見栄がある。

そうやって、全部自分の中に溜まっていく。

誰かに話すだけで、半分くらいは軽くなります。

解決してもらう必要はありません。アドバイスもいりません。ただ「そういう時期ってありますよね」と言ってもらうだけで、人はけっこう戻れます。

僕がコーチングで一番よくやっているのも、実はそれです。特別なことは何もしていません。ただ、話す場所があるだけで、人は自分で立ち上がります。


まとめ

  • 人間は一本調子ではない。下がる日があるのが普通
  • 責めると、さらに下がる。その輪から抜けられなくなる
  • 上げようとしなくていい。これ以上下げないことが先
  • 言い訳を1つ持つ。ただし条件が3つ
  • 人を傷つけない/自分も傷つけない/次も使える
  • 溜め込まない。話すだけで半分は軽くなる

動けない日は、その日をどう終わらせるかのほうが大事です。

責めて終わった日と、「まあ今日は天気が悪かったし」で終わった日。次の朝が、まるで違います。

そして、動けないとき「自分の意志が弱いからだ」と思い込みがちですが、たいていの場合、原因はもっと手前にあります。うまくいっていないことが一つあると、他のことまで動かなくなるものです。

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