朝、会社に行く。
いつも通り、現場に出る。お客さんに会って、対応して、判断して、社員のフォローもする。
そして、気づいたら1日が終わっている。
新しいことをやりたい。次の柱を作りたい。そう思っているのに、その時間だけがいつまでも作れない。
僕は起業して12年、500名を超える経営者の方と向き合ってきました。この状態の社長は、本当に多いです。
そして、原因はほぼ1つです。
忙しいからではありません。任せる仕組みが無いだけです。
ある社長の言葉
先日、社員数名の会社を経営されている方から、こういう言葉を聞きました。
「常に会社の状況を気にしないといけないし、できる限りオフィスにいないといけない。だから、全ての仕事のパフォーマンスが落ちるし、僕も次のステップに行けない」
この方は、ちゃんと自覚しているんです。
分かっているのに、抜けられない。
これ、能力の問題ではありません。むしろ、優秀で面倒見のいい社長ほど、こうなります。
抜けられない会社に、必ずあるもの
こういう会社を見ていくと、共通して出てくる状態があります。
社員が受け身になっている。
その社長は、自分の会社をこう表現していました。
- 成長が鈍化している
- 他責の傾向がある
- 自分事として捉えていない
- 受け身
厳しい言葉ですが、社長本人が書いたものです。
そして、相談の中身も決まっています。
「どうすればいいですか」
自分の考えを持ってこない。答えを聞きに来る。
そのたびに社長が答える。だから社長は現場から離れられない。離れられないから、社員はますます聞きに来る。
この輪が、ぐるぐる回っています。
面倒を見ているつもりが、逆でした
なぜこうなるのか。
その社長は、自分でこう気づきました。
「一緒に接客や案内に同行することで、成長する機会を奪ってしまっている可能性もある」
これ、自分で気づける社長はなかなかいません。
同行するのは、優しさです。教えてあげたい、失敗させたくない、お客さんに迷惑をかけたくない。全部、正しい気持ちです。
でも、その優しさが、相手の「考える筋肉」を使わせていません。
人は、自分で考えて、自分でやってみて、はじめて自分事になります。横で答えを出してくれる人がいる限り、その回路は育ちません。
だから、「あえてやらない」
その社長が決めた打ち手が、これでした。
今までサポートしていた部分を、あえてやらない。
- 自分で考えさせる
- どうしたほうがいいかを考えさせたうえで、ミーティングを重ねる
- 毎週月曜に、一人ずつと話す
突き放すのではありません。信じて任せる代わりに、伴走の場を週1で置く。
この形なら、社員は自分で考えます。そして、行き詰まったら週1の場で相談できる。
放置と、任せるは違います。その違いを作るのが、定期的に話す場です。
相談の形も、変えました
もう1つ、この社長が変えたことがあります。
相談のルールです。
これまでは「どうすればいいですか」でした。これからは、こうします。
相談する前に、自分で考えた案を出してから。または、やってみてから相談する。
たったこれだけです。
でも、これを入れると全部変わります。相談が「答えをもらう場」から「考えを確かめる場」になるからです。
そして社長の側にも変化があります。判断を全部引き受けなくてよくなる。確認するだけの立場に移れる。
ここまで来て、はじめて現場から抜けられます。
会社と、社長と、社員を切り離す
この方が言っていた中で、僕が一番いいと思った言葉があります。
「会社という法人格と、社長・社員を切り離す。社長は社長という役割。社員にも役割がある。社員の役割は、売上を上げてくること。社長の役割は、責任を取ること」
家族経営のような会社ほど、ここが混ざります。
会社の上に社長がいて、その下に社員がいる。上下でものを考えるから、社長が全部背負うことになる。
そうではなくて、会社という器があって、それぞれが違う役割で乗っている。
この見方に変えると、任せることが「丸投げ」でなくなります。その人の役割を返しているだけになる。
抜けられない社長へ
現場から抜けるのは、冷たいことではありません。
社長が現場にいる限り、その会社の上限は、社長一人分です。
社長が抜けて、社員が自分で判断できるようになった会社は、人数分の上限を持ちます。
そして何より、社長が抜けないと、次の柱を作る時間が永遠に生まれません。
今の売上を守るために、未来の売上を捨て続けている。抜けられない状態というのは、そういうことなんですよ。
まとめ
- 抜けられないのは、忙しいからではない。任せる仕組みが無いから
- 社員が受け身なのは、答えをくれる人が横にいるから
- 同行する優しさが、考える筋肉を使わせていない
- あえてやらない。ただし、週1で話す場を置く
- 放置と、任せるは違う。違いを作るのは定期的な場
- 相談の前に、自分の案を出させる
- 会社・社長・社員を、上下でなく役割で分ける
- 社長が現場にいる限り、会社の上限は社長一人分
まず、来週の月曜に30分だけ、一人と話す時間を取ってみてください。そこから始まります。
そして、抜けられないとき「まだ社員が育っていないからだ」と思い込みがちですが、たいていの場合、原因はもっと手前にあります。
あなたの案件が「どこで止まっているのか」は、無料の診断ツールで60秒でチェックできます。止まっている場所が分かると、次の一歩が見えてきます。
