買う直前、人の財布はこう緩みます

執筆者:

カテゴリ:

単価を上げたい。

でも、追加で何かを勧めるのは気が引ける。押し売りだと思われたくない。

その結果、いつも最低限だけ売って終わる。

僕は起業して12年、500名を超える経営者の方と向き合ってきました。この遠慮、まじめな人ほど強く持っています。

でも、1つだけ知っておいてほしいことがあります。

同じ提案でも、いつ言うかで、受け取られ方がまったく変わります。

そして一番受け取ってもらえるのは、相手が「買う」と決めた直後です。


決めた瞬間と、決める前は、別世界です

車の営業を思い浮かべてください。

250万円の車を見に来たお客さんに、営業マンがこう言います。

「こちらのほうが燃費もよくて、乗り心地も違いますよ」

差額は、20万か30万。

すると、けっこうな確率で「じゃあ、そっちにします」となります。250万を出すと決めた人にとって、20万は”そのくらいなら”の範囲になるからです。

そして、買うと決まった直後にこう続きます。

「ナビ、つけておきますね」

「マットと保証も、つけておきますね」

ここで大事なのは、言い方です。

「つけますか?」ではありません。「つけておきますね」です。

もう買うと決まっている前提で話す。これが、あの数分間で単価が上がっていく仕組みです。


なぜ、嫌がられないのか

不思議に思いませんか。同じことをしているのに、なぜ押し売りにならないのか。

理由は、相手の頭の状態が違うからです。

買わないと決めた人に同じことをすると、ものすごく嫌われます。しつこい、と思われる。

でも買うと決めた直後の人にとっては、こう見えます。

「この人、一生懸命やってくれているな」

同じ言葉が、真逆に受け取られる。中身ではなく、タイミングの問題なんですよね。

だから僕は、決まる前に足さないと決めています。

「これも付けられます」「こういうオプションもあります」を決断の前に出すと、相手は迷います。迷いは、そのまま先送りになります。

まず1つ、決めてもらう。足すのは、そのあと。


「8割の人は、こちらを選んでいます」

もう1つ、単価に効く伝え方があります。

前提を、先に置いておくという方法です。

たとえば、こう言います。

「これから独立される方の8割は、だいたいこちらのコースを学ばれています」

これを聞いた相手の頭の中では、何が起きるか。

そこが基準になります。

人の脳は、先に示された数字や前提を軸にして考えます。「8割がこっち」と聞いた瞬間、こちらが標準になり、下のコースが「削った版」に見えるようになる。

僕が主催している講座でも、これは毎回起きます。3つのコースを用意していて、9割の方が一番高いものを選びます。

理由ははっきりしています。前提を置いているからです。

「今後の集客で、動画があるかないかで全然違うのは、もうご存じですよね」

こう言ってから、実際の映像を見せる。そして「動画だけを外注すると制作費が100万を超えます」と伝える。

すると、こうなります。

「どうせやるなら、絶対こっちだよね」

値段の話をしているようで、していないんです。していたのは、判断の基準を渡す話でした。

ただし、最後は必ずこう言います。

「必要ないと思われる方は、3つから自由に選んでいただいて結構です」

委ねる。ここを外すと、押しつけになります。


買った人に貼る、一枚のラベル

もう1つだけ、お金のかからない方法を紹介します。

セミナーのあと、個別相談に申し込んでくれた方に、僕はすぐメールを送ります。

そのとき、こう書きます。

「◯◯さんのように、こんなに真剣にメモをとってくださる方って、実はすごく少ないんですよ。その姿勢、僕も今日、学ばせていただきました」

これだけです。

すると、返ってくる返事が変わります。

「行ってよかったです」「個別相談、楽しみにしています」

人は、貼られたラベルの通りに動きます。「真剣な人」と言われた人は、次の場でも真剣に来てくれる。

年賀状と同じです。印刷だけのものと、手書きで一言入っているもの。届いたときの気持ち、まったく違いますよね。

マニュアル通りのお礼メールを送っても、何も起きません。その人にしか当てはまらない一言を、1行入れる。それだけです。


ただし、これは価値がある場合だけです

ここまで書いておいて、大事なことを言います。

足すものに、本当に価値がないとダメです。

いらないものを「つけておきますね」で売ったら、それはただの押し売りです。そして必ず、後で返ってきます。返品か、悪い評判か、二度と来ないという形で。

僕が上のコースを勧めるのは、そちらのほうが早く結果が出ると本気で思っているからです。思っていないものは、勧めません。

タイミングの話は、あくまで良いものを、受け取ってもらいやすい形で渡すための工夫です。悪いものを通すための道具ではありません。

ここを間違えると、短期的には売れて、長期的に全部失います。


まとめ

  • 提案するのは、相手が「買う」と決めた直後
  • 「つけますか?」でなく「つけておきますね」
  • 決まる前に足さない。迷いが生まれて、先送りになる
  • 前提を先に置く。「8割の方はこちらです」で基準が動く
  • 最後は必ず委ねる。「自由に選んでください」がないと押しつけになる
  • その人だけに当てはまる一言を、1行入れる。人はラベル通りに動く
  • 足すものに価値がなければ、全部台無しになる

単価を上げるのは、押すことではありません。順番を変えるだけです。

そして、単価が上がらないとき「自分の商品が安く見えるからだ」と思い込みがちですが、たいていの場合、原因はもっと手前にあります。

あなたの案件が「どこで止まっているのか」は、無料の診断ツールで60秒でチェックできます。自分の現在地が分かると、次の一歩が見えてきます。