売りたいものを、最初に見せてはいけない

セミナーを開いた。人も来てくれた。

一生懸命、伝えた。

なのに、誰も申し込まない。

「内容が薄かったのかな」と、次はもっと詰め込む。資料も増やす。スライドも作り直す。それでも結果は変わらない。

僕は起業して12年、500名を超える経営者の方と向き合ってきました。そのうえで、こう断言できます。

申し込まれないのは、内容が薄いからではありません。

売りたいものを、最初に出してしまっているからです。


直球で出すと、「知ってるよ」で終わります

たとえばダイエットを売りたいとして、いきなり「ダイエットの正しいやり方をお伝えします」と始めたとします。

このとき、相手の頭の中で何が起きているか。

「ああ、その話ね」

これです。

人は、知っているつもりのテーマには耳を閉じます。しかも厄介なことに、この判定は最初の数秒で終わります。どれだけ後半にいい話を用意していても、冒頭で「聞いたことある枠」に放り込まれたら、そこから先はもう届きません。

だから、売りたいものは隠します。

関係のなさそうな入口から入る。そこで話を進めて、途中で「実は、これってダイエットの話なんです」と持っていく。

同じ内容です。順番を変えただけです。でも、まったく別の話に聞こえます。

入口を変えるというのは、中身を薄めることではありません。届く状態を作ってから出す、というだけのことです。


「説明会」という名前が、全部を殺しています

これは、もったいない人が本当に多いです。

タイトルに「説明会」と付いている。もうこの3文字で終わりです。

なぜかというと、人は無意識に「売られる」を避けるからです。説明会と書いてある時点で、来る前から相手の頭は「売り込みを受ける場」だと分かっている。

身構えた状態で来た人に、何を話しても入りません。その日の勝負は、タイトルを付けた時点でついているんです。

では、何を入れるか。

タイトルに必要なのは、見た瞬間に「自分のモヤモヤが解決できるかも」と思える言葉です。要素で言うと、こうなります。

  • 誰のための会なのか(◯◯で悩んでいる方へ)
  • 何が手に入るのか(メリット)
  • 数字(たった3日で/9割の人が)
  • 限定(先着7名)

全部入れる必要はありません。ただ、「誰の」と「何が手に入る」の2つが無いタイトルは、まず集まりません。

そしてもう1つ。タイトルは、走りながら変えてください。

僕も昔「先生ビジネス」という言い方をずっと使っていました。反応も良かった。ところが、だんだん周りが同じ言葉を使い始めて、埋もれるようになったんです。

本のタイトルと同じで、当たっている表現は必ず真似されます。反応を見ながら変えていく前提でいたほうがいい。


思い込みを、ひっくり返す話を用意する

売りたいものを隠したなら、その空いた場所に何を入れるか。

相手の思い込みを、壊す話です。

「そう思ってましたよね。でも、実は違うんです」

この一撃があるかどうかで、その場の空気が決まります。人は、自分の中の常識が崩れた瞬間に、はじめて話を「自分ごと」として聞き始めるからです。

逆に言うと、相手がすでに知っていることを丁寧に説明している時間は、全部あなたの持ち時間の無駄遣いになります。

このときに効くのが、国の機関などが出しているデータです。

人は、権威のある数字を驚くほど素直に信じます。自分の意見として「僕はこう思うんです」と言うより、「厚生労働省の調査では、こうなっています」と外から借りたほうが、はるかに強い。

ここは、意地を張らずに借りたほうが得です。


そして、最後に締めていない

ここが一番多い取りこぼしです。

いい話をして、場も温まって、みんな満足そうな顔をしている。それで最後にこう言う。

「ご興味があれば、いつでもご連絡くださいね」

……来ません。1件も。

正直に言うと、まじかよ、と思いました。あんなに盛り上がったのに、と。

でも当たり前なんです。締めないと、人は動かないからです。

「いつでも」というのは、相手からすると「今じゃなくていい」と同じ意味です。そして今じゃなくていいことは、永遠にやりません。人はそういうふうにできています。

必要なのは、その場で完結する一言です。

「今回、1名様だけ、無料でご相談をお受けします」「限定3名です」

この形にして、はじめて手が挙がります。


「売り込みたくない」と思っている人へ

ここまで読んで、それでも締めるのが嫌だという人がいると思います。

僕もそうでした。だから、その気持ちはよく分かります。

でも一度だけ、こう考えてみてほしいんです。

あなたの話を聞いて、目が輝いた人がいた。何かが変わりそうな予感がした。でもあなたが最後に締めなかったから、その人は「いい話だったな」で帰った。

そして翌日、同じ場所で止まったままの日常に戻る。来月も、来年も。

あなたが黙ったせいで、その人の物語は何も起きないまま終わります。

売り込みが失礼なんじゃありません。伝えられるものを持っているのに黙っていることのほうが、よっぽど失礼なんですよ。

僕はある時期から、そう思うようにしました。それ以来、締められないことはなくなりました。


まとめ

  • 売りたいものは、最初に出さない。直球は数秒で「知ってるよ」に弾かれる
  • タイトルに「説明会」を使わない。来る前から身構えられる
  • タイトルには「誰の」と「何が手に入る」を必ず入れる。そして走りながら変える
  • 思い込みを壊す話を1つ用意する。外から借りた数字が効く
  • 必ず締める。「いつでもご連絡ください」では、1件も来ない
  • 黙っていることのほうが、相手にとっては損失

順番を変えるだけです。話す中身は、今のままでかまいません。

そして、うまくいかないとき「自分の知識が足りないからだ」と思い込みがちですが、たいていの場合、原因はもっと手前にあります。

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