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  • 満足させすぎたセミナーは、売れません

    満足させすぎたセミナーは、売れません

    僕のセミナーデビュー戦の話をします。

    気合いで生徒を集めました。寝る間も惜しんで、コンテンツを作り込みました。持っているものを全部詰め込んで、当日を迎えました。

    結果、17人中17人が「大満足」。

    アンケートも絶賛でした。手応えもありました。

    さあ、ここでクイズです。

    そのうち何人が、次の講座に申し込んだでしょうか。


    答えは、ゼロ人です

    一人も来ませんでした。

    正直に言うと、まじかよ、と思いました。あれだけ喜んでもらえたのに、と。

    納得がいかなくて、17人全員に電話をかけました。一人ずつ、理由を聞いて回ったんです。

    そして返ってきた言葉が、これでした。

    「内容が良すぎて、自分にもできると思いました」

    ……そういうことか、と。

    僕は起業して12年、500名を超える経営者の方と向き合ってきましたが、この日の失敗が全部の原点になっています。

    満足は、ゴールではありません。満足させすぎると、人は動かなくなります。


    試食で満腹にしたら、誰も買いません

    考えてみてください。

    スーパーの試食コーナーで、ラーメンをどんぶり一杯出されたらどうなるか。

    満足して、帰ります。

    買う理由が、なくなるからです。お腹がいっぱいなのに、わざわざレジに並ぶ人はいません。

    車の試乗も同じです。6時間も乗せてもらったら、もう十分乗った気になる。ちょっとだけ乗せて「もっと乗りたい」で戻すから、欲しくなるんですよね。

    僕がやったのは、試食でどんぶりを出したのと同じことでした。

    やり方を、全部教えてしまったんです。

    しかも当時の僕は、それが親切だと思っていました。詰め込めば詰め込むほど、いいセミナーになると信じていた。逆でした。


    セミナーには2種類あります

    ここを分けられるかどうかが、全部を決めます。

    1つめは、情報提供型。すでに買ってくれた人に、惜しみなく全部出す。満足度を最大にするのが目的です。

    2つめは、顧客獲得型。これから出会う人に向けたもので、全部は教えません。「もっと知りたい」で止めます。

    僕の失敗は単純で、2の場所で1をやってしまったことでした。

    どちらが良い悪いではありません。場所が違うだけです。ここを混ぜると、どれだけ準備しても結果が出ません。

    そして、この切り替えができていない人は、本当に多いです。まじめな人ほど「出し惜しみは失礼だ」と思ってしまうので。

    でも、出し惜しみとは違うんですよ。入口を見せて、その先を一緒に歩きませんかと誘っているだけです。


    体験会は、楽しませすぎてはいけない

    習い事や趣味の教室だと、セミナーではなく体験会になります。これも構造は同じです。

    やることは3つ。

    1. 疑似体験させる
    2. ワクワクを伝える
    3. ただし、楽しませすぎない

    3つめが抜けている体験会が、本当に多いです。

    以前、世田谷のピアノ教室の相談を受けたことがあります。体験会をやっても、来た人が「お願いします」にならない。

    何が足りなかったか。その子が、この先生と一緒にどうなれるかを想像できていなかったんです。

    そこで、体験会の設計を変えました。ポイントは、見る人が2人いるということでした。

    弾く本人である子どもと、お金を払う親です。

    子どもにはワクワクを、親には「この先生に任せたらこうなる」という未来を見せる。この2人分を設計したら、半年で生徒が20人から50人になりました。

    楽しかった、で終わらせない。その先を見せる。それだけの違いです。


    人数を集めることが、目的ではありません

    もう1つ、当時の僕が勘違いしていたことがあります。

    人を集めれば、なんとかなると思っていました。

    でも今は、はっきりこう思います。

    20人集めて0人より、5人来て1人のほうがいい。

    大事なのは、自分の熱量が届く人数かどうかです。届かない人数を集めても、薄まるだけなんですよね。

    僕の場合、5人くらいが一番いい。不思議なもので、8人のときが一番弱いというデータが自分の中にあります。理由は今も分かりません。

    そして、たとえ1人しか来なくても、その1人に本気で向き合えばいいんです。目の前の一人を獲得できる人は、10人でも100人でもできます。逆はありません。

    人数が少ない日は「今日は濃いですね、その分、熱く伝えます」と言えばいい。1対1を乗り越えた回数だけ、強くなります。


    相手が知りたいのは、3つのことだけ

    最後に、これだけは持ち帰ってください。

    人が何かを買うとき、頭の中で確かめていることは3つです。

    1. なぜ、これが必要なのか
    2. なぜ、あなたから買うのか
    3. なぜ、今なのか

    この3つが揃って、はじめて動きます。1つでも欠けたら止まります。

    僕のデビュー戦は、1だけを全力でやって、2と3が空っぽでした。しかも1をやりすぎて、必要性そのものを消してしまった。

    満足度が高いのに申し込まれないときは、たいていこの3つのどれかが抜けています。今日のセミナーを思い出しながら、1つずつ当ててみてください。


    まとめ

    • 満足させすぎると、動かなくなる。買う理由が消えるから
    • 試食で満腹にしない。「もっと欲しい」で止める
    • セミナーは2種類。買ってくれた人向けと、これから出会う人向けを混ぜない
    • 体験会は、楽しませすぎない。そして「見ている人が2人いる」ことを忘れない
    • 人数より、熱量が届く範囲。20人集めて0人より、5人で1人
    • なぜ必要・なぜあなた・なぜ今。3つ揃って人は動く

    内容を薄くしろという話ではありません。出す場所を変えるだけです。

    そして、うまくいかないとき「自分の内容が良くないからだ」と思い込みがちですが、たいていの場合、原因はもっと手前にあります。

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