セミナーの台本を作るとき、こんなふうになっていませんか。
伝えたいことを、思いつくまま並べる。
途中で商品の話も入れる。最後に「よかったらどうぞ」と付け足す。
話し終えて、なんとなく手応えはある。でも誰も申し込まない。
僕は起業して12年、500名を超える経営者の方と向き合ってきました。この形の人は、本当に多いです。
話す中身は悪くありません。順番が混ざっているだけです。
セミナーは、3つに分けてください。そして絶対に混ぜないでください。
第1部:ノウハウ。ただし、やり方は教えない
最初のパートは、価値を教えるところです。
「こういうことがあると、まずいですよね」
「ここがポイントなんです」
こう伝えて、相手に気づいてもらう。
ここで大事なのが、やり方そのものは教えないということです。
前に書いたことがありますが、僕はデビュー戦で全部教えてしまって、17人中17人が大満足なのに成約ゼロという結果を出しました。理由は簡単で、全部渡すと「自分でできる」になるからです。
だから1部でやるのは、「できていない」に気づいてもらうことまで。
もう1つ、ここで絶対にやってはいけないことがあります。
1部に商品の話を混ぜないこと。
混ぜた瞬間、相手は「あ、最初から売り込まれていたのか」と感じます。それまでの話が全部、営業トークに聞こえるようになる。
分けるだけで、この事故は防げます。
第2部:商品。ただし、説明はしない
2つめのパートで、はじめて自分のサービスの話をします。
ここで多くの人がやるのが、商品説明です。
こういう内容で、何回あって、こういうサポートが付いていて。
……買いませんよね。
お米の説明をされて、お米を買った経験、ありますか。
品種がこうで、産地がこうで、粒の大きさがこうで。聞いたところで、買う理由にはなりません。
2部で伝えるのは、その人がどうなるかです。
- 自分にもできそうだ、と思ってもらう(難しそうだと思われた時点で終わります)
- 一人じゃない、と伝える(伴走する人がいる安心感)
- 説明でなく、物語で伝える
ここに、実際にいた人の話を入れます。同じところで悩んでいた人が、どう変わったか。人は説明では動きませんが、他人の物語には自分を重ねます。
第3部:クロージング。3つのなぜで締める
最後のパートで確かめてもらうのは、3つだけです。
- なぜ、これが必要なのか
- なぜ、あなたから買うのか
- なぜ、今なのか
1つずつ、少しだけ補足します。
1つめは、動機です。パソコンって、壊れそうにならないと買い替えませんよね。人は、必要だと感じるまで動きません。だからここを、ストーリーで伝えます。
2つめは、判断の基準を渡すことです。ここで僕がよく使う言い方があります。
「うちを、選ばなくてもいいですよ」
本気で言います。そのうえで、こう続ける。
「ただ、こういうことをやってくれるところを選んでください」
ライバルを悪く言う必要はありません。選ぶ基準を渡すと、結果として自分が選ばれます。
3つめは、今である理由です。ここが一番、抜けます。
「また今度」と言った人が、1年後に来ました
3つめの大切さを、僕は痛い形で知りました。
ある方に「これはやっておいたほうがいいですよ」と伝えたことがあります。
その方は「ありがとうございます、また今度」と言って帰っていきました。
1年後、その方が来ました。
800万円の借金を背負って、です。
そして、こう言われました。
「あのとき、早くやればよかった」
正直に言うと、まじかよ、と思いました。そして同時に、自分を責めました。僕が「今です」と言い切らなかったからだ、と。
伝えなかったのは、遠慮です。押しつけたくなかった。でもその遠慮の代償を払ったのは、僕じゃなくてその人でした。
それ以来、僕は死ぬ気で「今である理由」を伝えるようになりました。
全員に全力を出すと、肝心なところで力が残りません
もう1つ、構成と同じくらい大事なことがあります。
誰に、どれだけの力を出すかです。
昔の僕は、目の前の人全員に300%で接していました。それが誠実さだと思っていたからです。
でも、師匠にこう言われました。
「フロントで300%出したら、バックエンドがダウンするぞ」
意味が分かるまで、少し時間がかかりました。
無料の場で全部出し切ってしまうと、お金と時間を払ってくれた人に渡すものが残らないんです。
今は、こう分けています。
- 無料のセミナー:70%
- 本気で申し込んでくれた人:300%
冷たいと思われるかもしれません。でも逆です。一番大事にすべき人を、一番大事にするというだけの話なんですよ。
まとめ
- セミナーは3部に分ける。1部と2部を混ぜると、全部が売り込みに聞こえる
- 1部はノウハウ。ただしやり方は教えない。気づいてもらうところまで
- 2部は商品。ただし説明はしない。その人がどうなるかを、物語で
- 3部はクロージング。なぜ必要・なぜあなた・なぜ今
- 「うちを選ばなくてもいい」と言う。判断基準を渡すと、選ばれる
- 今である理由を、遠慮せずに伝える
- 無料の場で全力を出さない。払ってくれた人に300%を残す
順番を分けるだけです。話す中身は、今のままでかまいません。
そして、申し込まれないとき「自分の話がつまらないからだ」と思い込みがちですが、たいていの場合、原因はもっと手前にあります。
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