主人公は、あなたではなくお客様です

ストーリーを書きましょう、と言われる。

でも、書けない。

自分には、人に語れるような経験がないから。

僕は起業して12年、500名を超える経営者の方と向き合ってきました。この悩みには、はっきりした原因があります。

主人公を、取り違えています。


作るのは、自分の物語ではありません

まず、ここを直します。

作るのは、お客様の物語です。

自分の物語ではありません。

なぜなら、共感というのは、読んだ人が自分を重ねられたときにしか生まれないからです。

自分の武勇伝を並べても、読んだ人は重ねられません。

すごいですね、で終わります。

そして、すごいと思われることと、頼まれることは、まったく別です。


あなたは、導く側です

物語には、必ず2人います。

主人公と、導く人。

そして、あなたは導く側です。

有名な映画を思い出してください。主人公は、たいてい何も持っていない普通の人です。そして、そこに導く人が現れます。

あなたの役は、その導く人です。

だから、自分がすごい必要はありません。

主人公は、あなたのお客様です。


面白い話は、必ずダメな日常から始まります

ここから、骨格の話をします。

面白い物語には、共通の形があります。

そして、必ず「うまくいっていない日常」から始まります。

最初から強い主人公の話は、面白くありません。

だから、お客様の物語もここから始めます。

その人が、まだ何も気づいていなかったころ。

もやもやしながら、毎日を過ごしていた時期。

ここを、できるだけ具体的に書きます。


骨格は、こうです

流れを、簡単にまとめます。

① うまくいっていない日常まだ、これが問題だと気づいていない

② 問題が起きる「このままだとまずい」

③ でも、動けない「本当に自分にできるのか」という葛藤

④ 導く人と出会う「この人みたいになりたい」

⑤ 動き出す

⑥ 試練と、仲間

⑦ 大きな山に向かう準備

⑧ いちばんの試練

⑨ 何かを手に入れる

⑩ 元の場所に戻る。でも、前とは違う自分で

これが、骨格です。


③が、いちばん大事です

この中で、多くの人が飛ばすのが③の葛藤です。

②から④に、すぐ飛んでしまう。

でも、読む人がいちばん自分を重ねるのは、③なんですよ。

なぜなら、読んでいる人の多くが、今まさに③にいるからです。

  • 変わりたい気持ちはある
  • でも、動けない
  • 本当に自分にできるのか分からない

ここを丁寧に書けている物語は、刺さります。

飛ばしてしまうと、すごい人の成功談になってしまいます。


一行ずつ、シーンと心の声で書いてください

書き方のコツを1つ。

各段階を、説明で書かないでください。

シーンと、心の声で書きます。

  • ✗ 説明:当時、彼女は事業がうまくいかず悩んでいた
  • ○ シーン:夜11時、まだ電気のついた事務所で、彼女は今月の請求書を3回数え直していた

そして、そこに心の声を1つ足します。

(今月も、足りない)

この2つがあると、読んだ人の頭に映像が浮かびます。

映像が浮かんだものだけが、記憶に残ります。


相手が今どこにいるかを、見てください

もう1つ、実務で効く使い方があります。

この骨格は、相手の位置を測る道具にもなります。

目の前の人が、今どの段階にいるか。

  • ①にいる人は、まだ困っていません。ここで売り込むと、嫌われます。「うまくいかないときは思い出してください」と種を置くだけにします。
  • ②③にいる人が、いちばん刺さります。「今、こうじゃないですか」と言い当てると、こう思われます。

「なんで、そんなによく知ってるんだろう」

そして、そこから深い話が始まります。

段階が違えば、届く言葉が違う。これを知っているだけで、無駄な売り込みが減ります。


最後まで、伴走してください

最後に、いちばん大事なことを書きます。

物語には⑩があります。手に入れて、帰ってくる。

でも、そこで終わりではありません。

導く人は、その先まで伴走します。

「頑張ってくださいね」で終わる人は、覚えられません。

問題が解決したあと、「もっとこうなりたい」まで一緒に見る。

ここまでやると、こう言われます。

「なんで、そこまでやってくれるんですか」

僕は、逆に聞きたいんです。

「なんで、やってあげないんですか」

一線をどこに引くか。そこが、いちばん差になります。


骨格を、全部使わなくていいんです

10個の段階を見て、身構えた方もいると思います。

全部書く必要は、ありません。

短い自己紹介なら、①②③④だけで足ります。

  • うまくいっていない日常
  • 問題が起きる
  • でも、動けない
  • 導く人と出会う

この4つで、1分の自己紹介が作れます。

大事なのは、順番を守ることです。

多くの人は、④から始めてしまいます。「私はこういうサービスをしています」から入る。

でも、①がないと、④の意味が伝わりません。

何から救われたのかが分からないと、何をしている人かも分かりません。

だから、必ず①から始めてください。

長さは、あとから調整できます。


まとめ

  • 作るのは、自分の物語ではなくお客様の物語
  • 主人公はお客様。あなたは導く人
  • 面白い話は、必ずうまくいっていない日常から始まる
  • 飛ばしてはいけないのは、③の葛藤
  • 読んでいる人の多くが、今まさに③にいる
  • 説明ではなく、シーンと心の声で書く
  • 相手が今どの段階にいるかを、先に見る
  • 問題解決の先まで伴走する

過去のお客さんを一人選んで、その人の①を1行だけ書いてみてください。

そして、書けないとき「自分には語れる経験がない」と思い込みがちですが、たいていの場合、原因はもっと手前にあります。

あなたの案件が「どこで止まっているのか」は、無料の診断ツールで60秒でチェックできます。止まっている場所が分かれば、次の一歩も見えてきます。