お客さん像は、実在の一人にしてください

想定するお客さん像を、作った。

40代女性、都内在住、年収600万円、子ども2人。

……作ったのに、そこから何も進みません。

僕は起業して12年、500名を超える経営者の方と向き合ってきました。この状態には、原因があります。

その人は、存在しないからです。


作った人物像が、動かない理由

条件だけを並べた人物は、頭の中で動きません。

考えてみてください。

「40代女性、都内在住、年収600万円」

この人は、今日の夕方、何をしているでしょうか。

……答えられませんよね。

情報が足りないからではありません。その人がいないからです。

いない人の行動は、想像できません。


実在の人なら、答えられます

では、こう考えてみてください。

あなたが実際に会ったことのある、あの人。

たとえば、去年相談に来たあの方。あるいは、交流会で長話をしたあの方。

その人なら、答えられます。

  • 夕方はたぶん、まだ会社にいる
  • 帰り道でスマホを見ている
  • 寝る前に、明日の資金繰りを考えて眠れなくなる

具体的に浮かびます。

なぜなら、その人の顔と、話し方と、あのときの表情を覚えているからです。


誰を選べばいいか

選び方は、簡単です。

過去のお客さんの中で、いちばん喜んでくれた人。

これで決めてください。

理由は3つあります。

① その人には、実際に価値が届いています。

つまり、あなたのやり方が効く相手だという証明が、すでにあります。

② その人の言葉が、手元にあります。

何に困っていたか。どう言っていたか。何が刺さったか。全部、記憶に残っているはずです。

③ その人と同じ人が、世の中にたくさんいます。

一人いた以上、必ず他にもいます。


実在にすると、書けるようになります

ここからが本題です。

実在の一人に決めると、文章を書くのが急に簡単になります。

なぜなら、書くことが「文章を作る」から「あの人に話す」に変わるからです。

たとえば、あなたが誰かにメッセージを送るとき、悩みませんよね。

相手が分かっているので、言葉が勝手に出てきます。

同じ状態を、作ればいいんです。

書き始める前に、その人の顔を思い出す。

そして、その人に向かって話すつもりで書く。

それだけで、文章の温度が変わります。


一人に書くと、なぜ多くの人に届くのか

ここで、必ず出る心配があります。

「一人に絞ったら、他の人に届かないのでは」

逆です。

一人に向けて書いたもののほうが、多くの人に読まれます。

理由は、はっきりしています。

みんなに向けて書いた文章は、当たりさわりのないものになります。誰も傷つけないかわりに、誰の心も動かしません。

でも、一人に向けて書いた文章は、具体的です。

そして、読んだ人はこう思います。

「これ、自分のことだ」

具体的だからこそ、自分に重ねられます。


迷ったら、その人に聞きに行ってください

もう1つ、強力な方法があります。

その人に、実際に聞きに行ってください。

想像するより、聞いたほうが早いです。

  • 相談する前、いちばん困っていたことは何でしたか
  • どんな言葉で検索しましたか
  • なぜ、私に頼もうと思いましたか

この3つを聞くだけで、そのまま使える言葉が返ってきます。

そして、ここが大事なのですが、返ってくる言葉は、たいてい自分の予想と違います。

自分が売りだと思っていた点と、相手が選んだ理由が、ずれていることが本当に多い。

このずれを直すだけで、届き方が変わります。


名前で呼んでください

最後に、細かいけれど効くコツを1つ。

その人を、名前で呼んでください。

「想定顧客」ではなく「田中さん」。

文章を書く前に、こう考えてください。

「これ、田中さんが読んだらどう思うかな」

名前があると、手を抜けません。

適当な言葉を書こうとしたときに、その人の顔が浮かびます。

そして、こう思います。

「これじゃ、田中さんには響かないな」

この感覚が働くようになったら、あなたの文章はもう変わっています。


途中で、変えていいんです

最後に、1つだけ安心材料を書いておきます。

決めた一人は、あとから変えて構いません。

「一度決めたら、ずっとその人でいかないといけない」と思うと、決められなくなります。

でも実際は、事業が進むと、お客さんの層は変わります。

3年前にいちばん喜んでくれた人と、今の自分が向き合うべき人は、違って当然です。

だから、こう考えてください。

今日の一人を、今日決める。

半年後に見直せばいい。

そして、見直すときの判断も簡単です。

「この半年でいちばん喜んでくれた人は誰か」

また、そこから決め直すだけです。

決められない人の多くは、正解を選ぼうとしています。

正解はありません。決めて、書いて、反応を見る。この一周が、正解を教えてくれます。


まとめ

  • 条件だけを並べた人物は、頭の中で動かない
  • 実在の人なら、夕方に何をしているかまで浮かぶ
  • 選ぶのは、いちばん喜んでくれたお客さん
  • その人には、すでに価値が届いた証明がある
  • 書くことが「作る」から「あの人に話す」に変わる
  • 一人に向けた文章のほうが、多くの人に読まれる
  • 想像より、本人に聞きに行くほうが早い

いま、過去のお客さんを一人、名前で思い浮かべてみてください。

そして、届かないとき「言葉が足りないからだ」と思い込みがちですが、たいていの場合、原因はもっと手前にあります。

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