昔、つらい時期があった。
でも、仕事とは関係ない。
だから、話さない。
僕は起業して12年、500名を超える経営者の方と向き合ってきました。この判断は、もったいないです。
その経験が、いちばん人に届きます。
僕自身の話をします
正直に書きます。
僕は若いころ、音楽をやっていました。バンドで本気でやっていて、毎回100人くらいは呼べていました。
でも、交通事故に遭いました。
そこから、3年間、寝たきりです。
バンドは、解散しました。
原因が、分かりませんでした
つらかったのは、寝たきりだったこと自体ではありません。
原因が分からなかったことです。
病院を、20か所以上回りました。
どこに行っても、はっきりしたことが分かりません。
そして、そのうちパニック障害になりました。
(このまま、一生こうなのか)
……その時期のことは、今でもよく覚えています。
「自分で治す」と決めました
あるとき、決めました。
自分で治すしかない。
そこから、心の仕組みと脳の仕組みを、独学で調べ始めました。
医学の勉強ではありません。自分の状態を、自分で理解するためです。
そして、約6か月で回復しました。
このとき学んだことが、今の仕事の土台になっています。
隠していたら、何も残りませんでした
ここが、いちばん伝えたいところです。
もし僕が、この時期を「仕事とは関係ない話」として隠していたら、どうなっていたか。
今の仕事は、存在していません。
なぜなら、僕がやっている仕事の中身は、あのとき自分を立て直すために学んだことそのものだからです。
つらい経験は、後から意味を持ちます。
そして、意味を持たせるかどうかは、自分で決められます。
なぜ、つらい経験が届くのか
理由は、2つあります。
1つめ。同じ場所にいる人が、必ずいます。
あなたが抜けてきた場所に、今いる人がいます。
その人にとって、あなたは先に抜けた人です。これは、どんな資格よりも強い。
2つめ。うまくいっている話には、誰も自分を重ねられません。
成功談を聞いて動く人は、ほとんどいません。
「すごいですね」で終わります。
でも、うまくいっていなかったころの話には、人は自分を重ねます。
そして、こう思います。
「この人が抜けられたなら、自分もいけるかもしれない」
全部を話す必要は、ありません
ここで、大事な線引きをしておきます。
すべてを話す必要はありません。
思い出したくないことは、話さなくていい。
そして、まだ生々しい傷は、話さないほうがいいです。
理由は、聞いた人が心配してしまうからです。
話すのは、自分の中で決着がついたものだけにしてください。
決着がついた話は、聞いた人の力になります。決着がついていない話は、聞いた人の負担になります。
この違いは、はっきりしています。
悲惨さを、競わないでください
もう1つ、注意点があります。
つらい話が効くと分かると、盛りたくなります。
これは、やめてください。
そして、複数の不幸を重ねすぎないことも大事です。
病気も、借金も、離婚も、全部を一度に並べると、読んだ人はこう思います。
「大変だったんですね」
そこで終わってしまいます。
大事なのは、つらさの量ではありません。
そこから、どう抜けたかです。
抜け方が書いてあれば、1つの経験で十分です。
抜けたあとの一言を、必ず入れてください
最後に、書き方を1つ渡します。
つらい経験を書くとき、必ず最後に、そこで得たものを1行入れてください。
僕の場合なら、こうです。
「お金がなくて眠れない人の気持ちが、初めて分かりました」
「自分を1ミリだけ超える、という考え方を覚えました」
この1行があるかないかで、まったく違うものになります。
ない場合:ただの苦労話ある場合:読んだ人が持ち帰れるもの
そして、その1行は、たいていあなたの仕事の中身とつながっています。
つながっているから、あなたがその仕事をしている理由になります。
話すタイミングを、間違えないでください
もう1つ、実務的なことを書きます。
つらい経験は、最初の10分で話すものではありません。
初対面でいきなり重い話をされると、相手は身構えます。
だから、順番はこうです。
相手の話を聞く → 相手が自分の状況を話す → そのとき、初めて自分の経験を出す
そして、出し方も大事です。
「実は僕も、似たようなことがありまして」
この入り方だと、押しつけになりません。
相手の話に対する応答として出しているので、自然に受け取ってもらえます。
いきなり自分から語り始めると、自分語りになります。
同じ話でも、出す位置で意味が変わります。
書く場所も、選んでください
そして、文章にする場合も同じです。
自己紹介の冒頭にいきなり重い話を置くと、読む人が構えます。
先に、読む人の状況に触れてください。
「今、こういうことで悩んでいませんか」
そのあとで、自分の経験を出す。
相手が先、自分は後。この順番は、話すときも書くときも変わりません。
まとめ
- 仕事と関係ないと思っている経験が、いちばん届く
- つらい経験は、後から意味を持つ。意味づけは自分で決められる
- あなたが抜けてきた場所に、今いる人がいる
- 成功談には、誰も自分を重ねられない
- 全部を話す必要はない。決着がついたものだけ
- 決着のついていない話は、聞いた人の負担になる
- 悲惨さを競わない。大事なのは、どう抜けたか
- 最後に「そこで得たもの」を1行入れる
自分の中で、もう決着がついているつらい経験を1つ思い出してみてください。
そして、伝わらないとき「自分には語れるものがない」と思い込みがちですが、たいていの場合、原因はもっと手前にあります。
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