ファンは、まず一人だけ作ればいい

もっと多くの人に届けたい。

だから、なるべく広く伝わる言葉を選ぶ。

そして、誰にも届きません。

僕は起業して12年、500名を超える経営者の方と向き合ってきました。ここには、はっきりした法則があります。

100人を取ろうとすると、一人も来ません。


質問を、変えてください

多くの方は、こう聞かれます。

「あなたのお客さんは、誰ですか」

僕は、この質問をしません。

代わりに、こう聞きます。

「あなたのファンは、誰ですか」

似ているようで、まったく違います。

お客さんは、お金のつながりです。

ファンは、心のつながりです。

そして、この違いが、事業の続き方を決めます。


僕が、売上を落としたときの話

正直な話を書きます。

独立して3年目のころ、僕は調子に乗っていました。

毎月それなりの売上が続いていて、これがずっと続くと思っていました。

そして、いきなり落ちました。

10分の1近くまで、一気にです。

まったく対応できませんでした。ずっと右肩上がりだと思い込んでいたので、下がる想定を1つも持っていなかったんです。

(まさか、こんなに落ちるのか)

そこで、原因を分析しました。


原因は、心の置き場所でした

出てきた答えは、単純でした。

どこかで、お金のつながりを意識していました。

一人ひとりに向き合っているつもりで、実は線を引いていました。

「ここまでやれば十分だろう」

そう思って、無難なところで止めていたんです。

正直に言えば、面倒くさいと思っている自分もいました。

そして、それは伝わります。人は、驚くほど敏感です。


「お客さん」をやめて「ファン」にした

そこで、僕は考え方を変えました。

一人のために、ここまでやるか、というところまでやる。

そう決めました。

すると、不思議なことが起きました。

頑張れる自分がいたんです。

夜遅くにメールが来ても、「こんな時間に」ではなく「自分のファンが困っている」と思えるので、動けます。

同じ行動なのに、苦しさがまったく違いました。

そして、仕事は戻ってきました。


なぜ、一人なのか

理由は2つあります。

1つめ。一人なら、具体的に考えられます。

「30代から50代の経営者」では、何も浮かびません。何に困っているのかも、何を読んでいるのかも分かりません。

でも、実在の一人なら分かります。朝何時に起きて、何に苛立って、何を諦めているか。

そこまで見えて、初めて言葉が作れます。

2つめ。一人に刺さったものは、広がります。

一人の心を動かせない人は、10人の心も動かせません。

でも、一人が動けば10人が動きます。10人が動けば、100人が動きます。

順番は、必ずこちらです。

僕自身、たった一人に向けて話したことが、その場にいた60人全員に届いた経験があります。


その一人を、どう選ぶか

では、誰をファンに選ぶか。

考え方を3つ挙げます。

① 会いたい人を選ぶ

3か月先のカレンダーが、会いたくない人で埋まっていたら、どうでしょうか。

やる気は出ません。当たり前です。

逆に、大好きな人ばかりなら「会ってあげたい」と思えます。

② 過去の自分と同じ経験をした人を選ぶ

これは、強いです。

その人がどこで折れて、何を言われたら救われるかを、自分が知っているからです。

③ 自分を必要としてくれる人を選ぶ

ここは、大事です。

独立したてのころ、自分を真ん中に置いて周りを調べると、すごい人ばかりが出てきます。そして落ち込みます。

でも、そこじゃないんです。

上を見るのではなく、下を見てください。

自分より少し手前にいて、自分を必要としてくれる人が必ずいます。

そこを一生懸命やっていると、自分のいる場所が自然と上がります。


その人が生きている時間を、想像してください

決めたら、次にやることがあります。

その人が生きている時間を、頭の中で再現してください。

  • 朝、何時に起きるか
  • 何を食べているか
  • 通勤中に何を見ているか
  • 夜、何を考えながら眠れずにいるか

これは、想像力の練習ではありません。

その人が、今どうしても解決できないことを見つけるためです。

そして、そこが見つかったとき、あなたの言葉は初めて刺さります。


お金だけが理由の相手は、選ばないでください

最後に、1つだけ注意点を書きます。

お金だけが動機の相手は、続きません。

最初は頑張れます。

でも、しばらくすると心が枯れてきます。情熱を注げない相手に、いい仕事はできません。

そして、そういう関係は、お互いに不幸になります。

相手も、心のこもっていない仕事を受け取ることになるので。

だから、最初の一人は、心が動く相手にしてください。

そこから始めたほうが、結果的に早いです。


まとめ

  • お客さんはお金のつながり。ファンは心のつながり
  • 線を引いて無難に止めていると、必ず伝わる
  • 「ファン」と考えた瞬間、頑張れる自分が出てくる
  • 一人なら、生活まで具体的に想像できる
  • 一人が動けば10人、10人が動けば100人
  • 会いたい人/過去の自分/自分を必要としてくれる人から選ぶ
  • 上を見て落ち込まない。下を見て、必要とされる場所を探す

いま、あなたのファンを一人だけ名前で思い浮かべてみてください。

そして、届かないとき「まだ知られていないからだ」と思い込みがちですが、たいていの場合、原因はもっと手前にあります。

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