優しいだけの社長が、一番失うもの

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社員に、厳しいことが言えない。

言おうと思って、口を開いて、結局「まぁ、いいか」で終わる。

そして、同じことが繰り返される。

僕は起業して12年、500名を超える経営者の方と向き合ってきました。この悩みを持つ社長さんは、全員いい人です。

だから、こうお伝えしています。

優しさを捨てる必要はありません。足りないのは、厳しさではなく「決めること」です。


「支えるだけ」と「導く」は、違います

ある社長さんが、自分の状態をこう書いていました。

「支えるだけ」ではなく「導く存在」になる

この一行、すごくいいんですよ。

支えるというのは、相手の今を守ることです。

導くというのは、相手の未来をつくることです。

どちらも愛ですが、向いている先が違います。

そして、支えるだけを何年も続けると、相手の今は守れても、未来は止まります。


「なぁなぁだった」

同じ社長さんが、こうも書いていました。

これまでは、結構な部分でなぁなぁな関係でした。私自身もしっかりとした明確で分かりやすい指示をしてこなかったし、検証、振り返りをしてこなかった。

この、自分を責めずに正直に振り返れる姿勢。ここに、この方の強さが出ています。

ちなみに、この会社で何が起きていたか。

営業の会社なのに、社員がずっと会社の中にいる。外に出ない。現場も見に行かない。

でも、社長は何も言っていませんでした。

「言わなくても分かるだろう」と思っていたわけではありません。言いにくかったんです。

その結果、社員のほうは「これが普通なんだ」と思い込んでいました。

誰も悪くない。でも、伝えていないことは、伝わっていません。


厳しさとは、責めることではありません

ここで、多くの社長さんが誤解します。

厳しくする=怒る、詰める、圧をかける。

違います。

厳しさとは、「ここまでやろう」と一緒に基準を決めることです。

「今月から、現場は週に最低3件見に行こう」

これ、怒っていません。声も荒げていません。

でも、基準がはっきりしています。

そして、基準があると、できたかできなかったかが分かります。分かるから、振り返れる。振り返れるから、伸びます。

優しい人でも、これはできます。むしろ、優しい人がやったほうが効きます。


優しいだけの社長が、失うもの

では、決めないままだと何を失うか。

3つあります。

1つめは、社員の成長です。基準がないので、どこを目指せばいいか分かりません。

2つめは、社長自身の時間です。育たないので、いつまでも社長が現場に出ます。

そして、3つめが一番大きい。

社員からの信頼です。

意外に思われるかもしれません。優しくしているのに、信頼を失う。

でも、考えてみてください。何も言われない状態が続くと、社員はこう思います。

「この人は、自分に興味がないのかもしれない」

言われないことは、優しさではなく関心のなさとして届くことがあります。


「優しいけれど、道しるべになる社長」

最後に、その社長さんが自分で言葉にした、目指す姿を紹介します。

優しいけれども、しっかりと道しるべになってくれる社長。何か困ったことがあっても相談のしやすい環境を提供できる社長。否定しない、常にポジティブ、一緒にずっと働きたいと思える社長。

優しさと厳しさを、対立ではなく両立として描けています。

ここが大事です。

厳しくするために優しさを捨てる社長がいますが、それは別人になっているだけです。誰もついてきません。

優しさは、そのまま持っていていい。そこに「決めて、伝えて、見届ける」を足すだけです。


厳しく言えない人が、使える言い方

とはいえ、「今日から基準を伝えよう」と思っても、口が動かない人がいます。

分かります。僕もそうでした。

そういうときは、主語を変えてみてください。

言いにくいのは、たいてい主語が相手だからです。

「あなたは、現場を見に行っていないよね」

これは、言いにくい。責めている形になっているので。

主語を自分にすると、こうなります。

「僕は、みんなに現場をもっと見てほしいと思っています」

内容は同じです。でも、責めていません。自分の願いを言っているだけなので、言いやすい。

そして、聞くほうも身構えません。

ここから基準につなげます。

「なので、週に3件と決めます」

願い、そして決定。この2文だけです。

言いにくさの正体は、たいてい言い方の型を持っていないことです。型があれば、優しい人でも言えます。

順番を、間違えないでください

もう1つ、大事なコツがあります。

先に承認、あとで基準。

いきなり基準の話から入ると、否定として届きます。

だから、必ずこの順にしてください。

「いつも助かっています。ありがとうございます」「その上で、1つ決めたいことがあります」

前半がないと、後半が刺さります。前半があると、後半が届きます。

ちなみに、この前半はお世辞ではいけません。本当に思っていることを言ってください。

優しい社長さんなら、本当に思っていることが必ずあるはずです。それを、口に出していないだけです。


まとめ

  • 支えるのは今を守ること。導くのは未来をつくること
  • 言いにくいことを後回しにするのが、優しい社長の癖
  • 厳しさ=責めることではなく、一緒に基準を決めること
  • 失うのは、社員の成長・社長の時間・そして信頼
  • 何も言われない状態は、関心のなさとして届く
  • 優しさは捨てない。「決めて、伝えて、見届ける」を足す

明日、基準を1つだけ決めて、伝えてみてください。何でも構いません。

そして、社員が動かないとき「厳しく言えない自分が悪い」と責めがちですが、たいていの場合、原因はもっと手前にあります。

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