感じさせてから、納得させてください

正しいことを、丁寧に説明している。

根拠も出した。データも見せた。

なのに、相手の顔が動かない。

僕は起業して12年、500名を超える経営者の方と向き合ってきました。この原因は、内容ではありません。

順番が、逆です。


理屈から入ると、眠くなります

まず、事実を1つ。

理屈だけの話は、眠くなります。

これは、相手の集中力の問題ではありません。

頭で処理する情報は、感情を動かしません。動かないので、疲れます。疲れると、聞くのをやめます。

そして、専門性が高い人ほど、この形になります。

  • 制度の説明から入る
  • 仕組みの説明から入る
  • 数字の説明から入る

全部、正しいんです。ただ、順番が違います。


逆も、また効きません

念のため、反対側も書いておきます。

感情だけでも、売れません。

  • 気持ちの話ばかり
  • 「大丈夫、うまくいきます」だけ
  • 根拠がまったくない

これは、その場は盛り上がります。

でも、家に帰って冷めます。そして、申し込みません。

なぜなら、人は最後に理屈で自分を納得させるからです。

だから、片方だけでは足りません。


正しい順番は、これです

僕がお伝えしている順番は、4つです。

① 物語で、感情を動かす② 情景を想像させる③ 理屈で、納得させる④ 人で、選ばれる

この順番でしか、人は動きません。

そして、多くの人は③から始めています。


① まず、物語です

最初にやることは、物語です。

自分の商品にまつわる話でも、お客さんの話でもいい。

大事なのは、聞いた人の頭に映像が浮かぶことです。

物語がいいのは、誰でも受け取れるからです。

たとえば、桃太郎の話は、誰も勉強していないのに知っています。

物語には、そういう力があります。難しい説明を1つもせずに、相手の中に入っていけます。

そして、物語がない商品は、ありません。

なぜその値段なのか。なぜその作り方なのか。誰が使って、どうなったか。

必ず、あります。


② 情景を、想像させます

物語で感情が動いたら、次に情景を見せます。

それを手に入れたあと、どうなっているか。

ここで大事なのは、言い切らないことです。

「あなたはこうなります」と押しつけるのではなく、想像できる材料を置く。

そして、相手が勝手に想像します。

人は、自分で想像したものにしか、本気になりません。

こちらが結論まで言ってしまうと、相手の想像する余地がなくなります。


③ そこで初めて、理屈です

感情が動いて、情景が浮かんだ。

ここで初めて、理屈を出します。

  • なぜ、それが起きるのか
  • 実際のデータ
  • 他の人の結果

同じ情報でも、この位置で出すとまったく違う受け取られ方をします。

なぜなら、もう欲しくなっているからです。

欲しくなっている人にとって、理屈は「買っていい理由」になります。

一方、まだ何も感じていない人にとって、理屈は「判断材料」です。判断されると、たいてい「今はいいです」になります。

同じ話が、位置によって背中を押したり、止めたりします。


④ 最後は、人です

そして、最終的に何で選ばれるか。

人です。

同じ内容を、同じ値段で、2人が出していたら、人は「この人がいい」で選びます。

これは、感覚です。理屈ではありません。

そして、この感覚は物語から生まれます。

物語に共感した人は、その物語を語った人に会いたくなります。

だから、こうなります。

売り込まなくても、向こうから来る。

これが、目指す形です。


自分の説明を、点検してください

最後に、明日からできることを書きます。

いま使っている説明を、書き出してみてください。

そして、どこから始まっているかを見てください。

  • 制度や仕組みの話から始まっている → ③から始めています
  • 自分の資格や実績から始まっている → ③です
  • お客さんの話から始まっている → ①です

もし③から始まっていたら、前に1つ足すだけでいい。

「以前、こういう方がいらっしゃいました」

この一言から始めるだけで、順番が変わります。

そして、内容は1つも変えていません。


物語は、自分のものでなくていいんです

「自分に語る物語がない」と思われた方へ。

自分の物語でなくて、構いません。

いちばん使いやすいのは、お客さんの物語です。

  • 以前、こういう方がいらっしゃいました
  • 最初にお会いしたとき、その方はこう言っていました
  • 半年後、こう言われました

これで十分です。

そして、実はこちらのほうが強いです。

なぜなら、読んでいる人は、その方に自分を重ねられるからです。

あなたの物語だと、読む人はあなたを見ています。

でも、お客さんの物語だと、読む人は自分を見ます。

1つあれば、繰り返し使えます

もう1つ、実務的な話をします。

物語は、たくさん要りません。

よく効くものが1つあれば、それを使い続けられます。

同じ話を、面談でも、記事でも、登壇でも使う。

「同じ話ばかりで飽きられないか」と心配される方がいますが、聞く相手はいつも初めてです。

そして、繰り返すほど話が磨かれます。どこで反応が起きるかが分かってくるので。

1つを、磨き抜いてください。


まとめ

  • 理屈だけの話は、眠くなる
  • 感情だけの話は、家に帰ると冷める
  • 順番は、物語 → 情景 → 理屈 → 人
  • 物語は、誰でも受け取れる
  • 物語のない商品はない
  • 情景は言い切らない。相手に想像させる
  • 同じ理屈でも、位置によって効き方が逆になる
  • 説明の前に「以前、こういう方が」を1つ足す

自分の説明がどこから始まっているかを、確かめてみてください。

そして、伝わらないとき「説明が足りないからだ」と思い込みがちですが、たいていの場合、原因はもっと手前にあります。

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