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  • 「何とかなる」という楽観が、一番高くついた

    「何とかなる」という楽観が、一番高くついた

    苦しい時期でも、なぜか「何とかなる」と思える。

    実際、これまで何とかなってきた。

    だから、今回も何とかなると思っていた。

    僕は起業して12年、500名を超える経営者の方と向き合ってきました。この感覚、経営者にはとても多いです。

    そして、これは間違いなく強みです。

    ただ、1つだけ気をつけてほしいことがあります。

    「何とかなる」が、決めないことの言い訳になっていないか。


    自分で書き出した「弱み」

    ある社長さんが、信頼していた社員の退職を経験しました。

    そのあと、自分の強みと弱みを、自分で書き出しています。

    強み

    • 会社の売上が悪くても、責任転嫁しない
    • 常に笑顔
    • 反響がなくても契約が取れる

    弱み

    • 会社の状況についての説明不足
    • 話す回数が足りていなかった
    • やる気を上げる声かけが足りなかった
    • 人を雇うことについての知識不足
    • 何とかなるという、楽観視が過ぎた

    ……最後の一行が、鋭いです。

    自分の性格の良い面を、ちゃんと代償ごと見ています。


    前を向ける力の、裏側

    「何とかなる」と思える人は、動けます。

    不安で固まる人が多い中で、これは相当な武器です。

    でも、この力には裏側があります。

    「今、決めなくても大丈夫」に変換されやすいんです。

    たとえば、こう。

    • 契約書は、そのうち作ればいい
    • 歩合の計算方法は、聞かれたら説明すればいい
    • 評価の基準は、いま決めなくても回っている

    全部、正しいんですよ。今日は。

    そして、たいていの日は何も起きません。だから、この判断は毎日「正解」になります。

    でも、何も起きなかった日が続くこと自体が、危険の蓄積です。

    決めていない項目は減らず、会社の規模だけが大きくなっていきます。


    高くつくのは、いつも同じタイミング

    では、いつ代償が来るか。

    辞めるときです。

    入るときは、みんな善意です。だから曖昧でも回ります。

    でも辞めるとき、初めて確認が入ります。歩合はどうなるのか。有給はどうなるのか。引き継ぎはどこまでか。

    そこで、決めていなかったことが全部いっぺんに表に出ます。

    しかも、相手はもう心が離れている状態で確認してきます。

    これが、いちばん高くつく形です。

    「何とかなる」で先送りしたものは、いちばん体力が落ちているときに、まとめて請求されます。


    楽観をやめる必要はありません

    ここが、大事なところです。

    僕は、その社長さんにこうお伝えしました。

    弱みをなくす必要はありません。強みはそのまま、弱みは仕組みで補ってください。

    「何とかなる」をやめて、心配性になろうとする社長がいます。

    やめたほうがいいです。強みまで一緒に消えます。

    前を向ける力は、社員が見ています。社長が暗いと、会社全体が暗くなります。売上が落ちても人のせいにしないという資質は、本当に得難いものです。

    だから、性格は変えない。

    代わりに、1つだけ足す。

    確認と、書き出しです。


    具体的には、こうします

    やることは、単純です。

    「何とかなる」と思った瞬間に、それを紙に書く。

    たとえば、こうです。

    • 「契約書、そのうちでいいか」と思った → 紙に書いて、期限を入れる
    • 「歩合の説明、聞かれたら話せばいいか」と思った → 紙に書いて、次の面談で話すと決める

    これだけです。

    楽観のままでいい。ただし、記録に残す。

    なぜこれが効くかというと、楽観的な人は忘れるからです。悩まないので、頭に残りません。

    つまり、問題は判断ではなく、記憶なんですよ。

    だから、外に置いておく。紙が心配性を担当してくれるので、本人は前を向いたままでいられます。


    もう1つの、高くつき方

    代償の出方は、辞めるときだけではありません。

    もう1つ、静かに効いてくるものがあります。

    判断が、遅れます。

    「何とかなる」と思っていると、問題が問題に見えません。

    数字が少し落ちている。でも、まぁ何とかなる。人の様子が少しおかしい。でも、まぁ何とかなる。

    そして、実際にたいてい何とかなります。

    ところが、本当に手を打つべき1回が来たときも、同じ顔で通過してしまいます。

    これが怖い。

    判断の精度が悪いのではありません。全部同じ扱いになることが問題なんです。

    だから、線を引いておいてください。

    「ここを下回ったら、必ず動く」

    数字でも、状態でもいい。1つでいいので、決めておく。

    楽観のままでも、線があれば止まれます。

    悲観になろうとしないでください

    念のため、もう一度書きます。

    この話をすると、まじめな社長さんほど、こう考えます。

    「もっと危機感を持たないといけない」

    やめてください。

    危機感を持った経営者が強いわけではありません。危機感を持つと、目先しか見えなくなります。

    長く続いている会社の社長さんは、だいたい明るいです。楽観的です。

    なぜなら、続けるには、明るさが要るからです。暗い状態で10年は続きません。

    必要なのは、危機感ではなく記録です。

    明るいまま、書いておく。それだけで、楽観は強みのままでいられます。


    まとめ

    • 「何とかなる」は強み。前を向けるから動ける
    • ただし「今決めなくていい」に変換されやすい
    • 決めていない項目は、辞めるときに全部まとめて出てくる
    • いちばん体力が落ちているときに、請求が来る
    • 性格を変えると、強みまで消える
    • 強みはそのまま、弱みは仕組みで補う
    • 「そのうちでいいか」と思った瞬間に、紙に書いて期限を入れる

    今日「まぁ何とかなるか」と思ったことを、1つだけ紙に書いてみてください。

    そして、問題が起きたとき「自分の見通しが甘かった」と責めがちですが、たいていの場合、原因はもっと手前にあります。

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